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婚約破棄して心をズタズタにされましたがなぜか子持ちの国王(いとこ)から好意を寄せられている気がするんですが  作者: はるくうきなこ


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4男の為に泣くなんて無駄だって思う。けど‥


 私は二人を残してさっさと我が家に帰って来た。我が家は領地もない貴族だ執事もいない。母が生きている頃は侍女もいたが亡くなって借金を抱えるころには暇を出した。

 それでも乳母のマトがいてアルの世話をしてくれたので助かった。でも、そのマトも体調を悪くして仕事をやめて家族の元に帰った。

 そしてやって来たのがイザベラとスーザン。あの人たちは一体我が家になにをしてくれたんだろう?

 これでも母が王族だった事もあって屋敷は結構広いしキッチンの作りもいいし調度品なども高級だ。

 イザベラは当然のように母の部屋を使った。でも、子供たちの面倒を見てくれたことはほとんどなかった。

 ふん、離縁するならちょうどいい。


 そんな事を思っていたら早速一番下の弟アルが私に抱きついて来た。基本リゼはで迎えには出ない。子供の世話に掃除や洗濯、リゼは忙しいので私は迎えには出なくていいと言ってある。

 

 「おねえたま、お帰りなしゃい!」

 「ただいまアル。いい子にしてた?」

 私はアルを抱き上げて思いっきり頬ずりをする。

 「うふっ、くしゅぎゅったい。ふふふふふ」

 楽しい笑い声が玄関に響き渡る。

 さっきまでの嫌な気分を纏った自分を忘れてアルを抱きしめる。

 「アル大好きよ。さあ、おやつにしよっか。みんなぁ~」

 帰りに八百屋のドアンさんが売り物にならないから持って帰れってくれたバナナ。

 バナナプリンを作ろう!

 「お姉様お帰りなさい」

 双子のアナとアーシャが声を聞きつけて出迎えに来てくれた。

 「ただいま。アナ、アーシャ。一緒にバナナプリン作ろうか」

 二人の目が輝く。

 今日着ているのは私が昔着ていた服をリメイクしたもので、少しデザインが違って色味も違うが二人はお揃いよりそういうのがいいみたい。


 アッサムが二階から下りて来る。

 「姉上お帰りなさい。あっ、バナナだ」

 アッサムはバナナが大応物なのだ。

 もう、14歳にもなって。でも、そんな弟が可愛くて仕方がない。

 「アッサム、今日の勉強は終わったの?バナナプリン作るわよ」

 「当たり前だろう。もう、午前中に終わらせて午後はアルたちの面倒を見てたよ。さっき、部屋に戻ったところだったんだから」

 アッサムが口をとがらせる。

 「そう?やっぱりお兄さんは違うね。ご褒美にバナナプリン2個!」

 「やったー!」

 「あっしゃむ、ずるいでしゅ!ぼくも2個!」

 「私も」「わたしも」

 「はいはい、ここでそんな事してたらバナナプリンいつまでたっても出来ないわよ。さあ、キッチンに行こう」

 私は4人を連れてキッチンに。

 切ったり混ぜたり楽しい時間が過ぎて行く。

 「さあ、型に入れて冷やしたら出来るからね。夕食の後のデザート楽しみだね~」

 「「「「うん!!」」」」

 「たのしみでしゅ」

 4人の瞳がキラキラ輝いて。


 暫くすると私は幸せな気分が消えてロイドやスーザンの事を思い出した。そう言えばイザベラは父様と離縁するって言ってたけど本気?それならちょうどいい。みんなあの二人の事は全く相手にしていないって感じだもの。

 私が帰ってから誰もあの二人の事を口にしなかったんだから。


 私は急に気になってイザベラの部屋になった扉をノックした。

 返事はない。いないのか?

 「イザベラ様入りますよ‥」

 勝手に入るのは悪い。けど、あんなことを聞いた後だ。我慢できなかった。

 私の知っていた母の部屋は、淡いグリーンの壁紙に濃紺のベルベットのカーテン。絨毯は濃いグリーンに蔦の模様の美しいレリーフがあった。


 「うそ‥」

 部屋の壁は塗り替えられて金色や銀色で目のやり場に困るほどまばゆく。カーテンは毒々しいほどの赤。絨毯はふかふかで真っ白だが、所々に紅茶などをこぼしたらしい染みがある。

 調度品だって美しい彫刻が施された鏡台やあこがれた猫脚のテーブル。きちんと整えられた部屋だったが、今では脱ぎ捨てたドレスがソファーの上に無造作に置かれたまま、靴はあちこちに転がり、鏡台の上もぐちゃぐちゃ、猫脚のテーブルの上には何かが零れた後が残っている。

 それに息が詰まるほど香水の匂いが充満していて咳が止まらなくなった。

 「ごほっ、ごほっ‥うっ!」

 私は息を止めて急いで部屋を出た。

 せめて掃除くらい出来ないの?

 今、我が家にいる使用人はコックのルクソンとメイドのリゼだけ。それも通いなので夕方には帰ってしまう。夜出かけるときはあらかじめリゼに子守りを頼めば残ってくれるけど。

 だから自分の部屋の掃除はある程度自分でするのが我が家の常識。それに加えて子守りや他の手伝いだってするのに。

 ずっとあの人たちに言ってやりたかった。

 



 父は1年前に新たに国王となったアインベック国王の側近となり忙しく帰りはいつも遅い。

 結局イザベラもスーザンも帰って来なかった。

 私は子供たちを泣かしつけると疲れた身体をベッドに横たえるとロイドとの婚約がなくなったらこの先の生活はどうなるんだろうと思い始めた。

 いつもの事だ。こんな事どうってことないなんて思うけど、やっぱりいろいろ考えてしまう。そして我慢して言いたい事も言えなくなってしまう。

 父様は何て言うだろう?あんな事言ったけど実際婚約破棄となったら‥

 私、ここにいてもいいのかな?でも、行くところもないし。

 だって結婚する予定だったから王宮の官舎に入る手続きもしなかったし、でも、私がいれば妹や弟の世話も出来るし子守りのお金もいらないんだし‥


 

 ふっ。

 ロイド?あんな奴‥‥

 好きでもなかったし、良かったじゃない。結婚なんて‥‥だって、結婚してもあの浮気性治る見込みもなかっただろうし‥どう考えてもあの結婚は無理があったと思う。

 でも。人なみに結婚出来るとうれしかったんだよね。

 だから、ロイドが学園であんな態度を取っていても我慢して来た。

 なのに‥‥

 あっ!ちがっ!悲しくなんか!!!

 あんな男の為に泣くなんて無駄だって思ってるのに‥

 寝転がって仰向けになったまま、眦から涙が溢れ落ちる。

 ううっ‥

 いきなり息が苦しくなって喉がつかえたみたいに息が出来なくなる。

 く、苦しい‥‥胸が‥痛い。

 後悔なんかしない。なのにどうして‥‥

 私はそのままベッドに丸くなった。


 





 

 



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