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家族パーティー最強説!! 〜異世界のんびり無双譚〜  作者: 川中 春夏
第一章『無双』
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第46話『家』

「さて、自己紹介も終わりましたし、いきなり授業っていうのもなんだと思うので、ちょっとしたうんちくを。

 皆さんは、基本魔法をご存知ですよね?」

 初めの無感情はどこえやら……もう明るい印象に塗り替えられる。

「例えば、『炎』だと『ファイアーボール』というのが基本魔法になりますが、この名前ちょっとダサくないですか?」

 ロボットのごとく無機質な印象がほんの数分でアイドル並みの明るさへと変化し、どう対応すればいいか困っている様子の柊真と舞奈。サンやレイン、リョン、キョンはもう学ぶ姿勢へと移り、お嬢様達やムーンは相変わらず表情が読めない。

「『ファイアーボール』というのは、魔法詠唱または口頭で伝える時など文字を使わない時に使う言葉で、本来……と言うべきなのかは不明ですが、元の名前というのが『炎魂(えんこん)』と呼びます。炎の魂と書いて炎魂(えんこん)。この意味として、私たちが魔法を使用する際に必要になる『魔力』の根源は『魂』、つまり『生命力』なんです。他にも、水や風、雷などの魔法もありますが、それぞれに『水魂』『風魂』『雷魂』などがあります。全ての魔法はこの『〇魂』に変化をつけると上位の魔法になるのです。例として『炎魔法』であれば『火炎魔法』や『烈火魔法』などになります。後半はちょっと余計だったかな?」

 ほう……の一言しか出ない。ただ一つだけ共感できる。

 ファイアーボールはダサい。ということだ。

 確か、初めてエラムと会った時の質問攻めの際に説明を受けたのは、魔力という力があるのだと思っていたが、まさか自分の生命力を削っていたものだったとは思いもよらなかった。

 舞奈は魔力量が異常だと副ギルド長に聞いたが、それはつまり『生命力』がめちゃくちゃあるということなのではないだろうか……

 バルーン先生のうんちくを聞いた事により、さらに謎の深まる『魔法』のあれこれ。だが、どうして王族や貴族等の富人達も魔力量が多いのか……。

『――』

 柊真はバルーン先生に魔法の質問をしようと口を開けたが、多分理解できないと思い、口を閉じる。

「ハッ!!もうこんな時間。さて、質問したそうな顔でこっちを見てたね、えっと……シューマ君。惜しいけど、質問は明日に回して今日はみんな入試の疲れもあるだろうから、早めに帰ろう。明日は今日と同じ時間に来てね」

 魔法板に貼ってある座席表を手に取り、シューマの名前を確認しながら、柊真の表情の変化を指摘した。

「じゃあ、リョン君号令お願いできるかな?そのまま「礼」と一言だけでいいから」

「わかりました……「礼」」

 その「礼」を合図に、視界が切り替わる。教室の中にいたはずの柊真達は全員、外(校門)に出ていた。

 唖然とする表情で立ち尽くす10人。しかし、すぐにこの状況を理解して帰路につくお嬢様方とレイン。

「何が……起こったんだ?」

 初めに疑問を口にしたのはリョンだった。

 さっきまで教室にいたのに、気がつけば外にいた。おおよその検討はついているが、恐らく『瞬間移動』又は『転移』等の魔法によるものだと考えられる。

 そう思ってエラムに確認を取ると、確かにそうだと返信が帰ってきたが、具体的な魔法はわからないそうだ。

『瞬間移動』と『転移』等の魔法の違いは分からないが、それ系統のものを使って10人全員を外へ出したと。やっと理解が追いついた柊真だったが、未だに苦しんでいるリョンに説明をする。

 対してキョンは舞奈いつの間にか仲良くなっており、今の魔法について話していた。

「なるほどな……やっぱり魔法って凄いな」

『そうだね……これって身につければかなり移動とか楽になりそうだな』

 リョンも理解ができたようで、2人して魔法に感心している様はどうも奇妙なものだ、と感じる柊真。

「それじゃあ明日もよろしくな」

 舞奈と話し込んでいたキョンをを連れて、柊真達が帰る方とは逆の道へ歩き始める。帰り際に、キョンが手を振っていたので、舞奈と柊真は手を振り返した。



 ☆★☆★☆★☆



『えっと……何これ?家……だよな』

『でも、こんなに綺麗だったっけ?』

『瞬間移動』系魔法の一件があって、魔法にさらにハマり始めた舞奈に振り回されながらも、異世界転移してきた場所。つまり、自宅へ向かって帰っていたが、どうもいつも寝ていた自宅とは違い、新築の家が建っていることに気がついた。

「あ、柊真と舞奈〜おかえり〜」

 先に家に帰っていたパーラが、柊真と舞奈に気が付き、家の窓から身を乗り出しながら声をかける。

『なぁ、パーラ。これは一体どういうことなんだ?』

「まぁまぁ〜そう焦らずにぃ〜冬馬と瑞奈が帰ってきたら教えてあげるぅ〜」

 人差し指を口に当て、決して言わないとサインを出す。

『わぁ……入口は変わってないけど、内装が……凄いな』

 玄関のドアを開け、靴を脱いで、綺麗になった家に上がる。

 日本にいた時の家がそのまま復元されたように、内装はだいたい同じだったが、電灯代わりに不思議なものが天井についていた。

 リビングにはソファーや食卓机もあり、久しぶりに我が家に帰ってきたような感覚だった。

「どう〜完璧には出来なかったけど、まぁまぁな仕上がりだとは思うなぁ〜」

『これ……すごいよ。早く父さん達が帰ってきてくれないと、どういうことか説明受けれないしな……』

 家の構造はわかるにせよ、内装までも復元されていたのにはかなり驚いた。それは舞奈も同じで、フカフカに復元されたソファーにダイブしたり、2階に上がって自分の部屋を確認して驚いたりと、忙しそうだった。

「実はね……ここにもうひとつ上の階に上がる階段があるんだよぉ〜」

 2階へ続く階段から伸びる廊下の突き当りの壁に、手を触れたパーラ。そこから出現したのは3階へと続く隠し階段だった。

『すげ……復元されただけで嬉しいのに……』

 そう言葉を漏らしながら柊真が3階へと続く階段を登ろうとした時、パーラが柊真を通せんぼする。

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