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異世界バディ ー 天才双子少女の転生チート無双 ー  作者: こみやし
01.災禍の予兆

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9/12

01-04.お誕生日会




「まあ♪ 素敵なドレスね♪」


 大人っぽいわ♪ うふふ♪



「よくお似合いでございます。ステラ様」


「ふふ♪ ありがとう♪ ヴィオラ♪」


 でも少しばかり露出し過ぎではないかしら♪



「今回だけだからね」


「あら? どうして?」


 確かにいつもの一張羅も素敵だけど、これはこれで悪くないと思うの♪ たまにはイメチェンも良いわよね♪



「ステラには似合いすぎる。そんなの着てたら男共どころか淑女の皆様までお近づきになりたいと思うじゃないか」


「まあまあまあ♪ ヴィオラ聞いた♪ アミったら可愛い事を言ってくれるじゃない♪」


「はい。バッチリと」


「ほら行くよ。僕らが遅れるわけにはいかないんだ」


「そうね♪ エスコートしてくださるかしら♪」


「喜んで。マイレディ」


 ふふ♪ アミも素敵な王子様ね♪ 今夜の主役である第七王女様も一目惚れしてしまうのではないかしら♪




----------------------




「ラクティ辺境伯? あのような若造が?」


「先代は偉大なお方であったが……」


「聞けば子に恵まれなかったとか」


「たしか養子は元平民ではないか。それが辺境伯だと?」


「赤金を私物化して功績を積み上げた恥知らずか。いったいいくら積んだのか。偉大な先代の遺産を食いつぶしておいてよくも抜け抜けとこの場に姿を現せたものだ。或いは男娼紛いの……ごほん」


「これだから蛮族は」


「辺境伯と言えど所詮相手は魔物畜生。土地を切り開いた先代ならばいざ知らず。身の程を弁えぬ愚か者め。他の辺境伯と同等の扱いを受けられるものなどとよく思えたものだ」



 悪いね。僕としても不本意だ。折角早めに来たのに結局入場は待たされたんだから。文句があるなら陛下に直接言って欲しいね。これは全て陛下の差配だよ。君たちは知らないだろうけどさ。




----------------------




「隣の娘は何者だ? 見ない顔だ。あれ程の器量、話題にならぬ筈はない。先代が招いたのか? 何処の隠し子だ?」


「なっ!? あれは!? 赤金!?」


「赤金だと!? あの爆炎狂いが何故ここに!? 奴め! やはりあの噂は本当だったのか!」


「美しい……」



 早速バレたか。少し意外だ。ステラはいつものトレードマークであるゴスロリとクマのぬいぐるみを身に付けていないのに。知名度がありすぎたね。当然か。


 しかし美しすぎるのも罪だよね。ステラは諸事情で彼らにとっては憎しみの対象ですらある筈なのに。中には明らかに惚れている連中までいる始末だ。やはりこうなったか。わかってはいた事だけどあまり良い気はしないね。僕のステラにいかがわしい目を向けないで欲しい。本来君たちには視界に入れる権利だってありはしないんだよ。精々感謝してもらいたいね。




----------------------




「ラクティ様だわ♪ 今日は一段と凛々しいお姿ね♪」


「まあ♪ 素敵なお方♪ 辺境伯様? あの若さで?」


「お二人ともなんてお美しいの♪」


「ほんと♪ 絵になるお二人だわ♪」



「(ニコ♪)」


「「「「「(きゃ~~~~!!!)」」」」」



 うん。こっちも想定通りの反応だ。初めて見る方々もいるけどいつも通りだし。ただステラを連れて来るのは初めてだ。ステラは苗字こそ貰ったものの平民のままだからね。普通なら連れてこれない。今回は特別だ。




----------------------




「そろそろかしら?」


「うん。公爵閣下は揃った。次はいよいよ王族の方々だ。くれぐれも失礼の無いようにね」


「ふふ♪ 任せて頂戴♪」


 やけに自信満々だ。第一王子の件があるから? それともステラも城に入ったことはあるからだろうか。僕と一緒の時ではなく、以前赤金等級の冒険者として陛下に呼び出されたことがあったよね。その時に意気投合でもしたのだろうか。この姉とあの陛下ならばあり得る話だ。どちらも悪戯好きだもの。あまり組んでほしくない二人だ。




