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学徒、異世界転移す。  作者: Harun
第一章「始まりの物語」
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第二十六話「パウゼ」

ーー終わりなき停止


「君たちの“停止”を始める」


その言葉と同時に、

時間が一段、深く沈んだ。


何かが来る――

そう理解した瞬間ですら、すでに遅い。


天音が踏み込もうとした。


だが、足は床に触れているのに、

“踏み込むという結果”だけが存在しない。


「……っ、動けない……!」


早乙女が歯を食いしばる。


「拘束じゃない……!

行動そのものが、成立してない……!」


パウゼは指一本、動かさない。


それでも、空間が応じる。


「私は攻撃しない」


「でも、君たちの“次”を、すべて止める」


瞬間。


胸の奥が、冷たく削られた。


「……っ!?」


天音は膝をつきそうになる。


痛みはない。

斬られても、殴られてもいない。


それなのに――

確実に、体が重くなっている。


「……体力が減ってるんだ……!」


「魔力じゃない……生命活動そのもの……!」


そうすけとゆなが気づく。


パウゼは淡々と続ける。


「“動こうとした時間”

“何かをしようとした意志”

それらは、すべて“無効”になる」


「無効になった分だけ、

君たちは前に進めず、消耗する」


早乙女が叫ぶ。


「ふざけるな……!

それじゃ、何もできないじゃないか!」


「その通り」


パウゼは、ほんの少しだけ首を傾げた。


「でも、私は何もしてない」


「君たちが、勝手に疲弊しているだけ」


天音は唇を噛みしめる。


(攻撃がない……)


(なのに、削られていく……)


《天之》を呼ぼうとする。


だが――


“放とうとした”という事実が、

発生しない。


詠唱に入る前に、

「詠唱を始めた」という結果が消される。


天音

「……くそ……!」


早乙女

「これじゃ、

撃つ前に倒れる……!」


そうすけとゆなの額に、汗が滲む。


二人は、空間を維持するために

全力で魔力を流し続けていた。


「……この空間……

パウゼの“間”に、

無理やり抗ってる……!」


「長くは、もたない、よ……!」


パウゼは、それを見ても表情を変えない。


「そう」


「このまま続ければ、

最初に崩れるのは――

空間そのもの」


また一段、静寂が深くなる。


心臓の鼓動が、

自分のものか分からなくなる。


天音の視界が、わずかに暗む。


(……このままじゃ……)


(倒れる……!)


その時――


そうすけが、低く叫んだ。


「……限界だ……!」


「これ以上は……

維持できない……!」


咄嗟に早乙女が声を出す。


「解除しろ!

今戻らなければ、全員落ちる!」


一瞬の逡巡。


だが、二人は同時に頷いた。


次の瞬間。


白く凍っていた空間に、

ひびが走る。


音が、戻る。

風が、流れ込む。


現実が、叩きつけられる。


――引き戻された。

題名って、難しい…

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