「不動の外套」を魔法で切る方法
ファンタジー作品における魔法の力の根源は、作品により様々です。
それは世界観の構築に重要な役割を示していて、作品の方向性の舵を取ることもあります。
作品の中の世界は作者が作り上げたものですから、私はその設定を最大限尊重します。
ただ”魔法はイメージ”とだけ言われるのは、少しモヤるところがあります。
だって、イメージを具現化するにしても、その過程では物理的なアプローチが絶対に必要なんですよ。
その物理的なアプローチの方法を術者の魔法でコントロールして行使するために”呪文”やら”魔力”が必要なんじゃないですか。だからその範囲内で魔法でなら出来ることと、魔法でも出来ない事がある訳です。
ここで今回の考察のテーマである「葬送のフリーレン」に登場するユーベルという魔法使いの「大体なんでも切る魔法」について考えてみます。
この魔法は「彼女のイメージで切れると思った「もの」なら、いかに強力な防御魔法を施されていようと、理屈では切れないと彼女自身が承知していてすら、なんでも切れる。逆に「切れない」とイメージしてしまったものは全く切れず、「もの」ではない防御魔法そのものに対しては無力」(Wikipediaより引用)とのことです。
ユーベルは二級魔法使いの試験で、試験管であるブルグの「あらゆる攻撃魔法を防ぐ不動の外套」を胴体ごと切断しています。この現象はどのような物理的アプローチをもって起こったのでしょうか。
「不動の外套」にはあらゆる攻撃魔法を防ぐ防御術式が組み込まれているそうです。これを破る過程を経ずに切断するには防御魔法の内側、つまり外套の布の繊維一つ一つに直接働きかけるしかないでしょう。
ユーベルは「布は切れるもの」というイメージに従ってそれを実現させていたわけです。恐らくですが、イメージに頼らずにこの魔法をコントロールすればブルグの胴体を切らずに外套を切断することも可能だったのではないでしょうか。
一級魔法使い試験の二次試験で、ゼンゼの複製体と戦う前にデンケンに自身の魔法の説明をする際に石壁を「切る」というより「えぐる」ようにしていたので、繊細なコントロールが難しいのかもしれないですが。