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中学・イジメ・暴力

「モーちゃんとヤスダが喧嘩してる!」

誰かが叫んだ。

校舎階段の踊り場に人だかりができている。

野次馬を掻き分けて中に入ると、男子2人が取っ組み合っていた。

ヤスダはいつも喧嘩ばっかりしてる。安田がモーちゃんに吹っかけてケンカになったに違いない、僕は思った。

男たちが周りでヤイヤイ言って興奮してる。

ヤスダのパンチがモーちゃんの頬を捕らえた。

「べチン!」鈍い音がした。

「モーちゃんが泣いた!泣いたら強いぞー」よく分からん実況が響く。

涙を流してモーちゃんは、ヤスダの後ろに回り込み腕を絡めて首を絞めた。

その時「コラー!何しとんねん!」聞きつけた先生が猛ダッシュして来た。

「森下がきたぞー!」野次馬が一瞬にして散っていった。

賑やかな中学校生活が始まった。

中学校1年になった僕は、まだバス釣りを続けていた。

一応何か部活をしなくちゃいけないということだったので野球部に所属はしていたけど、サボり気味だった。

釣りに行きたいという理由もあったけど、1番の理由はイジメだった。

先輩が下級生に暴力を振るう。


ゆーぞうは、中3。

明らかに中1の僕たちより体も大きいし力も強かった。

練習が終わると、帰りの校門でユーゾウが待っている。

そこで下級生はジャンケンを迫られる。

そしてジャンケンに負けると、思いっきり肩を殴られるか尻を蹴飛ばされる。

僕は、ユーゾウが校門にいるのは分かってたから、校門とは反対のプール側の塀をよじ登って外に出た。

同じ野球部のキクちゃんは、僕の誘いに乗らず校門に向かった。

学校の外でキクちゃんと合流すると、ジャンケンに負けたキクちゃんは思いっきり肩を殴られて、大きな青あざになっていた。

「何でこんなことされなあかんねん。」

僕と合流した途端、キクちゃんは痛みを堪えながらプルプルと震えて、静かに涙をこぼした。

居た堪れなかった。

「何でこんな目に遭わなあかんのや。何でキクちゃんが殴られなあかんのや」

日常に、暗雲が立ち込めていた。

小学生の頃とは違う。

意味の分からん上下関係、遊び半分でダラダラの部活。イジメ、暴力。

友達を助けたくても助けれない。

嫌になった僕は、早々に幽霊部員となってしまった。



宇治川は今日も悠々と流れている。

堤防は草の香り。暖かい陽射しに照らされた斜面に、つくしが伸びていた。

ここには、面倒な上下関係なんか無い。命がのびのびと生きている。

自転車で堤防を飛ばして、ポイントへ向かう。

今では、中学校の帰りの電車から見える宇治川の水位を観察して、釣りをするポイントをあらかじめ決めるようになっていた。


全く釣れない小学生のころと比べると、中学生になった僕は少しづつ腕前を上げポツポツとブラックバスを釣り上げるようになっていた。

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