----------------------




「ステラ! ステラ・ディアス!!」


 バカ殿下め……まだ入場の途中だろうが。列を外れて他の者が連れた女に駆け寄るとは。なんて恥知らずな行いだ。



「まさか来ていたとは! 禁は解かれたのか!? 陛下は何故黙っていた!?」


 お前がそんなんだからだ。女に現を抜かして大金を注ぎ込んだ馬鹿王子め。


 ……色々と言いたいところだけど、今はグッと我慢だ。まだ口を開く許可が降りていない。殿下の言葉を遮ってしまえば心象はより悪くなる。殿下のだけではない。周囲の者たちからもだ。ただでさえ誰一人僕らの味方なんていないのだ。タイミングを見計らえ。大丈夫。僕になら出来る。



「殿下。どうぞ列にお戻りを」


 ステラは恭しく傅いた。あの赤金が王族に向かって頭を垂れた。その光景に異常を知る者たちが一人残らず驚愕している。かくいう僕もその内の一人だ。まさかステラがこんな対応を取るなんて。



「今宵のわたくしはラクティ辺境伯閣下のパートナーです。勝手にお手を取られては困りますわ」


 ナイス♪ 流石ステラ♪ これで僕も!



「なっ!? パートナーだと!?」


「殿下。お戻りを」


「いったい!?」



「兄上!!!」


 あ、遅かった。



「そこで何をしているの!!!」


 ブチギレた第七王女しゅやくが自ら近づいてきた。もう滅茶苦茶だよ。前代未聞だよ。あ、今陛下がニヤッとしてた。見物する気満々じゃん。見世物を楽しむ気じゃん。ちくしょう。やるっきゃないか。



「今日がいったい何の日か忘れてしまったのかしら!!! どうやら背丈だけでなくオツムまで小さすぎたようね!! 仕方がないから教えて差し上げるわ!! 今日はこの私の誕生と成人を祝う日よ! 決して兄上の婚活パーティーなどではなくってよ!!!」


 うわ~お……。



「なん……だと……」


 流石に怒るか。普段は聞き流している方なのだけど。



「聞こえなかったのかしら!! 即刻その令嬢から離れなさい!! 背丈とオツムだけでなく耳と目も足りていないのかしら!? そちらの令嬢にはどう見てもお相手が……え?」


 え?



「……貴方は?」


「お初にお目にかかります、王女殿下。アミ・ラクティ辺境伯と申します」


「ラクティ……そう。貴方が……」


 真っ赤になって視線を逸らしてしまった。どうやら惚れられたらしい。ふっ。僕も罪な男だね。女だけど。



「マリアルバ!」


「っ!?」


 咄嗟に体が動いていた。王女を庇って激昂した王子の前に立ち塞がってしまった。



「貴様!!」


 王子は止まらない。一瞬驚きはしたものの、すぐに気を取り直して手を出してきた。


 仕方ない。一発殴られ、え?



 バチン!!


 身体が後ろに引かれると同時に、僕と入れ替わるように王女殿下が身を乗り出し、第一王子の頬に腰の入った強烈な平手打ちをかました。



「「「「きゃぁっ!?」」」」


 ゴンッ!! ドンガラガッシャン!!



「……へ?」


 数メートルは吹っ飛んだ第一王子。料理のたっぷり乗ったテーブルに後頭部を打ち付け、力なく崩れ落ちた。ついでに料理も落ちてきた。テーブルクロスごと滑り落ち、王子の姿は瞬く間に見えなくなった。



「「「殿下!!!」」」


 慌てて近衛たちが駆け寄ってきた。当然僕の方にも……ありゃ?



