6しつこいロイド
それから数日後、学園の卒業式だった。
私は無事に式を終えて帰ろうとしていた。父は式には参加してくれたが忙しいので先に帰った。
「すまんアリス。この後も仕事が控えていてな。一人で帰れるか?」
「お父様私はもう18歳ですよ。アルじゃないんです。いいから仕事遅れますよ。さあ、早く行って下さい。式に来てくれてありがとう」
「いいんだ。卒業おめでとうアリス。今夜は早く帰るからな。一緒にお祝いしような」
「ええ、それじゃ私ケーキ作ります」
「いや、ケーキは私が買って帰ろう。アリスのお祝いだぞ。お前が作るケーキはうまいがそう言うわけにはいかん」
「でも、みんなで飾り付けとかしたら楽しいし、やっぱり私が作ります。心配いりません。その代りお花を買って下さい」
「そうか。じゃあ、お前が好きなフリージアを買って帰ろう。じゃあ、行って来る」
「ええ、気を付けてお父様。行ってらっしゃい」
私は父を見送るとエリナ・フォルナー子爵令嬢と一緒に門に向かった。
「アリスの所は家族の仲がいいわよね。羨ましいわ」
「そんなの、うちは弟や妹の世話が大変なのよ。私こそエリナは一人娘ですご~く大切にされてるって思うわよ」
「その分跡取りを見つけるのが‥ねぇ」
「そんなのきっといい人がいるわよ。王宮には書記官だって騎士だっているんだもの」
「そうだといいんだけど‥」
そんなたわいのない話をしながら歩く。学園から屋敷までは歩いて15分ほど散歩がてら歩いて帰るつもりだった。
エリナとは同じクラスで席も近く時々話をしていたが、彼女も婚約者の心変わりで婚約を解消していて私は彼女に悩みを話していた。婚約破棄をした事も知っているし何でも気軽に話せる友人だ。
エリナに別れの挨拶をしたところで声を掛けられた。
「アリス!待ってくれ、話がしたい」
いきなりロイドが現れた。
驚くじゃない。今さら何の用?私は思わずくっと身構える。
「ヴァルト伯爵令息、話しなどありません。失礼します!」
「アリス、一緒に帰りましょう」
エリナも婚約破棄の事情は良く知っているので彼から引き離そうと私の手を取った。
「ええ、エリナありがとう」
ロイドが私の前に立ってそれを制止する。
「待ってくれ、スーザンとは別れた。だからアリス。君とやり直したい」
「だからどうだって言うんです?当てにしていた話が思い通りにならなかったからですか?一度返納した爵位が簡単に取り戻せると思っていたなんて。ったく、スーザンと別れたからって私をよりを戻す気だなんて勝手ですね」
いつもの私とは思えない信じれないような言葉が零れた。
「っつ!ちがう。最初からスーザンとは本気じゃなかったんだ。好きなのはアリスだけだ。本当だ。信じて欲しい。だからもう一度考え直してくれないか?」
はっ?ふざけてるんです?仮にも義理の妹だったんですよ。いくら誘惑されたからってやっていい事の区別もつかないなんて!
それほどスーザンの事はショックだった。早く忘れてしまおうと考えないようにしていた。
それなのに本気じゃなかったからやり直そうなんてロイドあなたひどすぎるわ。
自分でも思っている以上に心がズクズク痛んだ。
「いい加減自分のやった事を認めたら?都合のいい事ばかり言わないでよね‥話はないわ。さようなら」
「待ってくれ。アリス。俺は君がずっと好きだったんだ。だから結婚したいんだ。この気持ちは嘘じゃない」
私はジロリを彼を睨む。
「どこまで人を馬鹿にする気?いい加減にしてよ!行こう、エリナ」
「待てアリス。なぁ、みんなこの程度の事してるじゃないか。本気じゃなく遊びだったんだ。それくらいわかってくれたっていいんじゃないのか?なぁ‥ちょっと待てよ」
私はロイドが呼び止めるのも無視してその場を立ち去る。
「あっ、うん、アリス大丈夫?酷いよね。散々好き勝手しておいて自分の都合が悪くなったらあんな事を言うなんて、アリス、あんな奴の言う事信じちゃだめだよ。同じように裏切られた私は後を追って来られる事はなかったけど、あんなの絶対うそだからね!だって元婚約者また別の子と付き合ってるんだから。ほんと。男ってそういう生き物なのよ」
エリナの婚約者は同じ子爵家の次男で2つ年上で騎士隊に入っていたが浮気がわかった。でも、相手は騎士ならこれくらい当たり前だって開き直った。そんなのエリナが無理だって言う話になって婚約を解消したのだ。
「うん、わかってる。もう、二度と信じないあんな奴このとなんか!ねえ、エリナ明日、お茶でもしない?」
「ええ、仕事が始まったらなかなか会えないもの。明日、一緒に買い物でもしようよ」
話はすぐにまとまった。
笑顔で手を振りエリナと別れたが私の心はズタズタだった。




