第118話 VSスペイン親善試合:前編
■バネッサ・ブランチ・ロバト『AT』
・スペイン代表リーダー。アリスが声をかけた相手。
アサルトライフル、バックラー(盾裏に片手斧)、スパイクシールド、腰にマスターキーと片手斧、サブアームでドラムマガジン式オートショットガン持ち。
リーダーなのにアタッカーという非常に好戦的で単独突撃が得意。
■グロリア・ルエラス・オレジャナ『ST』
・スペイン三騎士と呼ばれる1人。
大型マシンガン、大盾、両肩ツインガトリング(サブアームで追加固定)、腰に大型警棒という射撃系ストライカー。
特に両肩ガトリングはアームで固定することにより足を止めずに撃てるよう改良されている。
■マリアネラ・アブレウ・エルモーソ『ST』
・スペイン三騎士の1人。
大型ブレード、サブアームに予備の大型ブレード、両肩ショルダーシールド。
典型的な突撃接近戦タイプの超高機動ストライカー。
特に同じような接近タイプを見つけるとタイマンに持ち込みたがる。
■マリサ・パンプロナ・バラゲロ『ST』
・スペイン三騎士の1人。
大型警棒、腰に予備警棒、大盾、サブアームにロケットランチャ2丁。
突撃接近タイプにロケットを追加した超高機動型。
ロケットで牽制しつつ相手との距離を詰めるスタイル。
■エルミニア・アブリル・ペレア『BR』
・レールガンを使うスペインのブレイカー。
元々はそれほど強い選手ではなかったが、レールガンを使用してから急激に戦果を挙げだした。
そのため本来では代表にも選ばれていない選手なのだが、今回リーダーであるバネッサの提案で参加している。
■side:U-18女子スペイン代表 エルミニア・アブリル・ペレア
ミーティングを終えた私達は試合準備に入っている。
今回のマップは、乱戦の起こりやすさで人気がある地下通路。
*画像【地下通路:初期】
「愉しみねぇ~」
「久々の国際試合だものね!」
「前回の優勝国と戦えるなんて!」
「良い勝負がしたいわ!」
私がそう言うと通信で皆が次々に返事をくれる。
「まあ、アリスや香織が居ないのが残念だけどね」
リーダーであるバネッサがつまらなそうな声で言う。
「ま、そんな舐めた編成じゃ私達には勝てないってことを教えてあげればいいのよ」
「アンタにしては良いこと言うじゃない」
「前見た時よりも変化が無いなら、正直相手じゃないけどね」
グロリア、マリアネラ、マリサの3人がそう言って笑う。
私も笑いながらその台詞に同意した。
そんな時だった。
―――試合開始!
開始のアナウンスと共に開始音が鳴り響く。
全員が移動していく中、私はその場でレールガンの先にあるバイポッドを使用する。
そして伏せ撃ちの体勢を取ると、レールガンを起動させつつデータリンクを開始した。
■side:U-18女子日本代表 一条 恋
試合開始の合図と共に前線へと向かう。
今回の試合に出るのは、このメンバー。
・アタッカー
大谷 晴香
大野 晶
・ストライカー
新城 梓
笠井 千恵美
一条 恋
田川 秋
池上 聖華【L】
・サポーター
南 京子
石井 美羽
・ブレイカー
鳥安 明美
新型ブースターのおかげで、この移動が凄く楽になった。
更に動きながら大型ガトリングを撃つことも容易になり、非常に戦いやすくなった。
相変わらず両肩ツインガトリングは足を止めねばならないが、これを外す気はない。
代わりにと言っては何だが、サブアーム2本を使って強引に小型ガトリングを1本装備している。
正直、反動を殺せず集弾性も最悪なのだが牽制・弾幕として利用していた。
予定していた北側に到着すると、既に相手は完全な防衛ラインを構築していた。
*画像【地下通路:開始】
*画像【地下通路:開始拡大】
スグに晶と石井先輩が到着するが、向こうは4人。
どうするかと思った瞬間、相手が動いてきた。
相手のアタッカー2人はアサルトライフルをサブアームに付けた3丁ライフル仕様だ。
「正直、神沢先輩で見慣れてるんだよ!」
そう言いながら相手の攻撃を回避しつつガトリングを撃つ。
まだまだブースターの制御が完璧ではないものの、昔と比べると圧倒的回避だ。
その分、リペアを外さなければならなかったので過信も出来ないが。
しかしそれでも相手の攻撃は、結構な命中精度だ。
まるでこちらの動く位置を予想しているかのような感じで撃ってくる。
更には少し後ろの相手サポーター2人が、誘導ミサイルを撃ってきた。
流石に誘導弾を回避しきれないので一旦後ろに下がって軍事施設を盾とする。
「くっそ、前に出れない!」
隣で撃ち合っている晶が、苛立つように言う。
石井先輩も盾を利用しつつ支援してくれるが、それでも相手の弾幕量と命中精度によって押されてしまう。
元々数が違うのだ。
仕方が無いと思う反面、普通に撃ち負けていることに腹が立つ。
