表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/7

ギター

 ジャーン

 ジャーン

 今日は我ながらいい出来だ。いつもよりも、音がきれいに聞こえる。

 でも私はもうギターを始めて3年目だ。

 それでこれは遅すぎる。

 fコードも引けない。ドレミもわからん。なぜギターを続けてこれたのかさえ分からない。

 でも、続けてさえいれば、いつかバンドが組めるから。

 私がリードギターをやってみんなが私と音を合わせてくる...。

 

 なんと美しい妄想だろう。

 そのために練習は続けなくてはならない。そう信じている。

 

 キュイーン。

 

 チョーキングの音だ。

 チョーキングだって、つかえるけど活用はできない。

 でも、チョーキングだけはきれいになる。だから、好きだ。

 

 でも、どうしてだろう。私は一日3時間ほど練習しているのに。

 うまくなろうとする気配がない。やることはわかるのだ。でも、

 いざ弾くと、()()()

 

 ギュイーン


 グリッサンドの音だ。

 これは本当に簡単なはずなのだ。

 でも、録音して聞いてみてもベンチャーズのテケテケにしか聞こえない。

 

 もう、めちゃくちゃに弾くしかないのだろうか。

 そうしている間だけ。


 ギタリストの気分になって、気持ちよく感じる。


 私はスウ、と息を吸って、ギターを構えた。

 ジャーン

 ジャーン

 ジャーン

 

 バン。

 自分のギターの音をかき消す大きな音。

 それに続き意識も遠のいた。

 

 と思ったのだが、意識が遠のくのは本当に一瞬で、ただ目の前が()()だけだった。

 なんだここは。 

 「誰か!」

 大きな声で叫んでも誰も来ない。お母さん?お父さん?

 私の妹は?


 家族は、どこ?

 私は、目を閉じているのかもしれない。

 でもやはりそれは見えているのだ。

 

 いや聞こえている。

 素晴らしいドラムの音が。

「え?」

「うわあ!」

「ごめんなさい!私目が悪くて...」

 ん?

 なんだこれは。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