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家族パーティー最強説!! 〜異世界のんびり無双譚〜  作者: 川中 春夏
第一章『無双』
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第47話『魔法対決』

「この先は~まだ見ちゃだめだよぉ~」

 意地悪な感じで口元に手を当ててきた。

 細い指が口をつぐませるが、それよりも彼女の妖艶な姿に目を奪われそうになる。

『どうしてもだm……』

 もうすでに言葉すら発することを許されなくなった。いったいどれだけの秘密がこの先にあるんだろうか。かなり気になるが、今は両親が帰ってくるのを待つのみ。舞奈もこの先の様子が気になるようだったが、パーラの頑丈な壁が行く手を阻んでいる。

『お兄ちゃん、パーラちゃんの言うことを聞こうか』

 そんなことを言って柊真の腕を引っ張り、リビングに行く……ふりをして、パーラの隙をついて階段を駆け上ろうとする。

『いたっ! 何、これ?』

「ふっふっ~ん。舞奈の行動はお見通しですよぉ~わかりやすなぁ~」

 プークスクスとあざ笑うように舞奈を馬鹿にする。かなりイラつく煽り見える……少なくとも俺に向けられていたら、ぶん殴っていたところだ。いや、殴ると反撃が怖いからやめておこう。どう考えても死ぬ未来しか見えないからな。

『お兄ちゃ~ん。パーラちゃんどうにかしてよ……』

「だぁめ。上にはいかせませぇん~」

『ケチ!!』

『よし、舞奈よ。外で魔法の練習でもして時間をつぶすか!』

 唐突な柊真の提案だったが、舞奈は二つ返事で『うん!』と返してきた。

 魔法に関してはわからないことが多いが、たぶんできるだろう。舞奈は天才だから。

 そうして、パーラを連れて外へ出る。さっき帰ってきたばかりだというのに、再び外に出るとどういうわけか気怠くなってくる。が、そんなことを言っていたらいつまでたっても始まらないので、舞奈と家から少し離れた場所に向かう。

「ねぇねぇ~、舞奈と魔法対決してみたいなぁ~」

 道中パーラが提案した。幻獣魔種と魔法の対決となると、相当な被害が周りに出そうだが、大丈夫だろうか。ここら一体が消し炭になってもおかしくないだろう……

 そんなことを想いながら歩いていると、少し開けた場所に出た。

『じゃあ、対決? するのか?』

『やってみる!』

「まけないですよぉ~」

 パーラと舞奈が向かい合う形で一について、二人とも相手に向かって睨みをきかせている。二人の間を吹く風は危険な香りを運んできた。

 柊真は危険が及ばなさそうな場所まで移動し、二人の行く末を見ている。

『ファイアボール!』

 舞奈がそう叫ぶと、杖の先から雫程度の炎の玉が出現した。それはだんだんと大きくなっていき、最終的に野球ボールほどの大きさになる。

 「じゃあ私もぉ、同じで、ファイアボール」

 パーラが発動した魔法も舞奈と同じもの、単純な力比べの対決になった。

 軍配は舞奈にあると柊真は予想する。なぜなら、彼女の魔法は『圧縮魔法』が標準としてあるため、目に見える魔法の威力とはかけ離れているからだ。どれだけの威力になっているのか全く予想ができない点を踏まえれば、舞奈の方が強いのではないかと考えたのだ。

 二人は合図もなしに同時に魔法を放った。

 まず訪れたのは、二つの魔法の速度に違いが見えた。舞奈の方が遅い。

『魔法にも質量が存在するのだろうか?』

「質量は存在しますよ」

『やっぱりそうなのか』

「私の『水弾』で木の幹をぶち抜いたことがあったじゃないですか。あれがいい例だと思いますよ。ただし、光魔法や闇魔法のような物には質量をもたないものも多くあります。夜とかになっても夜事態を感じることってないですよね」

『あー確かに』

 納得のいく例を出されて思わず手をポンとたたいた。

 夜というものは視覚的にわかるものであって、触れることはできない。それがエラムの言いたかったことだろう。まぁわかる。全然理解できる。

 二人の魔法がぶつかり合う瞬間、パーラの魔法は一段階膨れ上がった。同様に舞奈の魔法は特に変わらず、二つは接触した。すると、一瞬にして舞奈の魔法が巨大化してパーラの魔法を飲み込んだ。

 一瞬にして集結した魔法対決。特に爆発とかが起きなくてほっとしている反面、ど派手な爆発や花火のようなものが見れると想像していたが……残念な結果になってしまった。

「相殺……ですかね。どちらも威力が同じだと起こることですが、なかなか起きることじゃないですよ」

「やっぱりぃ~舞奈は強いですねぇ~」

『パーラちゃん、手加減したでしょ! 私分かるんだからね!』

「そんなわけないじゃないですかぁ~。本気でやらなかったら普通に死んでますよぉ~?」

『じゃあ、もう一回! 今度こそ勝ってやる!』

「最後ですよぉ?」

 再び始まる二人の魔法対決。引き分けという結果に納得のいかない舞奈は、やる気十分な目をパーラに向ける。その視線に応えるように、パーラも頷いて腕を再び前に伸ばす。

『いけぇ!!』

 舞奈の手から放たれた魔法は直線状に先ほどより早く移動している。それに、大きさも先ほどより大きい。

 対するパーラの放った魔法は、先ほどとほぼ同じと見える。そして、ぶつかる。

 次は、舞奈の魔法がパーラの魔法を弾き飛ばし、そのままパーラの元まで飛んでいく。

「『水弾』」

 突如横から放たれたのは、エラムの水弾……が30発ほど。それだけの弾幕を舞奈の魔法にぶち込んでいく。

 一つが着弾したと思えば、蒸発し、その場には何も残っていない。それが30回繰り返さ後、パーラのもとに届くはずだった魔法は、その軌道から逸れ、彼女の背後にある気に着弾。それと同時に爆弾を思わせるような爆発が起こった。

 爆音とともに弾け飛ぶ周辺の物。それが四方八方に弾丸のように飛んでくる。

 柊真にも何度も直撃したが、『大賢者ガルントの加護』がまだ継続しているのか、傷一つつかなかった。

『あーーパーラちゃん、もしかしてこの加護があるってわかってて避けなかったの?』

「ば~れちゃった。だから魔法勝負にも誘ったんだけどね~」

『そうならそうと言ってよ!!』

「あはは~」

『勝負は舞奈の勝ちだな。いい勝負だった』

「幻獣魔種であるパーラに魔法で対等以上に渡り合える人なんて、凄いですね。魔法を習っていったらどんどん強くなりますね」

『じゃあそろそろ家に帰ろうか。もう家で休もう』

 学校の疲れも残っている柊真が家に帰るよう三人に提案。三人ともが頷き、帰路についた。

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