せめて人数が同じなら何とかなるだろうにと。
相手が前に出てくる気が無いのが幸いだと言える。
そのため開始から10分間、特に状況が動くことは無かった。
■side:U-18女子スペイン代表リーダー バネッサ・ブランチ・ロバト
試合開始後、徹底して撃ち合いをして相手に踏み込ませないようにする。
状況が動けばそれに応じて動くつもりだったが、予想通りというかなんというか。
あっけなく接戦を演じることが出来た。
どうせやるなら一気にが良い。
そういう話になったので、その事前準備を進めていたというわけ。
「さて、そろそろ10分経つけど準備は良い?」
通信でそう言うと次々に『了解』と返事が返ってくる。
「レールガンの準備も完了~」
最後にエルミニアからの返信で全員の準備が完了したことになる。
「じゃあこれから一斉に仕掛けるわ。撃破された人は特別メニューね」
その言葉で全員の笑い声が聞こえてくる。
「じゃあ開始の狼煙を上げるのは任せるわ、エルミニア」
「はいは~い」
「―――陽動を開始する」
そう言って私はバックラーを構えて前に出る。
するとスグにもう飽きるほど見た大谷のグレネードが飛んでくる。
それを回避すると相棒の南による大型マシンガンとミサイル。
何度もこれで下がっていたため、今回もこれで下がるだろうと思っている隙を突く。
同じく前に出た味方ストライカーが大盾で私を庇う。
ミサイルによって盾の耐久値が大幅に減ってしまったために、逃げるように下がろうとする。
するとすかさず相手側のブレイカーによる狙撃が追撃として飛んできた。
弾が盾に当たると爆発を起こして盾が無くなる。
その後スグに2射目が当たって味方ストライカーは全力で撤退した。
しかし私だけは違う。
一旦下がった振りをして前に出たのだ。
それに気づいた大谷が再度グレネードをこちらに構えて投げ―――
―――ヘッドショットキル!
◆ヘッドショットキル
x 日本 :大谷 晴香
〇 スペイン:エルミニア
グレネードを投げようと身を乗り出した瞬間、エルミニアのレールガンが大谷の頭部を貫く。
それが解っていたので私は既に全力でブースターを利用して相手に迫っていた。
南が盾を構えつつ大型マシンガンを撃ってくるが、反応が遅い。
バックラーで最低限防御しつつ相手に迫ると、腰にある片手斧を持ちつつそのままスパイクシールドでタックルを決める。
大盾にダメージを与えながら相手のバランスを崩させる。
相手は何とか転倒だけは避けた。
しかしこちらは攻撃の手を緩めるつもりはない。
手に持っていた片手斧を相手に向かって投げる。
盾に命中して特攻効果で大きくダメージを蓄積させる。
更にブースターを吹かして相手に迫りつつバックラーの裏にある予備の片手斧を手にする。
再度突撃してくるこちらに気づいた相手だが、バランスを立て直した時にはもう回避不可能な距離までこちらが迫っていた。
そのまま再度スパイクシールドでタックルを決める。
次は予想していたのか、バランスをほとんど崩すことなく受け止めるように後ろに下がる相手。
しかし追撃として投げた片手斧で遂に盾が破壊され、消えて無くなる。
そこへトドメとばかりにマスターキーを構えた私が突っ込む。
相手は何とか反撃しようとするが、こちらの方が圧倒的に速い。
銃口を突きつけ、引き金を引く。
◆キル
x 日本 :南 京子
〇 スペイン:バネッサ
相手を撃破した瞬間、マスターキーを捨ててブースターを吹かす。
そして奥に居るブレイカーへと迫る。
サブアームに持たせたドラムマガジン式オートショットガンを手に持つ。
相手ブレイカーは即座に狙撃で応戦してくるが、それをバックラーでガードする。
2連射された弾が盾にくっついた瞬間、シールドバッシュをするような動作でバックラーを捨てた。
捨てたバックラーが後方で爆発する。
私のそんな行動に相手ブレイカーは焦りつつもライフルを捨ててハンドガンを構えるが―――
「残念、こちらの勝ちだ」
ハンドガンをスパイクシールドが弾きながら相手にタックルを決める。
相手が大きく後ろに吹き飛ぶ。
そのまま相手との距離を詰め、起き上がる前にショットガンを連射した。
◆キル
x 日本 :鳥安 明美
〇 スペイン:バネッサ
「―――やっぱりアリスが居ないと手ごたえが無いわね」
スペインとの親善試合が開始されました。
しかしいきなり北側の侵攻を止められ、南側を一気に抜かれてしまいました。
次話では、同時間帯に中央でも戦いが発生しており、その話を中心にやっていきます。
中央ではスペインを押し込むことが出来たのか?
それとも押し込まれてしまっているのか?
日本とスペイン。
双方のエース級ストライカー同士の戦いが開始されます。
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