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第111話 選考会紅白戦2戦目:決着(2年目)

■近藤 冬華:LEGENDアイドルユニット【Twinkle star】のメンバー。徹底した牽制攻撃用のマシンガンとミサイル持ち。


■佐藤 千秋:LEGENDアイドルユニット【Arcadia】のメンバー。かなりストイックでメンバーの中でも一番真面目。アイドルに全てを賭けている。


■谷町 香織:招集を蹴ってコーチに就任した大神のリーダー。監督やコーチに興味があったので今回の役割に満足している。




*試験的にマップに拡大マップをセットで載せてみました。

 兵科マークが見やすいように縁取りを追加しました。

 縁取りで1人のみ明るめにしてあるのはリーダー選手です。






■side:ブルーチーム 近藤 冬華






*画像【軍事基地:選考会2戦目前半2】

挿絵(By みてみん)


*画像【軍事基地:選考会2戦目前半拡大】

挿絵(By みてみん)



 私はひたすら指示された通りに誘導ミサイルを撃つ。

 そしてミサイルが弾切れになるとマシンガンに切り替える。

 タイミングを見て少しずつ補給を挟みながらそれを繰り返す。


 今回、人気投票なんて馬鹿げた方法で選ばれた日本代表候補。

 そのおかげで本来なら選ばれるはずのない人間が複数混ざっている。

 私達、LEGENDアイドルユニット【Twinkle star】もそうでしょう。


 【Twinkle star】からは、リーダーである理央ちゃんと私。

 そして【Arcadia】からは、『佐藤 千秋』が選ばれた。


 私達メンバー内だけでなくファンサイトでもお祭り騒ぎだった。

 世の中は批判だらけで大炎上していても関係ないとばかりに。

 理央ちゃんとは『一緒に頑張ろう』と励まし合いながら参加した。

 これで万が一にでも代表入り出来れば、トップアイドルの座も見えてくる。


 周囲では『所詮はアイドル』と言われることが多い。

 だが馬鹿にして貰っては困る。

 これでもその『アイドル』に人生賭けてるのよ。

 LEGENDだって一切手抜きもしていない。


「次は、上、下、下、上、下っす」


「ハイハイ」


 先ほどからずっと指示を出しているのはリーダーになった高橋選手ではない。

 隣にいる宮島選手だ。

 この人は代表選手になったこともある有名な選手の1人。

 だから私も大人しく指示された通りに動いている。


 今は砲撃を上下に振り分けていて、その順番を指示していた。

 どうしてそんなことをするのか?

 何故これ以上前に出ないのか?

 そう聞いてみた。

 すると―――


「どうせ点数的に最後は相手が突撃してくるっす。ならその突撃すら出来ないぐらいにしてやればいいだけっすよ」


 と言いながら全体マップデータを確認していた。

 まあ確かに壁裏に田川選手が居て上下をカバーしている。

 下手に相手が前に飛び出せば、高機動ストライカーに迫られるでしょう。

 そして私達の所は徹底して弾幕を張り続けている。

 ここ飛び出すなんて自殺行為でしかない。

 更に砲撃が定期的に降ってきて、それも的確な位置に落ちて来るため恐怖だと思う。


 ずっとこのままではジリ貧だと相手側も思っているでしょうが、そう簡単に崩せるような感じでもない。

 これはもしかして私はこうしてアピールしたまま良い感じで終われるのではないか?

