ひいろちゃん!(その2)
クラス一の、変人なおかつ自由人。その名も…
「皆さんお元気? 自称世界の長髪美少女、ひいろだよ!」
元、図書室登校児なおかつ、ひいろの被害者…
「増見 のんです」
「キュートなショートヘアーの女神、のんちゃん、のんちゃんです! 皆様、のんちゃんに清きハグを!」
「やめい」
「それでは、せーのでサブタイトルコール言ってみよう! せーの『好きなバンドとひいろちゃん!』」
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「のんちゃん、のんちゃん、聞いてよ!」
朝早くの教室で、ひいろは教壇に立って話を始める。
「本日はコチラ!」
そう言って取り出したのはバンドのCD。
「ひいろは唐突だな」
「ひいろは尊い? ありがとう!」
「誰も言ってない」
「まあ、おいといて」
「うん」
「私のね、好きなバンドを紹介しようと思いまして」
「はぁ」
「一週間プレゼンを考えました」
「まあ、何事にも入念な準備は必用だね」
「オイボレーズというバンドでして」
「はい」
「本当に格好いいの。CD売上150枚、ステージへ上がれば、まばらな拍手!」
ひいろはうっとりとして語る。
「格好いい要素が無いな!」
「メンバーは、ドラムの三郎、ベースの梅、ギターの淑子…。そして私のイチオシ、ボーカルの佳江!」
「名前がおばあちゃんとおじいちゃん」
「平均年齢、七十五歳!」
「お元気で何より」
「メンバー全員銀髪で、」
「それ、白髪」
「物知りなの」
「それ、年の功!」
「私のイチオシ、ボーカルの佳江さんはね、凄いんだよ」
「何が?」
「曲中にアドリブで、曲を逆さまに歌い始めるの」
「ただの迷惑!」
「そこから始まるドラムも鳴らぬ、佳江さんのソロパート!」
「それ、多分みんな置いてかれてるだけ…」
「そして、そんなオイボレーズにも新人が入ることに!」
「よく入ろうと思ったな。ソイツ」
「そう。その新人は…」
「新人は?」
「私さ!」
「お前かよ!」
「佳江さん直々のスカウトさ」
「…で、それはいいとして、ポジションは?」
「マスコットキャラクター」
「え、マス、え?」
「マスカットキャラクターとも言う」
「え、ブドウ?」
「違うよ。升カットキャラクターだよ!」
「マスってそっち!? さらに、わけわからん」
「死んだ目をして、升を手刀でカットしていた所を、佳江さんが見初めてくれたの!」
「待って、それどんな状況?」
「佳江さんはね、私の死んだ目に惚れたらしい」
「そっち!?」
「ほら、私って美少女だから」
「死んだ目の美少女なんて聞いたことないっ!」
「ちなみに、私は升カットのカチューシャをつけて、ボーカルの横で死んだ目をして直立不動をするポジションだよ」
「怖いわー。うん、怖いわー」
「今度、オイボレーズ解散コンサートをするから、是非来てね!」
「新人入って即解散かい!!」
今日の空です。
お付き合いして下さり、ありがとうございます!
今回はただのギャグ回でした。
ひいろちゃんマジ自由人…
「ひいろちゃん!」の一話
『はじめましてのひいろちゃん』もよろしければお付き合い下さると嬉しいです。
のんちゃんとひいろちゃんが出合う話です。
是非とも笑ってやって下さい。
精進します。