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破壊神が往く  作者: 桃の妖精
プロローグ
1/13

出来るだけ投稿スパムは早くしたいです…

書きたい事全部乗せした作品です。

突然だが、俺は死んだ。

死ぬ間際に感じたことと言えば、冷えきって震える手と、どうしようもない腹部の痛みだった。


俺─環悠理(たまき ゆうり)は、至って普通の高校1年生だった。

今年新設された高校へと入学し、学内でも目立たずに過ごしているだけのありがちな男子高校生、それが俺だった。

少し違うといえば、人と関わる事を嫌うのと、いわゆるオタクという所だろう。

学内では、基本的に他人とは話さず休み時間は寝るかラノベを読んで1人で過ごすのが小学生の頃からだった。

オタクになったのも、小学生の頃から人と関わると気疲れするので本を読み耽っていた時に、ライトノベルに出会ったからだろう。


そんな基本的に、他人と関わりを持とうとすら思わない俺がまさかあんな…()()()()()()()()()()為に自ら死を選ぶ等、自分で言うのもあれだが馬鹿じゃないのか?とすら思う。


ジム通いの悠理は、その日もジムへ行く前に行きつけの書店で面白そうなラノベがないかを探して─実際には悠理のお眼鏡にかなう物は無かった─そしてジムへと向かおうとする所で、後ろから悲鳴が聞こえた。

悲鳴の元へと目を向けると、中年の男が手には刃渡り30cmはあろう包丁を握りしめながらこちらへと向かって来ていた。

辺りの人間は関わらない様にする物や、悲鳴をあげながら逃げる者、警察へと通報している者や、恐怖のあまり立ち尽くしている者も居た。そして…逃げ遅れた子供を庇おうと、子供に覆い被さる母親の姿が見えた…

その瞬間、悠理の中を色々な物が駆け巡った。

優しく物腰柔らかな母親と、厳しくも厳格で威厳溢れる父親と過ごす日々…目の前の少女と母親にも、そんな日々があったのだろう。しかし、それは今目の前までやって来ている男によって壊されそうになっている。それを理解した瞬間に悠理は、自分でも驚くような判断の速さで、男に向かって駆け出した。

男は、いきなり横から悠理のタックルを受けて体制を崩す。ギョッとした目─瞳孔が開きっぱなしの目─で悠理を睨みつける、その間に通報を受けて駆け付けた警察が男を見つけるなり捕らえようと駆け出す。

それを見た男は、歯軋りをしながら悠理と親子を無視して逃げ出そうとする。─悠理の失敗はここだろう─怪我もなく被害を受けてない上に、警察までやってきたのだから後のことは警察に任せれば良かった。だが、悠理の中にある僅かな正義感とも呼ぶべき物が「こいつを今ここで逃がせば、他の人に被害が行くかもしれない。その前にこいつを捕らえろ」と訴えた。そして、悠理は半ば反射的に男の腕を掴み捕らえようとする。それが仇となった。


サクッ


あまりにも軽い音と共に、男の腕が悠理の腹部へと伸びる。即ち、包丁を持っていた腕が、だ。

辺りに満ちる鉄の臭いと、腹部に感じる熱を帯びた痛みを認識した瞬間に悠理は理解した。もっとも、理解しても悠理は動くのを辞めなかった。アドレナリンが分泌された事で悠理は万力の様な力で男のもう片方の腕を掴み、包丁から手を離させる。

そして、冷静な判断が出来なくなっていた有利は何を血迷ったのか腹部に刺さっていた包丁を抜き、それを握り締めて男の1番の弱点─目の奥にある脳─へと向けて包丁を…いや凶器を振りかざす。

肉を絶つ嫌な感覚と共に、男の目に包丁が突き刺さる。そのまま悠理は更に力を加え、男の脳へを穿つ為に凶器へと更に力を加える。

目の前にいる目から包丁の柄が生えた愉快なモニュメントと化した男が完全に動かなくなったと気付いた瞬間に、悠理は安堵と共に力が抜けて倒れ伏す。そして遅まきながらも気付く。自分の命があと数分しかないと言う事に…

そうして、痛みと寒さと後悔をかき混ぜながら悠理の意識は深い闇へと落ちていき、目を覚ます事はなくなる。─はずだった。


悠理は気が付いたら、何も無い空間に存在していた。

明かりもなく、特徴もなく、意識して無ければ今いる空間さえも忘れてしまうような空間にいた。

「…ようやく目が覚めたか。」

「…!?」

何も無いと思っていた空間に、1人の男が存在していた。

だらしなく伸びた白髪と、痩せ細った肢体、それだけ聞くなら老人をイメージするが、目の前の男は若々しかった。そして、その男は鎖と杭で全身を打ち付けられ、縛られていて、満足に動ける様には見えなかった。

