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学徒、異世界転移す。  作者: Harun
第一章「始まりの物語」
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第三十八話「遺跡」

ーー遺跡・入口


夕暮れの光が、石造りの巨大な遺跡を照らしていた。


「……ここ、だよな」


天音が呟く。

目の前にそびえるのは、半ば崩れかけた古代の建造物。苔と蔦に覆われ、長い年月を放置されていたことが一目でわかる。


「雰囲気だけで言えば、ろくな場所じゃないな」


早乙女が苦笑しながら言うと、九条が腕を組んで頷いた。


「間違いなく“何かある”場所だな。嫌な予感しかしない」


カノンは一歩引いた位置で、静かに祈るように手を組んでいた。


「……でも、行かなきゃ。ここが目的地なんだよね」


零は周囲を観察しながら、淡々と答える。


「魔力の反応は、奥からだね。かなり古い……でも、まだ生きてる」


その言葉に、一同は無言で頷き、遺跡の中へ足を踏み入れた。



ーー遺跡内部


中はひんやりとしていた。

風は通らず、足音だけがやけに響く。


壁には古代文字のようなものが刻まれているが、風化が激しく、判読はできない。


「……こういうの、絶対罠あるよな」


早乙女が小声で言うと、天音が肩をすくめる。


「フラグ立てんなって」


しばらく進むと、通路は次第に広くなり――

やがて、円形の大広間へと辿り着いた。


「……ここだよ」


零が足を止める。


部屋の中央には、三つの魔法陣が描かれていた。


床に刻まれた円は、それぞれ微妙に異なる紋様をしており、淡く光を放っている。


「三つ……?」


カノンが息を呑む。


「転移系だよ」

零が即座に断じる。「それぞれ、別の場所につながってる」


「ってことは……」


天音が周囲を見渡す。


「どれかを選べってことか?」


沈黙が落ちる。


どの魔法陣からも、同じように強い魔力が感じられる。

だが、“質”が違う。


「……嫌な予感しかしないな」


九条が低く呟く。


「分かれさせる気満々だろ、これ」


早乙女が苦笑しながらも、視線は鋭い。


静寂の中、三つの魔法陣が淡く脈打っている。


ーー壁の文字


三つの魔法陣を前に、全員が足を止めたまま沈黙していた。


「……どうする?」


早乙女が小さく呟いた、その瞬間だった。


――ズズ……ッ


石壁が、かすかに振動する。


次の瞬間、遺跡の奥の壁一面に、淡い光の文字が浮かび上がった。


まるで、誰かが“今”書いたかのように。


 


右:零、天音

中央:早乙女

左:九条、カノン


 


「……は?」


思わず天音が声を漏らす。


「俺ら、だよな……?」


早乙女が顔を引きつらせる。

冗談にしては、あまりにも正確すぎた。


零は一歩前に出て、文字を凝視する。


「……偶然じゃない。完全に、僕たちを把握してる」


「ってことは……」


九条が低く言う。


「最初から、こう分けるつもりだったってことか」


カノンは胸の前で手を組み、不安そうに三人を見た。


「でも……別れるって……」


その言葉に、天音が一歩前へ出る。


「大丈夫だ。今までだって、何度も修羅場くぐってきただろ」


そう言って、零の方を見る。


「なあ」


零は一瞬だけ目を伏せ、それから小さく頷いた。


「……全員、生きて合流する。それだけ」


その言葉に、九条がニッと笑う。


「上等だ。誰が一番早く戻るか、勝負だな」


「フラグ立てるなよ……」


早乙女が呆れながらも、最後に皆を見渡した。


「じゃあ、また後でな。生きてたら」


それぞれが、ゆっくりと自分の魔法陣へ向かう。


左の陣に立つ九条とカノン。

中央に立つ早乙女。

右の陣に立つ天音と零。


魔法陣が淡く光り始め、空気が震え出す。


「――行くぞ」


天音の声と同時に、光が爆ぜた。


視界が白に塗り潰され、身体が引き裂かれるような感覚。


次の瞬間――


それぞれは、別々の定めへと投げ出されていた。


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