密室対峙
資料室に戻ると柚希はドアに鍵をかけた。
狭い空間で二人きりとなると緊張感が高まる。
「何の用だ?」
敢えて威嚇的な口調で尋ねるも効果なし。
「その前に誓ってください」
彼女は真剣な表情で言った。
「もう一度同じ過ちを犯すようなことがあれば一切の関わりを絶つと」
その言葉に一瞬怯むもすぐさま頷いた。
「約束する」
「本当に?」
疑いの目を向けつつも僅かに表情が和らぐ。
「わかりました」
柚希は溜息と共に机に腰掛けた。
制服の裾から伸びる脚線美に自然と視線が吸い込まれそうになるが鋼の意思で制御する。
「それで?」
話題を変えるように促す。
「単刀直入に言います」
柚希は決然とした態度で言った。
「この職場から離れて欲しいんです」
唐突な要請に戸惑う。
「なぜだ?」
「リスクが高いからです」
彼女は冷徹に続けた。
「貴方があんな行動に出てしまった背景には精神的ストレスがあるはずです。この様な環境にいれば再燃しかねません」
痛いところを突かれ言葉が出なくなる。
「だからといって辞める理由には……」
「なりませんか?」
柚希の目が鋭くなる。
「ならもっと明白な根拠を提示しましょう。今朝職員室の廊下で妙な噂話を耳にしましたよ?」
「どんな?」
警戒しながらも訊く。
「四十八歳の浮浪者上がりの男が女子学生に卑猥な視線を送っているとか」
その瞬間全身の血液が凍り付いた気分だった。