 そう思えてくる。


「いける……これはいけるわ!」






■side:レッドチーム 北条 蒼






「砲撃注意!」


 そう叫んで逃げる。

 スグに紅も動いたため、被害らしい被害は無かった。

 もうそろそろ時間も怪しい。

 点数差的には前に出なければならない。

 しかし……。


 正面の牽制攻撃は、正直牽制を超えた連射だと思う。

 しかも全て爆発するため音や煙で非常に戦いにくい。

 更にこの場所から前に出るための通路が狭く数人で展開出来ないというのもある。

 もっと言えばそれでも強引に前に出れば、高機動重装甲ストライカーによる接近戦を仕掛けられてしまう。

 一度無理をして前に出たが、壁裏に潜んでいた相手に危うく紅が撃破されそうになった。


 そして何より後ろにいるストライカーだ。

 新城先輩と同じような装備の癖に前に出ようとしない。

 というか最初に勢い良く前に出ていきなり接近タイプのストライカーに接近を許して瞬殺。

 次に防御で撃ち合いをしている最中、相手に砲撃の天才が居るにも関わらず警戒を怠って撃破された。

 2オチしてから帰ってきたコイツは完全にダメになっている。

 明らかに撃破されることを恐れて消極的な動きしか出来なくなっていた。

 コレを数に数えることなど出来ない。


 結果的に前に押し出すだけの人数も火力も足りないため、どうしようもない。

 笠井先輩から『押し出せ』と言われるが、相手を退かせるだけの火力が無いので無理だわ。

 リーダーの池上選手が砲撃を切り替えて援護してくれているが、低威力の範囲攻撃のため嫌がらせの域を出ていない。

 そのため相手は砲撃の中でも一向に下がる気配を見せないわ。


 悔しいけど、これ以上は無理。

 負けると解っていても無意味に突っ込んでただ死ぬ方がよほど間抜けでしょう。

 だから―――


「ホント、文句なら後ろの奴に言って欲しいわ」






■side:レッドチーム 佐藤 千秋






 正直、相手との力量差に身体が震えた。

 しかし、私は退く訳にはいかない。


 LEGENDアイドルユニット【Arcadia】

 それが私の所属するグループだ。

 人気投票なんてと思っていたが、そのおかげで奇跡的に選考会に呼ばれた。

 でも解っている。

 呼ばれただけで、たぶん選ばれることはないだろうって。


 でも。

 メンバーの仲間から、ファンのみんなから、スタッフさん達まで。

 色々な人達に応援して貰って、私はここに来た。

 私は、みんなの想いを背負ってここにいる。

 だからこそ、私が諦める訳にはいかない。


 復活カウントが終了し、再び戦場に移動するとスグに先ほどと同じ場所に向かう。

 幸い相手側はこれ以上攻める気はないらしい。

 ならば、あとは個人のアピールだけだと思う。


 相手は世界戦で活躍したエースブレイカー。

 私なんかが勝てる相手じゃない。

 そんなの解ってる。


 でも。

 今まで必死にやってきたことを思い出す。

 LEGENDや歌にダンスと、とにかく体力勝負。

 だから毎日、徹底して筋トレを行っている。

 馬鹿みたいな反復練習。

 汗だけでなく涙まで出てきても。

 これが私が選んだ道。

 私が青春全て、人生全てを突っ込んででも選んだ世界。



 ◆キル

 x レッドチーム:三島 冴

 〇 ブルーチーム:鳥安 明美



 私より先に仕掛けた三島選手が、またやられた。


 でも。

 私は戦う。

 相手が誰であろうとも。


 一度、大きく深呼吸をする。

 そして―――


 ライフルを構えながら壁から飛び出す。

 スグに鳥安選手を見つけて、そして引き金を引いた。


 発砲音と共に弾が飛び出し、鳥安選手の方へと吸い込まれるように―――


「あ、当たっ―――」






■side:ブルーチーム 鳥安 明美






「あ~、うざい」



 ◆キル

 x レッドチーム:佐藤 千秋

 〇 ブルーチーム:鳥安 明美



 先ほど飛び出してきたアイドルが予想よりも早く撃ってきた。 

 おかげで足に弾が当たって少しダメージを受けてしまう。


「三島先輩みたいにちゃっちゃとやられてくれればいいのにぃ~」


 復活してスグに再度挑んできた三島先輩は、結局また同じことをしてきたのでさっさと退場して貰った。

 どうせアイドルも同じだと思っていたら、これだ。


 奇跡的にこちらを討ち取って『奇跡の大逆転!』って感じを狙いたかったのでしょうけど。


「そんなに連発する奇跡なんてあってたまるかって話よ」


 一瞬、あの思いっきり粘ってくれた忌々しいブレイカーの顔を思い出して舌打ちする。

 会場のアナウンスを聞いている限り、このまま大きく動かずに終了するでしょう。


 そう思っていた。

 最後にもう一度ぐらい三島先輩来るかな~なんて思いながら待っていると―――



 ◆フレンドリーファイア

 x レッドチーム:黒澤 桂子

 〇 レッドチーム:ゲスト



 ―――ヘッドショットキル!



 ◆ヘッドショットキル

 x ブルーチーム:大野 晶

 〇 レッドチーム:ゲスト



 立て続けにログが動いた。


「は?」


 一瞬意味が解らなかった。

 そして私が正面を見た時、それをやった相手の姿が見えた。


 手に持っているのは零式ライフル。

 そして軽量装甲であるライトアーマー。

 先ほどまでの2人とは明らかに違う装備。


 その相手はこちらを見ると銃弾を1発、見せつけるようにその場で親指で上に弾き飛ばした。

 その瞬間―――


「―――え?」


 気づけばもうライフルを構えて発射していたのだ。

 発砲音と共に持っていたレクイエムが弾き飛ばされる。


 相手は素早い動きで排莢作業を行うと、上から落ちてきた先ほどの弾を何事も無かったかのようにキャッチしてライフルに装填した。

 それが何を意味するのか。

 私の思考が状況を理解するよりも先に、2度目の発砲音が響いた。



 ―――ヘッドショットキル!