「…ふむ…斯様な場所へとただの人間が来るなど…それも異世界の人間が…か…空間になんらかの歪みが出来たのか…いやそれとも…」

「あの…なんかよくわかんないけど…ここはどこなんだ?アンタは誰なんだ?」

「…ふむ…名乗るのが遅れたな。我が名はヴァース。お前達異世界の人間には解らんと思うがな…我が元いた世界では我は世界に終焉をもたらす破壊神と言われたモノだ…」

目の前に居る破壊神を名乗る男─ヴァースは唐突にそんな事を言い放った。

無論、悠理はゲームやアニメやラノベで神という存在や悪魔等は知っていたが、あくまであれらは想像の産物…人間の作り出した都合のいい妄想だと思っていた為に、それを真っ向から信じる等出来なかった。しかし、目の前の男の言葉は何故か本当だと、悠理は直感でそう思った。

「次だ、ヴァース…様?ここは一体何処なんだ?」

「…様など付けなくていい…ここは奈落よりも深い奈落、深淵よりも濃い深淵。神々が創り出した世界の境界線の裏側にある空間…名を虚無空間(ボイド)という。」

虚無空間(ボイド)…」

男の言葉を理解しようと、頭の中で整理する悠理だったが、次は男から質問を浴びせられる。

「逆に問おう、環悠理…何故ここに存在している?ここは円環の輪を外れた物でも、決して辿り着けぬ我を封じる為だけに存在する世界だぞ…ましてや、異世界の者など…」

「いや…すまない…俺にもよく分かってない」

「ふむ…もしかしたら、お主は何か我と縁があるのかもしれぬな…いやもっとも、縁があるだけでここに来るなど有り得ぬが…」

そうして暫く黙り込んでいたヴァースだったが、唐突に口を開き悠理にある提案を持ち込む。

「環悠理よ、これは我の気まぐれの施しだが…お主、()()()()()()」気は無いか?」

「は?」

「何、悪い事は無い。お互いにな…我は自力ではここから出る事が出来ぬ。しかし、お主と融合して力の全てをお主に譲渡すれば、主は出る事が出来よう。」

「なるほど…つまり融合して2人でここから脱出すると言うことか?」

それならこちらとしては断る理由など無い、と結論付ける悠理だった。

だが、ヴァースから発せられたのはある意味では全く逆の事だった。

「いや、我は外には出られん。お主と融合した瞬間に我はお主と融合した瞬間に我はお主の魂の1部となり、そのまま溶けて消えるだろう。」

「な!?」

「だが案ずるな。元より我は歴史の残滓、いつまでも生き永らえた所で結局今の我に出来る事等ない。であれば、主の糧になるのが良いだろう。」

「だけど…それじゃお前が俺と融合するメリットが無いだろう。」

実際その通りだった。悠理がその提案を了承した所で、ヴァースは報われない。ヴァースがこれを受け入れた所でメリットが無いのだから。

「何…我は何度も言うがここでは何も出来ぬ。この鎖と杭がある限り、我の魂はこの場に縫い留められ、我の肉体は身動き1つ取れぬ…だが逆に言えば、我と融合してくれるのであれば、我は永き牢獄から解放され、お主と共に次の時代を歩める…」

「…わかった。破壊神ヴァース、その提案を受け入れよう。」

「うむ…感謝する。」

そうして、ヴァースの提案を受け入れた悠理はヴァースから説明を受ける。

曰く

悠理はいわゆる魂だけの精神生命体となっているので、悠理とヴァースが融合する事によって、魂からの再構築を図り、鎖の持つ『ヴァースに対する能力』を無効化する。

そうして、虚無空間(ボイド)の一部をヴァースの権能である『破壊』の力で無理やりに捻じ曲げて壊す事により、ヴァースの元いた世界である『リドルヘイン』へと産まれ落ちるという事らしい。

「では…悠理よ、我に触れよ…そして受け入れよ。」

「…あぁ」

融合が始まる。ヴァースが持つ圧倒的な記憶と情報そして、力が流れ込んでくる感覚に思わず体が軋むかのような錯覚を覚える。

そして、完全に融合が終わった瞬間に、不定形な塊となった悠理は、その圧倒的な情報量にオーバーフローし意識を失う。

「…さて、我の最後の仕事だ…」

未だ融合されきってないこのタイミングであれば、悠理ではなく本来の力の持ち主であるヴァースが虚無空間(ボイド)に穴を開リドルヘインへと辿り着ける。むしろ、このタイミングでなければならない。そう本能的に察知してるヴァースは数千年ぶりにその力を奮う─



■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫▪



意識が覚醒する。

呼吸をする。

目を開く。

日常的に行っている動作をわざわざ確認する必要は無いが、これで自分が生きているという事がわかる。

そして、目が覚めた悠理がいた場所は─獣が住み着いているような、現代の日本人にはもっとも馴染みの薄い…深い密林であった。


面白かった。

続きが見たい!

って思ってくれたなら幸いです。

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