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少女、死守

「ほう、避けたか」


うすら笑いを浮かべ、ゆっくりと立ち上がりながら紅騎士は言った。


「どうやらそこいらにいるボンクラ貴族とは訳が違うらしいな、お前は何者だ?」


紅騎士の問いに対し、ボスは剣を構え、少しめんどくさそうに答えた。


「騎士にでも見えますか?」


ボスがそう答えると、紅騎士はうすら笑いから声を出して笑っていた。


「ククク、いいや、騎士には見えんな、だが、私利私欲の為のみに動く守銭奴貴族にも見えん、まるで血に飢えた夜叉だ」


………なんだろ、虫酸が走るな、そう思いながらボスは剣を中段に構え、一気に押し出すように紅騎士の間合いに入り、風を斬るかの如く、横一線に剣を振った、するとつかさず紅騎士も防御の姿勢をとり、ボスの攻撃を剣にて受けた。


ギリィィィィィィンッガリリッ!


「んな………」


紅騎士はついさっきまでの表情から打って変わって驚きの表情をしていた、つい先程確かにあの攻撃を防いだはず、なのに………。


「ほ、頬に剣が……………」


そう言ったのも束の間、紅騎士の頬に一本の赤い一本筋が浮かび上がり、やがて血流が頬をつたった。


「運がいいですねぇ」


ボスが嘲笑するかのように笑顔をみせた。つかさず紅騎士は距離をとり、受け止めたはずの自分の剣をみて更に驚愕した、なんと受け止めた部分が凹んていたのだ。


「…………ッ!」


「どうです?なかなかでしょ?」


ボスがそうだずねると、紅騎士はしばらく黙り込み、やがてフッと鼻で笑った。


「…………確かに、これでは並大抵の剣士には勝てんだろうな………………だからなんだ?」


そう言うと紅騎士は剣を握り直し、ボスに突っ込んだ。


「闇雲に突っ込んでも仕方ありませんよ?」


そう言ってボスも剣を下に向け、一気に詰め寄る、紅騎士との剣戟を予想していたボスは剣を振り上げ先手を取ろうとした、が


「火竜の閃光【リントヴルム・フラッシュ】!」


紅騎士は右手をボスの前に突き出し、詠唱すると突如強力な閃光がボスの目を襲った、完全に油断していたボスはまともに閃光をくらい、目をやられた。


「グオッ!」


くそっ、俺とした事が……………。


「当分、お前の目は使い物にならんぞ、しかしこんな古い手に引っかかるとはな」


笑いながら紅騎士は言った。


「へっ、猫騙しなんて騎士のやることかよ」


ボスが両目を瞑り、右手で抑えながら吐き捨てるように言った、すると紅騎士は失笑し


「戦場に卑怯もくそもないだろ」


―――――――――――――――――――――


「ぐぶッ、はぁ、はぁ、はぁ…………」


ボスは構えることもせず、防御をすることも出来ず、ただその場に立つしかなかった、おかげで体中には切傷だらけで、自分の立っている地面には大きな血だまりが出来ていた。


「まだ倒れないか、しぶとい奴だ」


溜め息を吐きながら紅騎士は言った、正直反撃したいところだが目をやられているのでどうしようもない。


「へ、人思いに止めを刺すってのが人情じゃねえか?」


ボスがにぃっと笑いながら紅騎士に言った、すると紅騎士は仕方ない、と呟いて剣先を頭の上にまであげる。


「最後に言い残す言葉は?」


「…………ねえよ」


そう言うとボスは素早くしゃがみこみ、声のする方へキックした、すると偶然にも紅騎士に当たり、紅騎士は一瞬よろけ、ここぞとばかりにキックの当たったほうに斬りかかった。


ガギン!


………これは人を切った感覚じゃない、土だ。


「運が悪かったな」


後ろから紅騎士の声が聞こえ、全てを諦めた。


………諦めるな。


これは死ぬ瞬間の走馬灯なのか、幻聴が聞こえてきた。


…………闇こそ本領、闇こそ理想。


これはやはり走馬灯なのか、訳わからないこと言っている。


…………まず目を覚ませ、目を開けろ。


うるさいなぁ、つかいつになったら死ぬんだ?そう思いながら目をあけた、するとついさっきまで闘技場にいたはずなのに、なぜか辺り一面、黒い薔薇に覆われた野原に立っていた。


「やっと開けたか」


声のする方へ体を向けると、真っ黒な髪に相対する白い肌、何もかも見透かすような真紅の目をしている女が、立っていた。






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