 ◆ヘッドショットキル

 x ブルーチーム:鳥安 明美

 〇 レッドチーム:ゲスト






■side:U-18女子日本代表指導コーチ兼監督補佐 谷町 香織






 試合が終了して選手達が帰ってくる。

 2試合目は圧倒的な差が出てしまった感じになった。

 最後によくある突撃すらさせずに封じ切ったブルーチームの対応は評価できる。


 それと同時に最初に当選を決めていたメンバーを少し変更する必要があると感じる。

 この辺はみんなとの相談になるが、とりあえずまずはアリスの意見から聞かせて貰うかなぁ。


 そう考えてアリスを探すと、スタスタと歩く彼女の後ろで必死に騒ぐ鳥安の姿があった。


「あれはどう考えてもおかしいですよぉ~!なんでコーチが試合に出てるんですかぁ~!」


「は?何を言い出すかと思えば。あれはちゃんと書いてあるでしょ。『ゲスト』って」


「だからそのゲストが先輩なんじゃないですかー!」


「証拠も無しに人を疑うなんて、流石はクソ鳥」


「クソ鳥って言わないでくださいよぉ~!てか零式であんなこと出来るの先輩しかいないでしょ!」


「何言ってるの。舞だってあれぐらい出来るでしょうに」


「いや、そういう問題じゃなくてですねぇ~」


「とりあえず何を言おうが、結果は変わらないわよ」


 アリスは端末を操作して『鳥安1デスっと』と言いながら記入していた。

 それが気に入らないのか、鳥安が何だかんだと色々言いながら付きまとっている。


「……まあ、あとでいいか」


 そう思っていると監督が選手達を集めて、選考会の終了を告げて挨拶をする。

 集まったことへの感謝から、希望者には自分の客観的データの配布まで色々と話をしていた。


「結果は、1週間後に各学校に届くようにしておく」


 そして最後にそう言うと選考会は終わった。

 まあ私達は、これから集まってメンバー選考の最終調整をする訳だが。


「さて問題なくすんなりと決まると良いんだけど」








同じアイドル達でもその意識の差は、やはりあるみたいですね。

そして地味にリーダーのようなことをする宮島。

流石は堀川とラストアタックを作っただけあって、集団突撃に対しての知識があるみたいですね。

北条姉妹は、やはり押し返すだけの技量不足が露呈しました。

まあ数か月で凡人選手から一流選手達と戦えるようになっただけでも成長と言えますが。

笠井も宮本に抑え込まれてしまい、実力を発揮できませんでした。

どちらも田川が効果的に牽制をかけ続けたことも大きいでしょう。


そして佐藤は最後に意地を見せましたが、やはり実力差があり過ぎて奇跡を起こすまでには至りませんでした。

最後は延々と喧嘩を続ける2人と調子に乗っている鳥の駆除に謎のゲストさんが参戦しました。

一体ゲストとは誰だったのでしょうねぇ~。


最後は一斉突撃すら出来ずに終了という大差での負け。

赤チームで足を引っ張った選手の代表入りは絶望的かもしれません。


次話にようやくU-18女子日本代表が決まります。

誰が選ばれるでしょうね。

既に感想欄に予想している方もいらっしゃいますが。

当選メンバーはかなり前から決めていたので、予想が当たってるかどうかはお楽しみということで。



*マップが見えにくいというご意見があったので、試験的に拡大マップも載せてみました。

 反応が良ければこれも継続します。

 あと地味に兵科マークの見やすくするように縁取りしました。

 リーダーだけ色が明るめの縁取りにしてあります。



*誤字・脱字などありましたら修正機能もしくは感想などからお知らせ下さい。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 拡大図ありがとうございます。 無理の無い範囲でお願いできればと思います。 疾風のように現れて♪ アリスのように殺っていく♪ ゲスト選手は誰でしょ~♪ 北側の三選手は、、選考会の試合をな…
[良い点] 拡大マップの掲載、ありがとうございます。 非常に見易くなって助かります。 通常のマップのシンボル表示も前話よりも少し大きくなった様で BRとSPを混同せずに済むので助かります。 [気に…
[一言]  クソ鳥が学校で選考会の決定通知書に、戦力外通告を受けるだろう。その後、暴走と喚きそう。髪型も鳥の巣頭だったら良いのにな。
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