## 零細生活者の生態 ### 第二十七章 明日への扉
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**22:30 - 駅前ベンチ**
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ヨシオはベンチに座り直し、残り少ないビールを一口啜った。
味はほとんどしなかったが、喉を潤すことはできた。
「まさか他人の好意に甘える日が来るとはな」
彼は自嘲気味に呟いた。
数ヶ月前の自分なら考えられなかった行為だ。
プライドと意地で塗り固められた生き方。
だがそれも限界に来ていた。
(施設か……)
宮本が提案した福祉協会の存在は魅力的だった。
屋根のある寝床。
栄養バランスを考えられた食事。
シャワー室の利用権。
それに比べれば路上生活の苦しさは比較にならない。
(でもな……)
ヨシオはポケットから潰れた煙草の箱を取り出した。
唯一の嗜好品だ。
火をつけようとライターを探したが、どこかで落としたようだった。
「ちっ」
短く舌打ちして煙草を地面に投げ捨てる。貧しい生活が魂まで蝕んでいく感覚に苛まれた。
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**22:45 - 赤いパトカーの通過**
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遠くからサイレンの音が近づいてきた。
赤と青のライトが闇を切り裂く。
巡回中の警察車両だ。
ヨシオは反射的に身を縮めた。
職質されるかもしれないという恐怖が蘇る。
手錠をかけられた悪夢の日々。
裁判所での屈辱。
すべては些細な窃盗未遂から始まった。
(あんな思いはもう嫌だ)
彼は心の中で祈った。
どうか素通りしてくれと。
幸い警察車両は速度を落とすことなく駅前を通過していった。
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**22:55 - 再会**
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「お待たせしました」
宮本が戻ってきた。
コンビニの袋を提げている。
「これ、買ってきたんですけど」
彼女は袋を差し出した。「おにぎりとカップ麺、あとペットボトルのお茶です」
「本当にありがとう」




