23俺のせいじゃない!(ロイド)
俺は騎士隊の地下牢に放り込まれた。牢に連れて来たのは先輩の騎士。
何でこんなことに?
「ロイド、お前どうしてこんなことをした?彼女はお前が嫌だから婚約破棄までしたんだろう?それなのにいつまでもつきまとうなんてどうかしてるぞ」
そう言ったのは2つ先輩のケビンだった。
彼は新人の指導係で俺達は色々と騎士隊のルールとか訓練について教えて貰っていた。
「こんなつもりじゃなかったんです。ただ、彼女に復縁を考えてもらいたくて‥あの女‥スーザンが余計な事を言うから‥」
「また、あの女か。あの女もただじゃすまないだろうな。だってサンバイン嬢は王族だぞ。おまけに陛下がえらく気に入ってるし、アンディ殿下も懐いているしな」
「ああ。アリスは王族だったな‥ふっ」
乾いた笑いが零れる。
「まあ、やった事はもうどうしようもない。後は罰を受け入れるしかないな。もう騎士は続けられない事ははっきりしてるしな。まっ、頑張れ、じゃあな」
ケビンが軽蔑の目を向けてそう言うと足早に去って行った。
俺はアリスの家に行って婚約破棄された時の父の言葉を思い浮かべた。
”お前という奴は、ここまで愚かだったとは”
”父上。ですが俺は何度もやり直そうって言ったんだ。それなのにアリスが俺の言うことを聞かないから。父上からも言ってくれれば良かったんだ。俺はちゃんとアリスとやり直そうと思っていた。なのにアリスは一方的に破棄を言って!!”
”まったく、ロイド。サンバイン伯爵家と縁を繋いだのはどうしてかわかっているか?”
”サンバイン伯爵家が借金で困っていたからでしょう?うちは助けてやったんです。それなのにそんな事も忘れて”
”おまえはばかか?サンバイン伯爵家は王族の一員、母親は元王女、父はヴェストル帝国の王子。これほどの後ろ盾があると思うか?お前とアリス嬢が縁を繋ぎ子供が生まれればわがヴァルト伯爵家も王家と縁続きとなる。いざとなった時にはそれなりの助けにもなるはずだったんだ。それを、お前は不意にしたんだ。心底お前には失望した。まあ、後継ぎでなかったことが唯一救いだ。卒業したら騎士にでもなんにでもなればいい。この先は自分の事は自分でやっていけるだろうからな”
”アリスが王族?そんな、父上はサンバイン伯爵家の生活を見たでしょう?質素で子供たちの服はつぎはぎだらけで、野菜やパンの売れ残りを貰って帰るようなそんな家なんですよ。おまけに借金は我が家が肩代わりしてやって!!まあ、俺だって最初は婚約したんだからって思いましたよ。でも、アリスは魔力もなく着ている服だって見栄えが悪かったし‥学園では俺はそれなりにモテたんです。女性から声がかかって‥結婚するまでのほんの出来心だったんです。俺はちゃんとアリスと結婚するつもりでした。それなのに‥”
”そんな事は婚約者に気づかれないようにすることだ。まして学生の分際でふざけているのか?アリス嬢にあそこまで嫌われるほどの事をお前はしたという事だ。相手は王女と言っても過言ではない相手なのに婚約破棄だけですんで良かったと思え!”
”待って下さい父上。では、アリスともう一度やり直せたら?”
”それが出来るならな”
それが騎士隊に入る前の父との会話だった。
俺はアリスが王族の人間だと言うことをすっかり忘れていたのだ。だって、そうだろう。あんな質素な生活をしている王族がいるか?ったく!
だが、ヴァルト伯爵家の鉱山が崩落して隣国との取引が暗礁に乗り上げ、おまけに不正取引が公に暴露されそうな事態が起きた。
父は俺に言った。
”いいかロイド、事態は深刻だ。お前は言ったな?アリスとやり直せると。こうなったらお前がアリスとやり直せしてサンバイン伯爵家に助けてもらう。いざとなったらレスターに罪をかぶせてもいいかも知れん。とにかくこれが最後のチャンスだと思え。アリスとよりを戻すんだ。どんな手段を使ってもいい。だが、もし失敗すればお前は家の貴族籍から追放する。わかったな”
だから俺はアリスに何度もやり直したいと言い続けた。でも、アリスは全く相手にしてくれなくて‥
そんな俺にスーザンが言ったんだ。
”ぐずぐず言ってないでしっかりしなさいよ。まったく。女は貞操を奪われたら、その相手と結婚するしかなくなるじゃない。貴族なら特に。だったらアリスの初めてを奪えばいいのよ。私が協力してあげる。だから、私にこれからも、いいでしょう?”
あの女の言うことを真に受けて‥あいつ!悪魔のささやきだ。あいつのせいで俺の人生は台無しだ!
くそ!スーザンの奴‥‥俺を愛してるなんて言っても結局俺の家の財産が目当てなだけだろう。
他でも男を漁っていることくらい知ってたんだ。おまけに散々、欲しい物を買わせやがって!!
俺は自分のせいじゃないと言い訳ばかりした。
その時俺は、今さら悔いてもすでに遅いと気づいていなかった。




