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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

うるさい

作者: 明日朝明日
掲載日:2025/11/19

ときどき鼓膜を潰したい衝動に駆られた。


なぜならうるさいから。

世界も世間も世俗もすべてうるさい。何もかもが煩わしい、鬱陶しい。だから聞こえなくなりたい、音の聞こえない世界を堪能したい。


そんなことを考えてずっと生きていた。

そして大人になって、私はもっと騒がしい社会という世界に身を投げて、雑音・騒音が日に日に増していくような気がした。


声ではない声に気を取られて、自分を見失うなど、言語道断だった。


なので私は鼓膜を潰すことにした。


だが鼓膜は破れただけでは再生するらしいので、念入りに傷をつけねばならない。どうしよう。会社に行くとやめろと言われたが、どうでもよかった。


そして決行した。


少しいたかったが、こんなにも素晴らしいものなのか。


音が聞こえないというだけで、ここまで静寂に美しいものなのだろうか。生まれてよかったとはじめて思ったし、何も後悔が生まれない。


素晴らしい。


しかしおかしいことが起こった。


世界の騒音・雑音が聞こえなくなったのに、今度は自分の声や音がより大きく聞こえるようになった。


こうなる前は何も聞こえなかったはずなのに、どうしてこんなに大きく聞こえるのだろう。どんどん大きくなっていく。


その声は後悔とも発狂とも違う、耳鳴りのする脳な煩わしさだった。

目に映るものに不快感を覚えたとき、触ったもの・触れたものに対しての嫌悪感を覚えたとき、私の中で生まれて反響するその声は行き場をなくして何度も跳ね返った。


音が存在したとき、私の音は他の音にかき消されて消えていったのに、音を消したら今度は私の音が最低に響いていた。


私の世界に本当の意味での静寂は訪れないのだろうか。虚しい。ただ静かに穏やかに過ごしたかっただけなのに、なぜこんなにも虚しいのだろう。世界は静かなのにうるさい。



もしかしたら、世界は私を守ってくれていたのかもしれない。

わたしはそう思って、崖から身を投げた。

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