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婚約破棄して心をズタズタにされましたがなぜか子持ちの国王(いとこ)から好意を寄せられている気がするんですが  作者: はるくうきなこ


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5/27

5しっかりしろ私!


 私は昨夜の失態を激しく反省した。

 あんな男に何かを期待していた自分が腹立たしい。これからはそんな感情はくしゃくしゃにしてねじ伏せるべきよ!

 男?そんなもの食事で言えば料理を引き立てるためのテーブルクロス程度。野蛮で無能で役立たず!!

 ちょっと甘い言葉を囁けば鼻の下をだら~んと伸ばしていやらしいことを期待する。

 強気で文句を言えば猫撫ぜ声で機嫌を取って、期待するのはエッチをする事だけ。

 まあ、私には一度もなかったけど。ばかみたい!

 そして私は誓いを立てた。

 これからは一切の恋愛感情はすべて排除すべし!

 仕事でも合理的かつ生産向上の理念においてのみ男を利用すべし!

 男は敵!一切の感情は排除すべし!

 でも‥‥思った先から決意が崩れそうになっている。

 もう、ばかばか!!


 数日後ロイドとの婚約はロイド有責で破棄となった。話し合いの場で私はあの決意を胸に今までの仕打ちをすべて暴露した。

 但し、心臓は飛び出そうなほどバクついてたし、呼吸もままならないほどだったけど。


 「ロイドお前という奴は!アリス嬢との婚約はお前の有責で破棄する。申しわけなかった」

 ヴァルト伯爵がはっきり認めた。

 「そんな。父上はアリスの言うことを信じるんですか」

 「当たり前だ。証拠があるんだ。まだ言い訳する気か?ロイドいいか、あの女との婚約は認めんからな。どうしてもというなら籍を抜く。好きにしろ!」

 「そんな、スーザンとの事は本気じゃ‥父上!」

 「もう遅い!」


 こんな日が来るとは思っていなかったがノートの書き留めておいてよかった。

 ロイドは慌てて私の方を見た。

 「そうだ。アリスもう一度俺とやり直そう。俺が悪かった。スーザンとは別れる。これからはお前だけだ。それならいいだろう?お前嫉妬してたんだよな?俺が好きなんだろう?なぁアリス頼むよ~」

 結構整った顔。甘えた声ですり寄って来て‥

 途端に脳内で悪魔のささやきが‥こんなに言ってるんだから婚約破棄じゃなくても…

 「でも‥‥」

 思わず気弱になる。ロイドがすかさず畳みかけて来る。

 「なぁ、アリス。もう一度やり直そう。今度こそ俺はお前を大切に扱うって約束する。だから」

 ふっと私の手を掴もうとした。その手を見て思い出す。この手で今まで何人の女に触れたの?この言葉に何度騙されて来たと思ってるの?

 今まで私は魔力がないし借金の事もあったから我慢して来た。でも、スーザンと‥もう絶対に許せるわけないじゃない!!

 そうよ。こいつを信じちゃダメ!!

 ロイドの差し出した手をピシャリと払う。

 「先ほど婚約破棄が整ったと言うのに、私とあなたはもう何の関係もないとお分かりですか?ロイド・ヴァルト令息。これ以上私に近づけば騎士隊に通報しますよ」

 琥珀色の瞳は今までで一番冷たく輝いた。


 「そんなぁ、硬い事言うなよ。俺と君の仲じゃないか」

 悲しいかな、我が家には護衛騎士などという便利な人はいません。が。

 「父上、先ほどの会話録音出来ました?」

 私は事前に父の頼んでいた。そうでなくても小心者の私。言い任される可能性も無きにしも非ずと。

 「ああ、彼を訴える材料は揃っている。ロイド君、君も諦めが悪い。これ以上娘に近づくならこちらも考えがある。私はアインベック国王の側近だと言うことをお忘れですかヴァルト伯爵?」

 ヴァルト伯爵は鉱山を持っていて鉱山から採れる金や銀は王家を潤している。そのため王家はヴァルト伯爵と親しくしていたがアインベックが国王になってからは少し状況が変わったらしい。ヴァルト伯爵には隣国との密輸の疑いがあるらしいと噂が。

 それにうちの父様だってやるときはやるみたいです。

 お父様かっこいい。コホン。これは私としたことが‥いや、肉親は別格よね。


 「申し訳ありません。愚息が愚かな事を。二度とアリス嬢には近づけさせません。どうかご勘弁を‥」

 ヴァルト伯爵はロイドをひきずるようにして帰って行った。彼らが二度と我が家を訪れることはないだろう。

 もちろん慰謝料はきっちり頂いた。3年前の支援金の返済はすでに終わっていたんだもの当然!

 そのお金はアッサムの学園入学資金とすることに決まった。

 「アリス大丈夫か?」

 父が心配してくれた。

 「お父様、ありがとうございます。でも、私の事は心配いりません。私、ここにいてもいいですよね?」

 私が満面の笑みを受けると父の顔が少し引き攣っていた。

 でも、気にしない、だって私は間違っていないんだもの。


 「アリス。もちろんだ。お前がいてくれないと困る。頼りにしてる。それにしてもいくら子供のためとはいえあんな女と結婚して悪かった。後悔している。お前には辛い思いをさせてすまなかった。イザベラとは正式に離縁した。もう、あの二人が我が家にいる事はないから安心してくれ‥その、本当にすまん」

 「いいんです。お父様が決心してくれて良かった」

 「私が愛したのはお前の母様だけだ。イザベラには子供たちの面倒を頼めれればと‥あいつの口車に乗せられてつい‥」

 「そんな事、ずっと前からわかってました。もう、終わった事です。でも、お父様これからは一緒に子育ても手伝ってくださいよ」

 「ああ、アインベック国王も即位されて1年。そろそろ仕事も任さられそうだからな。今度休暇を取って出掛けよう。な、アリス」

 「ええ、動物園。それともピクニック?一緒に出掛けるって言ったらみんな喜びます」

 「ああ、私にはお前たちが一番大切だからな。アリスありがとう」

 「そんな水臭い。親子なんですから‥」

 「ははは。そうだな‥お前がいてくれて本当に良かったよ」

 父はイザベラと離縁した。

 イザベラとスーザンはすでに荷物を引き払っていた。作ったドレスや宝石などは何も残さず残っていたのは支払明細書だけ。ってドレスいつの間に作ったの?

 父に聞けばお金はどうやら生活費としてイザベラに渡していたらしく、そこでやっとイザベラが勝手に自分のドレスや宝石、スーザンの身の回りの物を買っていたと気づいた。

 ひどぃ~!!私には持って来たドレスだと言ってたくせに!

 どうりで妹や弟の服が買えなかったわけだ。つい借金をしてからの節約癖が抜けなくて必死で服の手直しをしていたけど、あれも全部イザベラがお金をこっちに回さなかったせいなのね。

 もう、私ったら気づくの遅すぎじゃない?

 ほんとにあの人たち我が家の厄介者だったわ。もう二度と関わりたくないから!

 もちろんスーザンがロイドとどうなったかは知らない。知るつもりもないけど。



 こうして私は無事に学園を卒業して王宮の警務局に入った。担当は騎士隊の食品管理係になった。日々大量に入る食糧の管理などを行う。忙しく責任のある仕事。

 まさに私にぴったりじゃない。

 でも、時々私の事を魔力もないくせに王宮に勤務なんて、どうせ父親のこねでしょ。

 なんてことを囁かれている。でも、そんな事気にしていても仕方がない。私にできる事を頑張るしかない。

 しっかりしろ私!

 









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