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08・エドガーを護衛に


「じゃあ…あの、エドガーくん…」


私は控えめにエドガーくんを見た。悩んだ末に出した結論だ。

エドガーくんは意外に優しいし、博識で頼りになりそうだし、もうちょっと話してみたい。


「えっ?!」


すると、ガタンッ、とエドガーくんが立ち上がった。


「えっ?」


エドガーくんのびっくりした様子に思わず私もびっくりした。エドガーくんなら自分が選ばれて当然!みたいに思ってそうだなと思ってたから。


「えっ?俺?」


「アレェ?サリヴァン先輩なら当たり前だな!みたいなこと言うと思ったんですけど」


エリックくんが皮肉気味に言った。でも私と同じようなことを思っていたみたいだ。

その言葉にエドガーくんはハッとする。


「あ、いや、そ、そうだな。おまえ見る目あるぞ!まあ俺を選んで当然だな!!!」


「ふふっ」


エドガーくんのその様子を見て、コルネさんが笑った。それに対して、エドガーくんはムッとする。


「何笑ってんだコルネ!!!!」


「いや、可愛いなって。ふふ、真っ赤だよエド」


「うるせぇ!くそっ」


エドガーくんはむすっとしながら座り直す。

嫌だったのかな……?と思ったけれど、コルネさんの言う通りエドガーくんはちょっと赤くなっていた。もしかしてちょっと照れてる、とか?

私に選ばれて?いや、自意識過剰かな、コルネさんが可愛いって言ったからかも。


「みんな異論はないかな」


コルネさんが場を仕切り直した。エドガーくんはムッとしたままだけど。


「まあお姉さんがサリヴァン先輩がいいって言うなら仕方ないですねえ……」


「異論はない。俺は教会を調べたいしな」


エリックくんはちょっと不満げに、ギンは特に気にする様子もなく了承した。


「うん、じゃあお願いしようかな…。呪いとか悪魔についてはエリックくんお願いしていい?」


「まあ専門ですしね、ウチに色々資料もありますし、悪魔を倒さなくても呪いを解く方法もあるかも知れませんから調べてみます」


「ありがとう。じゃあ僕は街で聞き込みと…学校の資料も洗ってくるよ」


コルネさんの進行の元で話がトントン拍子に進む。

なんか、すごく…本当にみんな優秀なんだなあって感じだ…。


「……ひとつ気になることがあるんだが」

 

「なあに、エド」


エドガーくんの呟きに対してすぐさまコルネさんが反応した。ムッとしていたはずのエドガーくんは、真剣な表情に戻っている。


「クロードの封印した悪魔についてだ。なんか、全く関連性がねえとは思えねえ…」


「…同じ悪魔かもってこと?」


コルネさんが首を傾げる。どうして封じられたはずの悪魔のことがここで出てくるんだろう。

まさか封印が解けたって考えてる?


「調べてみないとわかんねーけどな。昔の記録を見ておきたい」


「でもエドのうちって資料庫は家族以外の入れないし、資料は屋敷から持ち出し厳禁じゃなかったっけ…?」


「ああ、悪りぃけど明日一日だけ行かせてくれ。コルネ留守とコイツ頼む」


コルネさんはうーんと少し考えると急に何か思い付いたようにぱあっと明るい表情になった。

それを見て嫌な予感がしたのかエドガーくんはぎょっとした。


「じゃあ三人でエドガーのお屋敷行こうか!」


「えっ」


「はあ?!!!」


エドガーくんが再びガタンッと立ち上がる。

何を言い出すかと思ったら何を!!?と言いながらエドガーくんは机を軽くバンと叩いた。


「おい、落ち着きがないぞおまえ」


ギンくんが顔をしかめてエドガーくんを見るけど、エドガーくんは全く気にしてる様子がない。


「なんで一緒に行かなきゃいけないんだよ!!!」


「ええ?だって彼女の担当はエドでしょ?出来るだけ側にいなよ。資料庫にいる時は僕が代わるからさ。お茶でもしてるよ」


「人んちでお茶すんな!!!!」


エドガーくんに詰められているのにコルネさんはにこにこ笑顔を崩さなかった。強い。

そこでエリックくんがはぁーと長いため息をつく。


「うるさいですねえ…。別に断る理由もないでしょう?屋敷の中では持ち出しできるならお姉さんにも見せれるしいいんじゃないですか?」


「それそれ、僕もそう思って」


「ぜってぇ嘘だろ…」


私も今のはエリックくんにコルネさんが便乗したと思う。

はあと今度はエドガーくんがため息をつく。


「わーったよ…。ただあんまりうろちょろすんじゃねえぞ…」


「よかった!エドガーの屋敷なら安全だしね!うんうん」


「ったく」


本当にいいのかな………。

私はちょっと不安になってきた。嫌がるのはエドガーくんなりに理由があるんじゃないだろうか。


「ただマジで一日かかるかもしんねえぞ。日を跨ぐ前に帰るけどよ……。馬鹿みてえに資料多いし整頓もしてねえし」


「リョーカイ。エルちゃんも大丈夫?」


「あ、う、うん。私は大丈夫だよ」


守って貰えるだけでありがたい私には特に反対意見とかは無い。


「じゃあ決まりですねえ」


んーとエリックくんが伸びをした。それにギンくんが頷く。


「そうだな…。今日の夜番は…コルネだったか、明日屋敷に行くんだろう?今日は俺が代わる」


「あ、ありがとう。カガリくん。これからはエドが昼ついてるからエド以外でシフト組み直さないとね」


「まあ明日考えましょう。今日はもう休みましょうか」


エリックくんはふぁと可愛らしい欠伸をした。

話し合いで眠くなってしまったんだろうか。


「うん、そうだね!かいさーん」


その日はそのコルネさんの言葉で話し合いが終わった。


うーん…エドガーくんのお屋敷……かあ…、どんなところなんだろう…?

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