第39話『ダンジョン探索(終)』
こんにちは。川中春夏です。
今回少なめです。
そう指さされた先には、幾何学的な、明らかに初心者でも手の込んでいると分かるような、複雑な魔法陣が描かれていた。
幾重にも重ね書きされている線は、明らかに上級の魔法使いによるものであると推測することが出来る。
ゆっくりと魔法陣の中に足を踏み入れる。
全員が魔方陣に入った途端に、青白く魔方陣が光り始めた。
「よし、それじゃあ地上に行こうか」
次第に目の前の景色が変わっていき、薄暗い宝物庫から沈みかけの太陽が見える、小高い丘の上に立っていた。
『うわぁ〜綺麗〜』
夕日を見て、舞奈が感動の言葉をこぼす。
ダンジョンに来た時は、まだ日は照っていたが、ダンジョン攻略に大分時間を割いたことが分かる。しかし、小高い丘からの景色は絶景であり、近くを流れていた川に夕日が写っており、より幻想的な風景になっていた。
「久々に夕日なんて見たな……一体何年ぶりだろうか」
夕日を見つめながら、ガルントさんは悲愁の顔を浮かべる。
『そうね……何年ぶりかしらね、こんなに綺麗な夕日を見たのは……』
母さんも夕日を眺めながら、どこか懐かしい表情を浮かべていた。
「それじゃ、エンシェに乗って帰ろう」
徐々に近づいてくる黒竜を眺めながら、忙しかったような一日を振り返って緊張の糸が切れたのか、どっと体が重たくなった気がした。
そろそろ魔法学校の入学式があり、父さんと母さんは適任検定試験を受けに行かなきゃ行けない……と、結構ぎゅうぎゅうのスケジュールだと今更ながら気がついた。
あと少ししかない休養をどう過ごせば良いのかは誰もわかってはいなかったが、そこまで難しそうなものでもなさそうと感じているのは、俺だけという訳でもないだろう……
舞奈は転移時にもうかなり上級の魔法使いとして完成した状態だった事や、両親共々何かの職の上級かそれ以上の実力者になっている事も事実……さらに言えば、皆が持っていないとされている第3の力『神力』を4人全員が持っており、俺にはパーラのとんでもない加護付き……これ以上説明する必要は無いと思うが、かなり最強に近い家族なのではないだろうか……
こんな余裕かまして優等生組じゃなかったら怖いぐらいだ。
期待、好奇、不安、挑戦、様々な感情が魔法学校入学という単語を聞くだけで込み上げてくる。
一体どんな学校生活になることやら……
ここまで読んでいただきありがとうございます。
やっと初ダンジョンの出来事が終わりましたが、もう少し遅い展開にすればよかったと今更ながら後悔しております。




