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【完結済】異世界バディ ー 天才双子少女の転生チート異世界征服 ー  作者: こみやし
03.王国動乱

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03-06.開戦


 戦争が始まった。



 彼らは何ら躊躇う事もなく、あっさりと攻め込んできた。手続きもなにもあったものじゃない。


 こうなってしまえば反撃するなだなんて口にはできない。あくまでそれは、敵が領境を侵さない場合の話だ。



「いくらなんでも判断が早すぎるね」


 弔い合戦はまだわかる。しかし、ステラが犯人であるという情報は、新伯爵の証言でしかないはずだ。今のところは。


 だと言うのに、周辺領がこぞって彼に協力しているのだ。これは前々から計画されていたものと見るべきだろう。事件が最後のトリガーだったのか、でっち上げなのかはわからないけれど。


 彼らの狙いは魔道具か。陛下が計画を推し進めたことで、その価値が証明されたのだろう。彼らはハイエナのように、このちっぽけな領を狙っているのだ。



 一見すれば多勢に無勢だ。こちらには万に一つの勝ち目もない。ただでさえフォルティス伯爵領は広大な敷地と、それに見合うだけの人口を備えた大領だ。昨今の我が領は中々のものだけれど、今回ばかりは相手が悪すぎた。


 しかも、そこに周辺領がこぞって相乗りしているのだ。これは勝ち戦だと本気で信じ、我先にと兵力を注ぎ込んでいるのだ。後の取り分をより多く確保するために、全力でベットしているわけだ。そんなくだらない思考で、こちらの領の規模に対して過剰とも言える莫大な戦力を注ぎ込んでいるのだ。



 しかしそれでもだ。


 我がフォルテイア辺境伯領は精強だ。正直、この状況でも負ける可能性は欠片もない。


 それも当然だ。こちとら毎日毎日未開拓領域の強大な魔物たちを相手取っているのだから。


 それでもまだダメだ。反撃はもう少しだけ待たなければ。こちらまでルールを無視してしまえば後の立場が悪くなる。ステラの容疑も晴れていない現状だ。慎重に動かねば。



「申し訳ございません。一月、保ちませんでした」


「ううん。よくやってくれたよ。あと数日の辛抱だ」


「領内が焼かれますわ」


「大丈夫。避難は済んでいるんだから。家はまた建てればいい」


「三日が限度ですわ」


「そうだね。それだけあれば十分さ」


 陛下との直通ラインももう直繋がる。通信魔道具を領外に持ち出すのは避けたかったのだが、これはどうしても必要な一手だったのだ。仕方ない。


 当然、現状の通信魔道具では王都までは届かない。だから通信範囲を延長させるために、幾人かの中継役を派遣した。


 元々、前伯爵との通信のためにフォルティス伯爵領にも忍ばせていたのは幸いだった。そこが一番の難関だからね。後はどうにかして隣領とその周辺領を抜けさせるだけだった。


 それでも少々手間取ってしまったが、どうにか開通直前にまでこぎ着けた。あともう一手。陛下の手に通信魔道具が届きさえすれば、こちらにも大義名分が産まれるだろう。



「これはもう、仇討ちなんかじゃない。国家への反逆だ」


 フォルテイア辺境伯領は特殊な土地柄だ。この土地を責め滅ぼすということは、即ち国を滅ぼすということだ。彼らはその役割を失念している。僕らがいなければこの国は圧倒的な脅威に晒されるだろう。


 平和な世が長く続けば、人はこうも忘れ去るものなのだ。お父様の代から数十年。この国は未開拓領域に端を発する、魔物たちの「大暴走スタンピード」を経験せずにいた。


 彼らには想像も及ばないのだろう。普段相手取る魔物たちとはまるで別格な獣たちが、群れを成して襲い来る絶望感は。


 かくいう僕だって実際に見たことがあるわけじゃない。けれどわかる。その脅威はステラにだって犠牲無しには止めきれない。


 それを人為的に引き起こそうとしている者たちが存在する。


 僕らがフォルティス伯爵家を始めとした連合軍に気を取られている隙に、森を汚染するつもりなのかもしれない。


 全てはかの組織の計画通りなのかもしれない。もっと直接的に新伯爵を唆しているのかもしれない。


 せめてステラがいれば。背後を任せられたものを。


 そもそもステラがいれば、彼らの主張する口実だって無くなるけれど。だからと言って今更引き返せはしないだろう。


 彼らは碌な宣戦布告もせずに我が領地へと踏み出した。最低限の手続きすら行われていない。おそらく王家の介入を恐れてのことだろう。彼らは未だ、自身の行いは正統なものであったのだと言い張るつもりなのだ。速攻で踏み潰せば、それがまかり通ると信じているのだ。滑稽なことに。



「現フォルティス伯爵の背後には間違いなく奴らがいる筈だ」


 そんなことにも気付かずテロ組織に手を貸す愚かな領主たちには、鉄槌を下さなければならない。



「三日後。陛下の意思確認が済んだその時。僕らは反撃を開始する。それまでくれぐれも怪我のないように」


「周知いたしますわ」


「結構」


 万が一陛下が反撃を認めない場合はどうしようか。


 いっそこのまま王国ごと……。いや。そんなものは手に余る。僕らが進むべき先は正反対だ。欲しいのは未開拓領域全域だ。そのためにも人手は欲しいけれど、アルカディアという国そのものには興味がない。いずれ掌握する必要はあるけれど、今である必要はないはずだ。



「この騒ぎでステラも顔を出してくれないかな」


「可能性は高いかと」


 逆にそうでないなら、敵の手に落ちた可能性が高まってしまう。最悪、戦争にだって駆り出されるかもしれない。そうなればお終いだ。僕らに勝つ術は存在しない。間違いなく世界ごと滅び去るだろう。


 頼むよ。ステラ。そんなふざけた結末にだけはしないでおくれよ。

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