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恐竜目撃譚

作者: 葉沢敬一

 昔、湖となると○○シーという恐竜が泳いでいるのを目撃されたという情報が寄せられた物だ。元祖はイギリスのネス湖のネッシー。


 ネッシーは居ると主張している人はいるが、悪戯だったと「自称・目撃者たち」が証言しているし、不老不死ならともかく、コロニーも発見されてないので存在は否定されても仕方ない。


 ご当地ネッシーも21世紀に入ってサッパリと声が聞こえてこなくなった。心霊写真と同じでいくらでもねつ造できるし、カメラの解像度も上がっているからね。ファミコンのグラフィックと今のゲーム機のグラフィックくらい違う。


 こんなことを今書いているのは、先日、キャンプで行った湖で恐竜を目撃したからだ。

 こういうアウトドアの時は電子機器はカバンの中に入れているので、撮影を、と思ったら姿が消えていた。正直、風景写真を撮る趣味はないので、スマホで十分。キャンプ地は電波が届かないので仕舞ったままだった。


 恐竜が現実に存在しているという話をそのまますると現在では変な人だと思われる。

 霊が見えるという話よりも、眉につば付けて見られる。

 観光協会に言うと客を呼び込めるとか言って喜ばれるかもしれないが、「目撃者」として半笑いのレポーター相手に証言するのも気が重い。


 それに俺、仕事はWebデザイナーだから写真出してもねつ造したとか言われかねない。

 実はさっき、窓から気分転換に外を見てたら翼竜を見てしまったのだけど、どうしよう。


 数日後、近所をのし歩く恐竜たちが次々と目撃され、一気に有名になってしまった。テレビを初めとするメディアが押し寄せて、目ざとい地元の露店が「恐竜焼き」なるキャラクター物の回転焼きを販売し始める。


 少年時代を引き摺っている「恐竜博士」が目をキラキラさせながら、番組で討論し、捕獲? それとも、保護を訴えかけていた。


 そんな騒ぎも、ある日、大きめの隕石が当地に落ちてきて、収束するに至る。


 俺? 俺はたまたま、東京に最初の目撃者として招待されてテレビに出演していたから命拾いした。巻き添えになった人々は多く、恐竜は大災害の前兆を示す霊みたいなものだったのではないかと言われている。


 実際、以後、恐竜を見た人はいない。

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