第150話 VS京都私立青峰女子学園(3年目):中編
*大変おまたせ致しました。
やっとちょっとだけ復活です。
■side:私立琵琶湖スポーツ女子学園3年 霧島 アリス
「おーおー、まあ派手なことで」
試合開始直後からの激しい戦闘と一条恋による気迫の一撃に思わず声が出た。
本来なら私も出た方が良いのだが、そうそう簡単に出てしまっては育てている意味がない。
それにイマイチ伸び悩み気味だったメンバーにとっても良い経験になっただろう。
「ってな訳で交代」
指をクルクルと回して合図をするとベンチに座っていた2人が立ち上がり、それと同時にVR装置から2人が出てくる。
*選手交代:私立琵琶湖スポーツ女子学園
IN
3年:黒澤 桂子
3年:長野 誠子
OUT
3年:宮本 恵理
3年:三峰 灯里
「よっしゃー!いくぜー!」
「元気過ぎて凡ミスなんて絶対止めてよね」
撃破ペナルティが解除され、正式に交代した2人が試合会場に飛び出す。
黒澤・長野のコンビが宮本・三峰コンビの代わりに中央に現れたのを見て、一条恋がさっそく声をかけてくる。
「突っ込むしか能のないコンビが何の用?……ああ、もしかしてポイント献上しにきたのかな?」
完全に馬鹿にするような台詞に2人は返事とばかりに銃弾を撃つ。
それを回避しつつも舌戦をしてこなかった2人に違和感を感じる恋。
だが2人がストライカー無しで中央に圧力をかけてきたことで意識を切り替える。
「……その感じた違和感は大事にした方が良かったわね、恋」
モニターに映る彼女の表情を見てそう呟く私に、早々にベンチに下がるはめになった2人が視線を向けてくる。
「2人とも、中央の戦いを見てると良いわ。アナタ達に足りてないものが何なのか、解るはずよ」
■side:私立琵琶湖スポーツ女子学園3年 黒澤 桂子
思えばU-15の頃だった。
あの時は、一流選手であるという自負があった。
周囲からたまに聞こえてくる批判的な声も「どうせ嫉妬だ」と決めつけ聞くことはなかった。
それがダメだったのか。
それともそこが私の限界だったのか。
いつも人を小馬鹿にしてくる一条 恋を倒してドヤ顔してやろうと思っていた。
そしていつかはアリスだって倒してみせると。
しかし蓋を開けてみれば圧倒的な差が生まれてしまった。
正直、悔しくて仕方がなかった。
だから自分に出来ることを探した。
今まで努力したなんて甘えを捨てて、がむしゃらに頑張ってきた。
―――今、目の前に『一条 恋』が居る。
相変わらず人を小馬鹿にしたような態度だ。
まあそれでいい。
そうでないと困る。
今から私が、私の全てを賭けてお前を倒すのだから。
「格下に見てた相手にやられる―――その瞬間、どんな顔をしてくれるのかしら?」
■side:京都私立青峰女子学園3年 一条 恋
「ああ、うっとおしい」
無駄に粘って時間稼ぎでもしたいのか。
それともまさか勝てるとでも思っているのか。
どちらにしろ、タイマンを仕掛けようとしてくるのがイラ立つ。
突撃するしか能の無い連中が、何を思ったのか連携を取るようになった。
しかしどう考えても―――
考え事をしているとキルログが流れてきた。
大谷のグレネードによるキルだ。
―――そう、大谷・南のコンビの劣化版でしかない。
「やられた場所はカバーして踏み込ませるな!」
味方に声をかけつつ正面からの攻撃を回避する。
いくら努力しようが所詮は付け焼刃の域を超えることはない。
しかしこちらはもう何年もガトリングで生きてきたのだ。
その経験差と火力差が、ストライカーとアタッカーではストライカー有利という相性が、私に『絶対に勝てる』という気持ちにさせる。
黒澤の動きはある程度見えている。
長野はタイマンを演出するために後ろの子達と撃ち合いをしている。
―――馬鹿な連中だなと思う。
LEGENDは残酷なまでの実力競技だ。
ちょっとした運や小手先の技術だけでは、状況をひっくり返すことなど出来ない。
「だから私が、アナタ達に引導を渡してあげる。どうしようもない『絶対』を見せてあげる。有難く思いなさい」
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第151話目も同時投稿してます。