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プロローグ
この夏の終わり君が転校するということを夏休みの初日に知らされた。
僕は君のことを親友だと思っていた。そして、いつまでも一緒にいられると思っていた。だけど、一緒にいられないことを知って、僕は君のことをいつもよりも意識するようになった。
「どうしたの?」
君は僕と違い、特別僕のことを意識するような素振りはなかった。だから、違和感がないように僕は何事もないように返事をした。
「大丈夫、転校すと聞いてちょっとこれまでの一年間色んなことがあったなって振り返ってただけ。」
「確かに本当に色々なことがあったよね。二人で動物園行ったり、一緒に迷子になったりずぶ濡れになったり……」
いつも明るく元気なのにだんだんと君の声が聞こえなくなった。静かに泣いていた。僕は声をかけずにただただ待っていた。
その間に僕は君と出会ったときのことを考えていた。