間章「◼️◼️◼️」
――静かに進む、盤上の一手
暗い。
だが、闇ではない。
そこは、世界の“裏側”に存在する玉座の間。
空間は歪み、天も地もなく、ただ巨大な魔法陣が静かに回転している。
その中心に、ひとりの男が座っていた。
魔王―アゴン。
「……ふむ」
彼はゆっくりと指を鳴らす。
その瞬間、空中にいくつもの“光の断片”が浮かび上がった。
それは――
人の記憶。
魔力の流れ。
世界の歪み。
そして、その中に。
「来たか……“外の者”よ」
彼の視線が、一点に固定される。
天音。
零。
授けられた力。
「やはり、エンドゥーが動いたか」
アゴンは小さく笑った。
「相変わらず、気が早い」
彼は立ち上がり、ゆっくりと歩き出す。
足音はしない。
指を伸ばすと、別の“光”が揺らめいた。
それは――
ひとりの少女の姿。
「……ふふ」
アゴンの笑みが、ほんの少しだけ歪む。
「君達は、まだ何も知らない」
「そして―」
光が、ゆっくりと遠ざかる。
「どんな因果で結ばれているのかも」
彼は玉座に戻り、指を組んだ。
「異世界転移者は、すでに二人」
「力を得た」
「仲間も揃い始めた」
「……いいだろう」
空間が、わずかに震える。
「ならば、こちらも“布石”を打つ」
「目立たぬように」
「気づかれぬように」
「それでいて、確実に―」
彼の背後に、影が揺れる。
人の形をした、もう一つの存在。
「行け」
「彼らがここに来る前に」
静寂。
そして、影は溶けるように消えた。
アゴンは、満足そうに目を閉じる。
「さて……」
「次に駒が動くのは、どちらかな?」
その声は、誰にも届かない。
だが確かに―
世界は、ゆっくりと歪み始めていた。
男ばっかで飽きたでしょう…




