24どうしよう
ふと、目が覚めると暖かいぬくもりの中にいた。
あれ、わたし‥‥全裸じゃ‥すぅっと熱が引いて思考がクリアになる。
脳内に流れ込んだのはロイドに襲われた事。スーザンに小瓶の液体を飲まされた事。ドアンさんやシキムさんに救われた事。無事に助かって家に帰って夕食を食べさせて寝かせて部屋で小説を読んでいた。
何だか身体がむずむずして感じた事のない違和感を覚えたところにアインベック陛下が来られたと‥
彼が心配していた事、本気で付き合うことを考えて欲しいと言われて‥それって告白よねって。
思わずうれしくて笑った気がする。
そしたらアインベック様が好きだって言った気がして‥
それから馬車で王宮に行って、医師の診察を受けて、薬を盛られたんだって聞かされて、アインベック様が優しく付き添ってくれたのよね?
何だかすごくあちこちが敏感になってて、少し触れただけで甘い疼きが沸き上がって‥
気持ちが高揚したせい?
私ったら、好きって言っちゃった。
彼の重みを感じて唇を塞がれて後はもう流されるままに彼を受け入れた。もちろん嫌じゃなかった。もともと好きだったし本心を言えば嬉しい。
それに私も気持ち良かった‥うそ。こんなの‥もう、恥ずかし過ぎる。
だけど、冷静に考えれば彼の立場を考えると迷惑だろうって思う。
じくりと下半身が疼くとそれが夢じゃなかったって実感が湧いて来た。
どうしよう。相手は国王陛下。いくら何でも不敬には問われないよね?今なら間に合うかも。
今から胸の前に回されている彼の腕をそっと外してここから出て屋敷まで帰って何もなかった事に!
とにかく今顔を合わせるのが恥ずかし過ぎた。
ゆっくり彼の腕を掴む。
とにかく服を着なきゃ!
ビクッと身体が動いて「アリス起きたのか?」
って起きてたの?
「‥はい。あの、昨日は申し訳ありませんでした。これは事故みたいなもので陛下にご迷惑をお掛けする気はありません。ですので今から帰って」
ぐるりと身体が回転する。
目の前に見目麗しいアインベック様がいる。起きがけなのに髪も乱れてるのにそのやたらに無駄にヤバイ色気は何なの!?
もちろん彼も裸。私も‥‥おずおずと彼を見る。
彼の眉尻が下がり瞳が悲し気に揺れた。
「後悔してるのか?」
「え!?」
「昨日のことが事故だって誰が言った?俺はちゃんと覚悟を持ってアリス、君を抱いた。事故だったなんて言う気もなかった事にする気もない。でも、あんな状況を利用したのは卑怯だったと思っている。アリスは嫌だったか?俺とこんな事になって後悔してるか?」
優しい声、彼の指先が私の頬にかかったおくれ毛をそっと耳にかける。そんな細やかな優しさに胸が熱くなる。
後悔なんてする訳ないのに‥喉の奥がむずむずして言葉が出て来ない。
「‥‥」
ただ、首を横に振ってそうじゃないって合図を送るのが精いっぱいで。
「すまん。卑怯だよな。媚薬で苦しんでいるアリスに付け込んで‥許してくれとは言わない。俺はお前が好きだ。本気で結婚したいと思っている。だから責任を取るんとかそういう事じゃなく、アリスに俺とのこれからを考えて欲しいんだ」
「ちが‥嫌じゃなかったです。初めてがアインベック様で嬉しかった」
「アリス!ほんとか?俺の事好きだって言ったのは薬のせいじゃないのか?」
彼が起き上がって私を見下ろす。
カーテンの隙間から朝日が差し込んで金色の髪と琥珀色の瞳がキラキラ輝く。
「もちろんです。本気で好きだから‥薬のせいで本心をごまかせなくなったんです。でも、こんな事が知れたら‥」
「そんな事はいい。アリスは俺の事をもう好きになってるって事か?」
彼が私の肩先に腕を、がしっとついて私を見下ろす。
「そんなの‥‥‥」
恥ずかし過ぎて言えるわけない。真っ赤になって顔を背けると彼の手が顎をそっと持ち上げてキスされた。
何度も何度も唇を合わせそのうちに舌が侵入して来て私の舌を絡めとって口腔内を蹂躙された。
「はぁ、はぁ‥陛下!ちょ‥」
「俺を好きか?」
「好きです、でなきゃこんな事できるはず‥もう、陛下!」
「アインだ。アリス。もう離さない。今日すぐに婚約誓約書を作る。結婚式は半年くらい後か?そうだ。今日のガーデンパーティーで婚約を発表しよう。いいなアリス」
「いくら何でも‥お、お父様が何て言うか‥」
「レスターは説き伏せる。心配するな。それに家族はここに引っ越せばいい。アンディも喜ぶ。ああ、離宮を改築して」
「アインベック様。それはおいおいで、今は婚約を父に許してもらえるか」
「それは心配ない。それよりドレスだ。急だからな、すぐに手配をしなくては‥忙しくなるな」
アインベック様は起き上がって‥もう、やだぁ。
「何か羽織って下さいよ」もろに見えた。
「恥ずかしがらなくていいだろう?もうすべて知ってるんだ‥アリスはもう少し休んでいろ。後で侍女を寄越す。支度を頼んでおこう。その後食事をとろう。アンディも一緒に。あいつ喜ぶぞ」
「アンディも?はい、喜んで」
私は勢いよく立ち上がった。
「いたたた‥」
「大丈夫か?」
「もう、誰のせいなんです?」
両脚が筋肉痛で立った瞬間ひざから力が抜けた。
「すまん。気づかなくて。俺が風呂場に連れて行ってきれいにしてやろう」
彼は全裸の私をひょいっと抱き上げた。
「ちょ‥嫌です。明るいところで見られるなんて‥絶対にいや!!」
「なんで?もう、全部見てる。恥ずかしがることはない。それに中を掻きださないと。こんな事侍女に頼むのは嫌だろう?」
「掻きだす?‥‥そんなぁ~」
脳内でその構図が浮かんで脚をばたつかせると何かが流れ出た。
あっ、漏らしそう。
「ㇰッ!俺の‥いかん。またもよおしそうになる」
「な、なんです?」
「いいから風呂場に行こう」
風呂場に連れていかれバスタブに下ろされると、それから湯を張り始める。
え?湯が溜まるまでこのままで‥
「湯が溜まるまで時間があるからな」
アインベック様は私の後ろに回り込むと‥少し痛かったのは最初のうちだけで、その後は彼に快楽を与えられた。
「さあ、中を掻きだそう。な、アリス」
やっと風呂場から連れ出されてベッドに戻されるとアインベック様はものすごくすっきりした顔で寝室を後にした。




