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【完結済】異世界バディ ー 天才双子少女の転生チート異世界征服 ー  作者: こみやし
03.王国動乱

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03-05.急転直下


「は? ……伯爵が? 殺された?」



「はい。間違いありませんわ……」


「いったい何が!?」


「落ち着いてくださいまし。どうか最後までお心を乱さぬようお願いいたしますわ」


 まるでこれが最悪の報告ではないのだと言いたげだ。


 これ以上にどんな問題が起きたというのか……。



「結論から申し上げます。犯人はお姉様ですわ」


「……はぁ?」


「もちろんわたくしは信じてなどおりません」


「当たり前でしょ!!」


「どうか落ち着いてくださいまし」


「落ち着けって!? これが!」


「アミ様!!」


「っ!? ……ごめん。話を聞かせておくれ」


「はい……」



 フォルティス伯爵が殺害された。


 犯行現場は伯爵自身の執務室だ。


 犯人は派手なドレスを身に纏い、クマのぬいぐるみを手にした少女。


 彼女は伯爵を殺害し、長細い箱型の何かを持ち去った。


 彼女が去る直前、部屋に入ってきた御子息がそれらを目撃した。



「先程屋敷に、ギルドからの出頭要請が届きましたの。ギルドもお姉様の行方を把握していないのですわ」


 ステラは少し前から姿を消している。


 しかも意図的に連絡が届かないように遮断している。


 ステラにいったい何が……。



「大至急事実確認だ!! ステラの行方も探させて! 僕も出る! ここは任せるよ!!」


「なりませんわ!」


「……なんだって?」


「アミ様がこの屋敷を離れることは認めませんわ」


「何を言ってるんだ!」


「捜索には偵察機を用いてくださいまし!」


「そんなのたとえ見つけられたって捕まえられるわけがないじゃないか!」


「お姉様は無実です」


「そんなのわかってるよ!!」


「逃げることはありません」


「だったら!! なんでフィリーに繋がらないのさ!!」


「お姉様は捕捉されれば観念しますわ」


「そんなの! ……わかってるよ」


「どうか冷静に。ご自身の為すべき事を見誤らないでくださいまし。我々にはアミ様が必要なのですわ」


「……ごめん」


 落ち着け……マリーの言う通りだ……ここで僕が屋敷を離れれば隙を生むことになる。誰かがステラに濡れ衣を着せたのだ。その誰かはステラに化けることが出来るのかもしれない。もし万が一この屋敷に攻撃を仕掛けてきたら……。


 いいや。能力までステラと同じである筈がない。姿形だってこの屋敷の者を騙せる程とは限らない。



 これは敵の策略だ。先ずはその敵が誰なのかを見定めなければならない。組織の連中か、はたまた伯爵の息子が自作自演を仕掛けてきたのか。或いは全く別の第三者なのか。


 そもそも目的はなんだ? 長細い箱……通信装置か!? なら犯人は伯爵がそれを手にしたと知っていた人物!?


 ……バカな。そんな筈はない。そんなことを知っているのは極一握りの者たちだけだ。伯爵自身が吹聴しない限り、犯人が知り得ることはなかった筈だ。


 奪われたのは何か他の物か? それとも通信装置が目的だったわけじゃない? ステラに罪を擦り付けることそのものが目的だった? 奪うものはなんでもよかった? 通信装置が選ばれたのは偶然か?


 いや。あの伯爵がそこらに置きっぱなしにしていた筈がない。例の息子に見つけられないよう隠していた筈だ。


 犯人はそれを見つけたのか? どうやって? 魔力視? 魔石の放つ魔力を視て? 魔道具なら僕らと何か関係があると当たりを付けた?


 これは僕に対する挑発? 伯爵と接点を持ったから? 視ているぞとでも言いたいのか?


 犯人は組織に連なる者か。その可能性は高いだろう。



 ……あり得ない可能性だが仮にだ。奴らが何らかの手段でステラを捕らえたのだとしたら? ステラの姿で僕の周囲を荒らし、挑発しているのだとしたら?


