間章「次なる◼️◼️」
ーー魔王城・深奥
玉座の間に、低く響く魔力の余韻。
アゴンは、ゆっくりと指を鳴らした。
「……出でよ」
空間が、歪む。
音のない波紋が広がり、二つの“気配”がそこに立つ。
片方は、空気そのものを乱すような不快な圧。
もう片方は、まるで音の消えた空白のような静寂。
アゴンは、愉快そうに名を告げた。
「セクステット第三位」
「【不協和音】」
空間が、微かに軋む。
次いで、もう一つの影へと視線を移す。
「そして、第四位」
「【休止符】」
その名が告げられた瞬間、
まるで世界の時間が一拍、止まったかのように感じられた。
ディソナンスが、低く笑う。
「……ノクターンが負けた、か」
「夢などという曖昧な舞台で遊ぶからだ」
それに対し、パウゼは何も言わない。
ただ、沈黙だけがそこにある。
アゴンは玉座に深くもたれかかり、指を組んだ。
「人の子らは、思った以上にしぶとい」
「夢を破り、恐怖を越え……ついには、我が眷属を討った」
「……面白い」
ディソナンスが、愉快そうに言う。
「ならば、壊してしまえばいい」
「心も、関係も、希望も」
「音が重なれば、必ず濁る」
その言葉に、アゴンは小さく頷いた。
「そうだ」
「だからこそ、お前たちを同時に放つ」
「【不協和音】と【休止符】」
「破壊と停止」
「動と静」
「相反する二つが揃えば――」
玉座の間に、低い笑いが響く。
「人間は、必ず“狂う”」
パウゼが、初めて口を開いた。
「……任せてください」
その声は、感情のない、無機質な響きだった。
「彼らの時間を、止めましょう」
次の瞬間、二つの気配は霧のように消える。
残されたのは、魔王ただ一人。
アゴンは、虚空を見つめながら呟いた。
「……さぁ」
「次は」
「絶望の調べを、聴かせてやろう」
――こうして、
セクステット第3位【不協和音】ディソナンス、第4位【休止符】パウゼが、動き出した。
第四位からは別格です




