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少女、決闘3

「…………どうなるかなぁ……」


ガヤガヤと歴戦の戦士たちが屯っている控え室の中、ボスはボソッと呟いた、なにせボスにとっては未知の戦いになるわけだからである、一度アルシーに召喚されてきた時にも戦ったが、今回の相手とは格が違いすぎる。


「いつぶりかな、これから戦う相手にビビるのは」


だがしかし、ここで逃げるわけにはいかない、そう思いながらボスは拳を強く握り、闘技場に向かった。


「あ、準備は終わりましたか?」


闘技場入口付近から声が聞こえた、誰かと思い、目を凝らしてみてみるとアルシーだった。


「アルシー! ダメじゃないか、こんなとこに来たら」


「す、すいません、でも少し様子が気になって…………」


アルシーは手をモジモジと絡ませながらボスに心配そうな表情を向けていた。


「ほかの人に聞きましたが、相手は紅騎士だそうじゃないですか、並の剣士では到底太刀打ちできない強者です、だから…………」


アルシーが最後まで喋るのを遮るように、ボスはアルシーの頭をぐしぐしと撫で回した。


「大丈夫だ、俺の体はちょっと特殊だからな、並大抵のことじゃ死なん」


そう笑いながらボスは言い放ち、アルシーに手を振りながら闘技場に向かった。


―――――――――――――――――――――


ザリ、ザリ、ザリ、と足音を立ててボスは闘技場の土を踏みしめる、踏む度に巻上がる砂埃から血の匂いを感じながらボスは歩いていた、この血の匂いだけでどの位の人々が血を流し、切り刻まれ、地に伏していったかを安易に想像出来そうだった。


「………やっと来たか」


腕を組み、あの赤い鎧を外し、真剣な眼差しでこちらを紅騎士が見ていた、表情は決してしかめっ面という訳ではないが、妙に凄ましい雰囲気をおび、すぐにでも戦闘を始められる殺気と覚悟を感じ取ることが出来た。


………そうだ、忘れていた、長い間薬を打ってからというものすっかり忘れていた、命を奪われそうになった時の恐怖を、そして勝ちたいと思う闘争心を。


「安心しろ、痛みを感じる前に殺してやろう」


そう言って紅騎士は剣を抜いた、紅騎士の剣はまるで濡れているのかと思わせるくらい表面が滑らかで、太陽の光に反射して白銀のように輝いていた。


続いてボスが剣を抜いた、ボスの抜いた剣は紅騎士の剣とは真逆に、黒く怪しい光を放つ刀身が、まるで全てを闇に包み込むように禍々しく輝いていた。


「ふん、不気味な剣だな」


紅騎士が吐き捨てるように言うと、ボスも心の中で、確かに不気味だな、と思った。


「ではこれより、ルセイン・キルクとメメル・ラセの剣闘を始める!」


何やら祭壇の様な所から司会者の様な風貌の男が声高らかに宣言した。


「両者、構えい!」


そう言われて、ボスと紅騎士は構えた。


ゴワワワァァァァァン、と鐘が鳴った、すると最初に仕掛けてきたのは紅騎士だった、紅騎士はボスとの間合いを一気に切り詰め、脇腹目掛けて横に剣を振るった、つかさずこの攻撃をボスは剣の腹で受け、そのまま相手の剣ごと持ち上げ、横に振り払った。


すると、紅騎士は一度後ろに下がり、ケン、ケン、ケンとステップを踏んで体を一回転させ、遠心力を利用してボスに斬りかかった。


「ふんッッッ!!」


声と共に紅騎士の剣がボスの体目掛けて近づいてくる、普通に防いだら恐らく力負けするであろう、そこでボスは紅騎士の剣をまた剣の腹で受けたかと思うと、持ち手の部分を持ち上げ、相手の剣を受け流した。


バランスを崩した紅騎士はザザッと音を立てて横転した、今こそチャンスとボスは襲いかかろうとした、が


「火竜の爪【リントヴルム・クロー】」


紅騎士が詠唱したかと思えば、火の斬撃が三つ横列になって襲いかかってきた。


「うおッあぶッ!?」


体を捻り、間一髪で回避したボスは再度認識した、未知の戦いだと。




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