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36歳  作者: 土田和希
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道を聞いてきたおばあちゃんに感謝

とある春の日のこと、仕事帰りで自転車で帰っていた時だった。土曜出勤だったこともありとっとと帰りたく自転車を漕いでいた。最もつらいのは異常なほど長い坂だ。丁度区をまたぐらへんにまるでここからは違う街だと言うような坂があるのだ。これはしんどい、途中買い物でもしようものなら手で押さないと無理である。その日は立ち漕ぎで爆走しながら坂を上がっていた。必死な顔をして上がっていると目の前から白髪のパーマ、黒縁メガネをかけた痩せたおばあちゃんゆっくりと歩いていた。足取りはゆっくりで如何にも元気出ない人だ。その人が「すいません」と声をかけてきた。普通坂を必死な顔で上がっている人に声をかけるか!?と思いながらも止まった。苛立ちながら「はい?」と聞くと、この辺にある桜並木に行くにはどっちに進めば良いか?と聞いてきた。私はその辺に住んでいないので瞬時にスマホの地図アプリを開いた。するとおばあちゃんは「あっ、そこまでなさるのなら結構です~。」と申し訳なさそうに言ってきた。なら止めるなよと思いながら無視し道順を調べていた。割かし近くに並木通りはあり、このまま進んで左に曲がれば着くはずだと教えてあげた。「ありがとうございます。」という言葉を聞き、直ぐに又自転車を走らせた。「全く、自分で調べてくれよ!」と思いながら急いで帰っていた。

しかしその後自転車を走らせながら少し考えていた。70くらいのおばあちゃん、あと桜を一体何回見れるだろうか?まだ20回くらい見られるかもしれない、いや30回も無くはない、もしかしたら最後かもしれない。そう考えると良いことをしたのかもしれない、そんなことを考えていた。ちゃんと桜並木まで着いただろうか?

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