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家族パーティー最強説!! 〜異世界のんびり無双譚〜  作者: 川中 春夏
第一章『無双』
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第36話『ダンジョン探索4』

こんにちは。川中春夏です。

またまたお久しぶりです。

「この門は、あの大きな骸骨に魔力を流すことによって開く仕掛けなんだ。」

 ガルントさんが指をさした方向を見ると、門のちょうど真ん中のあたりに口をあんぐりと開けている骸骨があった。まるでマーライオンのようになにか口から出てくるような雰囲気であった。

『よし、さっそく開けてボス戦に行こうか。』

 そう意気込み、骸骨に触れ魔力を流す。

 ギギギ〜と音を立てながらゆっくり扉が開いた。扉の奥には廃墟のように朽ちた聖堂が広がっており、ボスと思わしき存在は確認することは出来なかった。

『なんにもいなくないか?』

 聖堂をあらかた見回したあと、緊張がほぐれたように一息つく。

「いや、ボスはいるはず。しかもかなり強いやつがね…」

 忠告を促すガルントさんと、後ろの方で固まっている母さんと父さん達、魔法が撃てるとワクワクしている舞奈、非常にバラバラな感じではあるが、正直どんな強いやつが来ても倒せるような自信はあった。

 そう思った直後、天井から何かがふわふわと落ちてくるものが見えた。それは綿のような見た目と所々に紫色の斑点がある、なんとも不気味なものだった。

「ふむ。今回は戦ったことの無いボスかな…」

 ガルントさんが落ちてくる綿を見上げながら、自分の戦ったことの無いボスだと仮定する。

『あれは、何なのだろうか…』

 未だに落下を続ける綿を眺めながらガルントさんの横に後ずさる。

 そしてついに地面まで落下を終えた綿は、突如爆発した。誰も予想していなかった出来事に反応が遅れ、後ろからの襲撃に気が付かなかった。

『うわぁぁ!!』

 悲鳴をあげたのは父さんだったが、振り向くとそこには、クラゲを連想させる容姿と、6本の触手、綿に包まれている頭を持ち、常に空中に浮いて、降りてくる気配のない魔物がいた。



 ☆★☆★☆★☆



『なんだこいつは!!』

「これは珍しい…『メラーケン』じゃないか。」

 見たことも無い魔物に叫ぶことしか出来なかった俺とは裏腹に、冷静に相手を分析したガルントさん。

 〔おぉ〜『メラーケン』は高級食材だよぉ〜〕

「あぁ、特にスープに入れると美味しいらしいが、さて本当だろうか。」

 触手に絡まれ苦しんでいる父さんを置き去りに、目の前の魔物が高級食材であることを話し始めたパーラ達。

 捕まえてスープにするか揚げて食べるか必死に討論している。

『誰か〜助けてくれ〜!!』

 必死に助けを乞う父さんを見て、ようやく人質がいたことに気がついたパーラ達は、それぞれ攻撃態勢に入る。

 ガルントさんは魔法詠唱をし、パーラは眷属に攻撃を命令、パーラ自身も魔法を撃とうと、手を対象に向ける。

『あ、私も魔法撃とうかな…』

 隣で魔法詠唱を始めたパーラを見て、舞奈も唯一使える『ファイアーボール』を唱える。

 頭に乗っていたエラムも皆に加勢するように無数の触手を伸ばし、魔法を詠唱する。

 ガルントさんの詠唱した魔法は、石の礫になり、メラーケンの触手を一本貫通した。繋ぎが無くなった触手は重力に従って地面に落下する。その後しばらくビチビチと動いていた触手だったが、パーラの眷属『ケルベロス』にトドメの一撃を刺され、完全に動きを止める。

 自分の触手が1本無くなったことに気がついたメラーケンは、綿でおおわれた頭から大量の爆弾(ワタ)を飛ばしてくる。

 先程の爆発力を目の当たりにした俺達は、その危険性が十分にわかっていたため、ワタ(爆弾)自体を攻撃することがないようにメラーケン本体を狙って魔法を放つ。

 〔水弾〕

 エラムの無数の触手から放たれた破壊力抜群の水の弾は、父さんが捕まっている触手に集中砲火され、水弾が触手を貫通し、風穴をいくつも開けていく。

『うわぁぁ!!』

 千切れた触手と父さんが一緒に落ちてくる。即座に落下点に移動したのは、ケルベロスだった。そして、ケルベロスの背中に落下し、一命を取りとめる。

 人質と自分の触手日本を取られメラーケンは激情したように雄叫びを上げ、頭部からとんでもない量のワタ(爆弾)が降ってくる。

『おいおい…これはさすがに避けれないんじゃ…』

 上から降ってくる視界を覆うほどのワタを見ながら焦りを露わにする柊真。

「舞奈!!」

『は、はい!!』

 唐突に呼び捨てにされた舞奈は、驚きを隠せず背を張ったまま言葉の続きを待っている。

「今から新しい魔法を教える。できるか?」

 この状況で新しく魔法を教えて、即座にものに出来る人など、この世界ならいないことは無いだろうが、それでも相当な腕利きか天才肌の者だけだろう。それとも、この状況では舞奈にしか対処できないのだろうか……どちらにしろかなりリスクの高い判断なのではないだろうか……

『やってみます。』

 舞奈は言い切ったものの、かなりの不安を抱えているように見えた。目が泳ぎまくってる……

「よし、じゃあ『フレアバースト』と唱えてみろ。」

 なんともありきたりな、ダサい魔法の名前が出てきたな…と柊真は渋い表情のまま一人思う。

 魔法と言えば、『厨二病』という偏見が植え付けられている柊真からすれば、『フレアバースト』という言葉を聞いただけでも、顔を背けたくなる。対して、舞奈にはそんな固定概念がないためか、『厨二病』なのかは分からないが、早速右手を標的に向かって伸ばし、唱えようとしていた。

『フレアバースト!!』

 唱えられた瞬間、右手から真っ赤な炎が扇形にものすごい勢いで撃たれた。放たれた炎を浴び、ワタ(爆弾)は焼失する。そして、メラーケン自信にも影響があったのか、顔周りにあったはずの大きなワタが焼けて無くなっていた。

 上から降ってきていたワタ(爆弾)が無くなり、一気に形勢逆転した俺達は、エラムの放った高威力の水鉄砲がメラーケンの急所に当たり、その一撃を受けたあとはグラリと体制を崩し、巨体が落下してくる。

『やった……のか?』

 ぐったりとして動かないメラーケンを見て、まだ死んだと確信できずにいると、「多分、核に当たったんだな。」と答えが返ってきた。

『核?』

「あぁ、魔物の魔力源となる場所のことだよ。しかも今回は、魔力源と心臓がほぼ同じような場所にあったみたいだから、一撃で倒れたんだね。」

 そんなことあるのか。と思いながら、辺りに散乱した岩陰から父さんと母さんを探す。こういう戦闘の時は、必ず岩陰や木の影などの見つかりにくい場所に隠れるようになっていた。その姿はすぐに見つかり、もう大分こういうことに慣れたのかケロッとした顔で隠れていた。

「よし、ボスも倒したから、あとは……」

 そう言いながら、腰につけていた短剣を鞘から引き抜いた。そして、躊躇無く先程倒したばかりのメラーケンを解体していく。

『な、何やってるんですか?』

「見ればわかるだろ。食べれる部位と売る部位、捨てるしかない部位を捌いてるんだよ。」

 そんなの当たり前だろ?と訴えかけているような顔で質問の答えが返ってくる。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

また次回で…

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