 僕らは散々奴らの邪魔をしてきた。当然恨まれているのは間違いない。復讐しようと考えるのもおかしな話じゃない。



 最悪の事態に備えるべきだ。僕には守るべきものが多すぎる。ステラが洗脳された可能性まで含めて対策を練らねば。


 ステラだって無敵じゃない。巧妙に複数の人質を取られれば、投降せざるを得ない状況だってあるかもしれない。


 フィリーがステラの下を離れているなら、繋げられない状況にも納得がいく。変装のために奪われた可能性もある。


 それがどれだけあり得ない可能性であったとしても、想定して動く必要がある。でなければ大切な者を失うだろう。



「マリー。今すぐ議会の招集を」


「よろしいのですわね」


「うん。全て話すよ」


「畏まりました」


 八官の皆にだって、全てを話してあったわけじゃない。特に組織周りの事情は伏せてあった。けれど今はそんなことを隠しておける状況じゃない。奴らが何を仕掛けてくるかわからないのだ。防備を固めねば。最悪領都に呪いをバラ撒かれてしまう。敵がステラの姿を完璧に模倣出来るなら容易に実現出来るだろう。


 とにかく時間がない。急がねば。何もかも。




----------------------




 議会を招集した僕らは、明かせる限りの情報を明かして協力を求めた。


 その場に集まった者たちからは、誰一人として反対意見を出す者は出なかった。



 それからすぐにギルドとも連携し、調査を進めた。


 ガルディアス方面に飛ばした偵察機からは、ステラの居場所を掴めなかった。おそらくステラがいるのは別の場所だ。


 コルカには、魔力視を再現する装置の作成を依頼した。実現出来たら偵察機に積み込む予定だ。それでステラの捜索も捗るだろう。



「『ステラ・ディアス』を差し出せの一点張りですわ」


 フォルティス伯爵の御子息、いや……既に彼がフォルティス伯爵か。父亡き後、彼は伯爵の名を継ぎ、父の無念を晴らそうと燃えているそうだ。……表面上は。



「これ以上庇い立てすれば容赦はしないと?」


「はい。明らかに謀略の意図が伺えます。これを機に辺境伯家の掌握を狙っているのでしょう」


「だとすると次に打つ手は」


「仕掛けてきますわ。戦争を」


 先代伯爵は、我が子が死後に利用されることを嫌悪した。だって言うのに、その伯爵自身が我が子に利用されるだなんて……。なんて悪辣な運命だ。現伯爵は父から何も聞いていないのだろうか。或いは全てを知った上で利用しているのだろうか。ステラに罪を被せたのもその策の一環、目撃証言なんてものは真っ赤な嘘なのだろうか。彼自身が父の命をその手にかけたのだろうか……。だとしたら僕は……。



「現フォルティス伯爵は、既に軍の準備を進めております。同時に周辺領への協力要請も」


 僕らは嫌われ者だ。当然手を貸す者も現れるだろう。



「陛下はなんて?」


「まだ返事は届いておりません」


 流石に無理があるか。馬車でも片道二週間。早馬でも往復となれば、最悪十日近くかかるだろう。王国から鎮圧部隊が投入されるのに至っては更にずっと先の話だ。そもそも伯爵が攻め込んできてからでなければ動けまい。当然その報告が届くまでにもまた時間が掛かる。当てにするべきではないのだろう。



「こちらからの反撃は極力無しだ。軍には領堺を守護させつつ、領民の避難を急がせておくれ」


「遠距離砲撃による牽制も懸念されますわ」


「それでもだ。回避と避難を最優先に。怪我人はすぐに下がらせて。最悪僕が出る。ステラ程ではないけれど、僕だって普通の人とは違うからね。脅かして追い返すくらいのことは出来る筈さ」


「アミ様は」


「わかってる。本当に最後の手段だ。僕は僕の為すべきことを。だろ?」


「失礼致しました」


「ううん。すまないね、マリー。こんな事に巻き込んでしまって」


「何を仰るのです。わたくしはアミ様の妻ですわ」


「うん。君がいてくれて本当によかった」


「ご理解いただけて何よりですわ」


「増々惚れ直したよ」


「お戯れはそこまでに」


「そうだね。僕はステラの捜索を続けるよ」


「はい。こちらは信じてお任せくださいまし」


「うん。任せたよ。マリー」


「御意!」

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