「あ、王女殿下」


「マリーとお呼びくださいまし♪」


 何故か王女殿下に抱きかかえられている。王女殿下は片腕で平然と僕を抱え、躊躇することなく顔を近づけてきた。



「おいたはダメよ。王女様」


 僕と王女殿下の顔の間に手のひらが差し込まれた。



「貴女、良い度胸してるわね」


 潔く? 僕を立たせて離れながら、王女殿下はステラの方へと視線を向けた。



「先程のも見えていたのでしょう? どうして止めなかったのかしら?」


「はて。なんのことやら」


「気に入らないわね」


「捕らえるおつもりかしら?」


「嫌よ。今日はわたくしの誕生日ですもの」


 まだ続けるつもりなんだ……。



「アミ様。またいずれ♪」


 王女殿下は綺麗なカーテシー(本来は目上の人に対して行う挨拶)を披露し、颯爽と主役席に上がっていった。



 そして何事もなかったかのように始まるお誕生日会。僕らも特に追い出されるようなこともなかった。



「またお会いしましたわね♪ アミ様♪」


 そりゃ会うよ。君のお誕生日会だもん。ちゃんとプレゼントだって持参したんだから。



「我が領における特産品、魔石を加工した品にございます」


 前世の知識チートを駆使して作り上げた産物だ。僕が持ち込むまでこの世界に魔道具なんて概念はなかったからね。勿体ない。魔石の有用性に気付けないだなんて。まあ、御爺様の協力無くして実現しなかった理論だから、百パーセント前世由来ってわけでもないんだけれど。



「まあ♪ 素敵ね♪ お話はかねがね伺っておりますわ♪ 魔道具と呼ばれるものでしたわね♪」


「よくご存知で」


 本当によくご存知で。まだ市場には出回ってないのに。王都にあるのなんて陛下や、極一部の交流のある高位貴族に献上したものくらいなのに。犯人絶対陛下じゃん。これも企みごとの一環だよなぁ。間違いなく。



「実はわたくしからもお返しがございますの♪」


 なんでさ。意味分かんないんだけど。今日は貴女様のお誕生日ですよ? 他の人たちにそんなものなかったじゃんさ。



「陛下♪ わたくし決めました♪」


「そうか。うぅ……寂しくなるのう」


 は? 何ニヤけながらウソ泣きしてんの? この狸爺は。



「わたくし、マリアルバ第七王女は、ラクティ辺境伯家に降嫁致しますわ♪」


 ……うん?



「申し訳ございません。王女殿下」


「決定事項ですわ♪」


 どっかで聞いたようなセリフだなぁ……この似たもの兄妹め……。



「ぼ、ごほん。私には」


「側室の一人、二人許容致しますわ♪」


 えぇ……。



「陛下……」


 お前知ってるだろ。僕は女だ。



「うむ!」


 「うむ!」じゃないよぉ!?


 何本気で涙ぐんでんの!? これ全て計画通りなの!? マジで意味わかんないんだけど!? 最初から嵌めるつもりだったの!? その為に諍いを起こさせたの!? 王女が僕に惚れるようにする為に!?


 だいたいこの場にだって僕が女である事を知っている貴族は皆無ってわけじゃないんだよ!? 領内の一部の人たちは普通に知ってることだからね!? 本当にこれどういう事なの!? いったい何を企んでるのさ!?



「私は……」


「そうかそうか! 受けてくれるか! 皆の者! 我が娘とラクティ辺境伯の婚姻に祝福を! いやぁめでたいのう!」


 ゴリ押した!?



「これはいったいどういうことかしら? 陛下?」


「っ!?」


 何!? 殺気!? え!? 姉さんが!?



「「「「貴様!! それ以上近づくな!!!」」」」


「別に城ごと焼き尽くして差し上げても構わないのよ?」


「「「「なっ!?」」」」


「私の"妹"に何をさせるつもりなのかしら?」


「「「「「「「「なっ!?」」」」」」」」


 バラした!? 姉さんがあっさりバラしちゃった!?



「落ち着け。赤金」


「わかっていて私の大切なものを奪うのでしょう?」


「逆だ。余が娘を差し出すのだ」


「……本気?」


「二言は無い」


「……そう」


 なんで!? なんで姉さんは納得してるの!?



「よかったわね♪ アミ♪ 可愛い子じゃない♪」


 よくないよ!? 姉さんまで何言ってるの!?



「王女殿下! 僕は!」


「存じておりますわ♪」


 何を!? まだ何も言って!? いや言ったわ! 姉さんがたった今! 落ち着け! 僕!



「王女殿下。やはり僕は」


「ラクティ辺境伯。そこまでだ。次が控えている。貴殿にはご同行願おう」


 ステラ諸共、近衛に囲まれてしまった。ステラもこの場で暴れるつもりはないようだ。



「また後ほど♪ アミ様♪」


 ……逃げたらマズいかな。

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