14陛下から呼び出し
その翌日だった。いきなりアインベック陛下に呼び出された。
私は急いで王宮の陛下の執務室に急いだ。もしかしたら父に何かあったんだろうか?それともアンディ殿下に?
何やら胸騒ぎがして急いだ。
「陛下、アリス・サンバインです。お呼びと聞きました」
護衛騎士が立っている執務室の扉をノックして陛下に来た事を告げる。
「アリスか。入ってくれ」
私は一礼して中に入る。中には父もいて陛下は執務机の前に座っている。
入って来た私を見るとにかっと笑うとすっと立ち上がって私の近くに来た。
ドキッ!
もう、陛下ったらそんな顔したら普通の女性なら好意を持たれているって勘違いするところですよ。まあ、私はいとこなのでそう言うんじゃないってわかってますけど。
彼は手を差し出して私をソファーに導くように手を添える。
私は恐縮しながらぺこぺこ頭を下げると。
「待ってたんだ。昨日はいいところに遭遇して良かった。何かあったらいつでも俺を頼ってくれよ」と手を取られて言われた。
いえいえ、陛下あなたはそんな気安く呼べる相手じゃありませんよ。
あっ、でもそう言えば昨日のお礼も言ってない。
私は慌てて「陛下、昨日はありがとうございました。それで、どんな御用でしょうか?」お礼と用を伺う。
父が口をはさむ。
「陛下、昨日何があったんです?アリスに危険な事でも?」
じろりと陛下を睨む顔は完全に親バカの顔で。
「お父様違うんです。そんな大げさな事じゃなくて‥昼にスーザンがカフェで絡んで来て」
「そこに俺が丁度俺が居合わせたってわけだ。あのスーザンとか言う女、実に嫌な女だ。アリスに嫌味を言うだけじゃなく水をぶっかけて‥「そんな事をスーザンが?!全く、とんでもない女だ!それでアリスは無事だったのか?どうして昨日のうちに話さなかった」
父はかなり怒っている。
まあ、イザベラとの結婚のことでかなり落ち込んでいたから。
「ただの嫌がらせよ。そこまで酷いことをされた訳じゃないし、私もお返ししてやったから」
陛下、水じゃなかったんですけどね。
父が驚いて目を見開く。
「レスター、心配ないぞ。アリスはそのスーザンとか言う女にパンケーキを顔に押し付けていたからな。ハハハハハ。おっと、そんなことより、昨日は先日のクッキーのお礼が言いたくてアリスの後を追ったんだ。それにしてもちょうどいい場面に出くわしたな」
陛下は楽しそうに話をする。
「まあ、そんな事の為に陛下が態々‥あれからアンディ殿下のご様子はいかがです?」
陛下の顔がいきなり曇った。
「ああ、実はその事でアリスを呼んだんだ。猫は見つからなかった。それでという訳ではないが、アンディが病気になってな。っそれが困った事に乳母のカミルがけがをしてアンディの看病をする者がいないんだ」
そう言えば父からカミルさんが足を骨折したと聞いた。カミルさんは伯爵家の未亡人で子供は成人していてアンリー・ダクセル公爵の紹介で1年ほど前に乳母になったらしい。アンリーはアインベックや私の叔父で気立てが良くアンディ殿下がすごくなついているとか。
「病気って?熱は高いんです?それともお腹が痛いとか?吐き気は?食事はとれてます?」
「さすがだな。弟や妹の世話をして来ただけの事はあるな。アンディは手や足に発疹が出て熱も少しある。子供のかかる感染症の一種らしくて大人には移らない病気だそうだ。それで頼みがあるんだ。アリスにアンディの看病を頼めないだろうか?」
「でも‥私も弟や妹の世話があって」
「ああ、だからアッサムたちを王宮にしばらく滞在してもらえばいいと思うんだ。なぁ、レスター、そうすればお前もすぐに様子を見に行けるし夜は父親と一緒に休めばいいだろう?アルなんかここの池の魚を見たら喜ぶぞ。アーシャやアナは温室を案内してやれば父親の株も上がるぞ。アッサムには王族専用図書館なんかどうだ?きっとみんな大喜びだろう?なぁアリスもそう思わないか?」
「ですが、私は病気の知識もありませんし‥」
「病気のことは医者に任せておけばいい。アリスはアンディのそばにいてあいつを安心させてってくれたらいいんだ。子供は病気になると心細い、カミルもいないし気心の知れた女性がいてくれるときっと安心すると思うんだ。なぁ、レスター?」
「そう言う事でしたら‥でも仕事が」
「これは王子の一大事なんだ。どんな仕事より優先される。警務局には連絡を入れておく。悪いが今からアンディの所にいってくれないか?つい、アンディにはアリスが来てくれるって言ってしまったんだ」
「まあ、アンディが私を待ってるんです?もう、それならそうと言って下さいよ。お父様、アルたちのお迎え任せていいですか?私は泊まり込みで殿下の看病をしますからお父様は子供たちを頼みます。アルたちには事情は説明して下さいね」
「まあ、仕方がない。緊急事態だからな。うちの事は任せてくれ。陛下今日は早く上がらせてもらいますよ。王宮に来るより私が屋敷に帰れば問題はないだろうから、アリスは殿下の看病を頼むぞ」
「ええ、急いでアンディの部屋に案内お願いします」
ぐずぐず迷っていた気持ちはアンディが、会っていると言う一言で吹き飛んだ。
あんな小さな子が辛い思いをしていると思うと居ても立っても居られない。




