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ほれたはれた

作者: あきふみ

女子高生です。

頭の中にお花が咲いててジャージで踊り狂ったりしてるあれです。

女子高生なので学校に通っています。朝は眠いけど出席日数足りないとかそういうのは苦手なので、ママに叩き起こしてもらっています。

終わらないメイクは朝の会までに教室で仕上げちゃいます。先生にスッピン見せたことないんじゃない。

おはようにはおはようを。馬鹿笑いには馬鹿笑いを。メールには返信を。SNSには見てほしい自分を。

基本的なルールはこれだけ。これさえ守ってればまあそんなに酷い負けはしない。たまにわざと喧嘩して仲直りして友情を深め合うコースもあるけど、ああいうのはちょっとね。お祭りは好きだけど陰謀は嫌い。

瞼に付いたマスカラを丁寧に綿棒でこすり落とす。それが終わったら教室に入ってきたあの子の短くなった前髪を褒めて、その後は彼氏の話をしたくて仕方がないあの子のために話題を振ってあげなければ。


☆彡


彼氏が私のことを好きで好きで仕方がない、私はもう会うの嫌なんだけどね。

彼女の最近の話をまとめるとこんな感じ。昨日も聞いたんだけど、そのファミレスの話。

照れ隠し、ていうのは、天然ものか天然に見えるものじゃないとだめなの。

自分の売り方がうまくないね。

たわしみたいな顔して、照れられても困ります。お歳暮みたいな優しさで皆がその子の話を盛り上げようとしている。

皆の努力虚しくその子のエピソードはもう尽きかけていた。あーあ、なんでこう、ダメな人って面白いんだろう。


☆彡


朝の会が始まる。

小学生の頃よりいくらかは人間らしくなった私たちは起立して、ぼそぼそとおはようございますを宣言した。

先生はおはようと、暗い声で言った。

薬指の指輪がきらりきらりと朝の光を跳ね返していた。

私は皆より着席が少し遅れた。

先生は今日も結婚報告をしなかった。別に団結力があって和気あいあいとしたクラスじゃないけど、報告くらいしてよ。

でも相手がうちの高校の女教師じゃなくてよかった。絶対に見たくない。


☆彡


Kが死ぬのは分かる。でもなんで先生まで?

しかも時間たち過ぎでしょ。遅いよ。


私はもやもやと眠気を引きずりながら現代文の教科書を隣のクラスに返しに行く。

次の時間が体育みたいで、教室は閑散としていた。

次の休み時間にもう一度来なければ。

ふと目を上げると、先生がいた。

私と目が合うと、微笑みもしないで、

「C組の方が景色がいいんだよねえ」

「B組どんまいですね」

私の変な敬語も先生はどうでもいいらしかった。

触らなければ、綺麗なままでいられる。

けれども、恋は、罪ですよ。

君、分かりますか。

うとうとと聞いていた言葉が底から浮上してくる。

生きているけれど私のものじゃない先生。

先生、結婚しちゃうんですか。

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