表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
学徒、異世界転移す。  作者: Harun
第二章「使徒」
68/80

第六十六話「天界」

ーー管理者


天界は、円柱状の空間だった。


 床も壁も、どこまでも滑らかで、素材の判別がつかない。上を見上げても天井は存在せず、ただ淡い光が無限に続いているように錯覚させる。


 その中心に、机らしきものが浮かんでいた。


 机の上には、精緻な星盤が置かれている。無数の光点が回転し、絡み合い、時折ひとつが消えては、別の位置に現れる。その動きは規則的でありながら、どこか生き物じみていた。


 天音と零が、その星盤の近くまで歩み寄った時――


 エンドゥーが、静かに口を開いた。


「……我の本当の名は、プロメテウス」


 二人の足が、同時に止まる。


「創造神様に創られた、最初の存在のうちの一人だ」


 一拍。


「そして、世界の管理者」


 一瞬、空気が凍りついたように感じた。


「……は?」


 思わず、天音の口から素の声が漏れる。


 零も、星盤から視線を外し、エンドゥーを見る。その表情は冷静を保とうとしていたが、瞳の奥に隠しきれない動揺が走っていた。


「管理者……」


それは、最初に会った時に言っていた言葉だった。


 プロメテウスは、何も言わずに頷いた。


 それだけで、二人の中にあった“常識”が、静かに崩れていく。


 驚きが抜けきらないまま、プロメテウスは淡々と語り始めた。


「今、創造神様は後継者を選ぼうとしている」


 星盤の光点が、わずかに激しく動く。


「十二の管理者の中から、次なる神を」


 零は、無意識のうちに拳を握っていた。


「……争いが、起きているんだね」


「そうだ」


 プロメテウスは否定しない。


「表向きは議論。しかし、裏では互いに世界を削り合っている」


 星盤の中に、十二の光が灯る。


「争いに参加していない者もいる」


「だが、すでに失墜した管理者もいる」


その時、そのうちの二つが静かに消えた。


 天音は、その情報を頭の中で整理しようとしたが、あまりにも規模が大きすぎて、処理が追いつかなかった。


 世界。

 管理者。

 後継者争い。


 ――自分たちが、さっきまで命を賭けて守っていたものが、その中の一つに過ぎないという事実だけが、妙に重くのしかかる。


 沈黙を破ったのは、零だった。


「……僕たちの役目は」


 ゆっくりと言葉を選ぶ。


「あなたが、創造神の後継者になることを、手伝うこと……?」


 プロメテウスは、その問いを真正面から受け止めた。


 そして――頷いた。


 同時に、指を一つ鳴らす。


 空間が歪み、二人の前に映像が展開された。


 そこにあったのは、一つの世界。


 都市と自然が、異様なまでに調和している。高度な技術と、原初的な力が共存し、破綻することなく循環している光景だった。


「我の世界で、最も優れている場所だ」


 プロメテウスの声は、どこか誇らしげだった。


「ここは、何度も狙われている」


 映像の端に、歪みが走る。侵入を試みた痕跡――だが、その全てが、途中で断ち切られていた。


「今は、我の他の使徒が耐えてくれているが、いつまで持つかもわからない」


「ーーそして、他の管理者は、まだお前たちを知らない」


 プロメテウスは、天音と零を見る。


「だからこそ、お前たちを送る」


「侵入者を、返り討ちにするために」


 その言葉に、拒否も、選択肢もなかった。


 そして――


 映像が消え、天界の円柱空間が戻ってくる。




 それが、今に至るまでの経緯だった。


第二章は情報量がとても多いので、少しずつ出していけたらなと思います!

それぞれの管理者に、使徒がいるので、楽しみにしててください!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