第33話『ダンジョン探索1』
こんにちは川中春夏です。
一週間おきに更新したくはないのですが、忙しいんです…すみません…
頑張って3日で投稿したいな〜
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ほとんどの人は、ダンジョンと聞くと大きな門があったり、洞窟みたいな入口だったり、塔だったりと色々な想像ができると思う…そんな常識的なことを覆すように今、目の前にダンジョンの入口があった。
今は、その入口を最初に通る人を決めている最中なのだが、そもそもダンジョンとはということから説明しよう…
この世界でのダンジョンとは、冒険者ギルドのランク上げの試験に使われたり、魔物を倒して素材を集めて装備を強化していったり、単純にレベル上げのためだけに使われる。
ダンジョンとは何故こんな役割のためにあるのだろうか…
レベル上げだったら原っぱとかでもできるし、素材を集めるのだってほかの場所でもできるはず、では何故ダンジョンという場所に人が集まるのかと言うと、『お宝』だ。
ある一人の男があるダンジョンに訪れ、最下層のボスを倒し、そのダンジョンのみに存在する宝を持ち帰ったことにより、各所の魔物の溜まり場を求めて様々な人が挑戦して行ったため、宝を入手するついでとして、レベル上げだったり、素材の収集だったりに使われるわけだ。
そんなダンジョンだが、ある一人の男が攻略したダンジョンのみしかまだ攻略されていないらしい…
先程、ダンジョンを魔物の溜まり場と表記したが、ダンジョンは魔物にとっても好都合な場所なのである。
それは、魔物もレベル上げのために人間を倒すためだ…
俺たちにレベルがあるように、もちろん魔物にだってレベルはある。魔物によって強かったり弱かったり、レアな素材が落ちたり落ちなかったりするのはレベルに左右されるからだ。さらにいえば、魔物にだってスキルやらなんやらもある。だから、俺たちを倒してもっと上位の魔物への進化…『種族進化』への条件を達成するために、互いをお取りにしながら、ある場所に多くの魔物が集まり、ダンジョンと呼ばれるようになるのだ。
まぁ、そんな互いの利益を求めるためにあるダンジョンに入ろうとしているのだが、あいにくここのダンジョンは入ったら『死』と考えるべき場所だろう…
今いるのは、地面にぽっかり空いた穴…それも数十メートルも下に続く大きな穴であり、人一人やっと通れるぐらいの入口で、1度下まで到達してしまえば絶対に出ることは出来ないだろう…
ここに集まった魔物は頭がいいな…
そんな危険な入口を最初に通る人は誰か恒例になるつつあるあれで決めることになった…
『よし、勝った人が入ることにしよう。』
『OK』
『わかった。』
『わかったわ。』
「あれとは何だ?」
『ガルントさんはこれかこれかこれをポンッの合図の時にどれか出してくれればいいよ。』
手でグーとチョキとパーを示しながら説明する。
なんのことかさっぱりわからないガルントさんだったが、俺がじゃ〜〜んけ〜〜んポンッと言った途端にグーをだした。
負けたのは俺だけだった…
『また俺かよ…もう1回やらない?』
『大丈夫だよお兄ちゃん。ガルントさんが加護付けてるんだからさ。』
うーん確かにそういえばそうだな……しょうがない、行くか。
そう思い、入口に飛び込む…
『うわっ…けっこう高い…』
ドシンッという大きな音と同時に足が地面に着く。
驚いたことに、痛みを感じず、綿あめの上に着地したような感覚だった…実際はめちゃめちゃ硬い地面なんだけど…
〔よーし、着いたぞー〕
〔どうだったーお兄ちゃん。〕
〔飛び降りたらわかるよ。〕
そのまま上に向かって話せばいいじゃん。と思ったかもしれないが、ここはダンジョン…つまり、大声を出して魔物がよってくる可能性だって十分に考えられるから、むやみやたらにこえをだすことはやめておく。
しかし声は出ていないが、着地した時の振動と音によって完全に魔物に気づかれただろう…
ドシンッドシンッドシンッと次々に上から人が降ってくる。その度に地面は揺れ、クレーターができ始め、音は周りに大きく響き渡る…
『予想はしてたけど、ここって洞窟じゃね?』
「そうだ、ここは別名『エルフの洞窟』と呼ばれていて、最下層に『エルフの涙』と呼ばれる、魔法アイテムがあるらしい…しかもこの洞窟は魔物のレベルが高く、上位の魔石や聖石がよく手に入る。」
エルフの洞窟って言ってもエルフが出るわけじゃないのかな…
『進みますかー』
「と言っても進めないがな。」
突然、横から金切り声のようなかん高い奇鳴が聞こえてきた。
「早速、このダンジョンの中でかなり厄介な魔物…『グリフォン』」
見た目はペガサスに似ているが、少し違う…なんというか…かなり好戦的な感じがする。
〔柊真さん、あれは私と同じ上位魔種です!!厄介なのは、あの声です!仲間を呼ばれれば勝ち目はないと思った方がいいです!〕
「舞奈と言ったか、魔法は撃てるか?」
『いえ、まだ何も習っていないので…』
申し訳なさそうな顔をしてガルントさんに謝る。
「じゃあ、今から言う言葉を唱えてみろ。『ファイアーボール』」
だs…ゲフンゲフン
すると、ガルントさんの手からサッカーボールぐらいの大きさの炎の塊が出現し、グリフォンめがけて撃つ。
片翼にあたり、焼け焦げた匂いがあたりに漂う…
「ガァァァ!! キィィィーーー!!!!」
片翼が焼け落ち、炭になっていく…
「翼を狙って撃てばいい。胴体に魔法は効かないからな 。」
『わ、分かりました。…『ファイアーボール』(ボソッ)』
すると、持ってきていた杖の先端から、ガルントさんのファイアーボールとは比べ物にならないくらい小さなファイアーボールが出現した。
『こ、こんなのでいんでしょうか?』
いつの間にかグリフォンの数がかなり増えていた。
初めは3匹いたはずなのに、今では15匹ぐらいまで増えている…
「大丈夫だ、翼の付け根を狙って撃て。」
『わ、分かりました!』
そして、杖の先端から離れ、グリフォンの翼の付け根に命中…と、同時に、今までスーパーボールぐらいの大きさだったファイアーボールが、突然巨大化し、周りにいたグリフォン達もまとめて舞奈の魔法の餌食になっていた…
しかも、魔法が効かないはずの胴体までも焦げ、爛れ、炭になっていた…
舞奈の魔法に当たった全てのグリフォンがバタバタと倒れていき、魔石を残して消えていく…
『つ、強えー』
〔こんな魔法…見たことがないです…〕
「まさか、世界で数人しか成功したことがないと言われる圧縮魔法が撃てるとは…魔法勝負じゃ私は絶対負けるね…」
ガルントさんも舌を巻くほどの魔法を初めて魔法を撃った舞奈が撃てるとは…
「舞奈がこんなに強いということは、柊真達も…」
と、完全に空気になっていたパーラと父さんと母さんに目が向けられる…
『いえいえ、そんな大層なことは出来ませんよ。』
『右に同じです。』
「さぁ〜ねぇ〜」
母さんと父さんは否定。パーラは答えを濁した。
「まだ、ダンジョンは始まったばかりだから、これからもっと凄いことになりそうで、今回のダンジョン探索はとても楽しそうだな。」
ニヤニヤしながらグリフォンの落とした魔石を拾っているガルントさん…傍から見るとかなり不気味である…
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『思った以上になんにもないな…』
ダンジョンの中に入ってからかれこれ2時間…最初の戦闘以降魔物が全くと言っていいほど現れず、現れたとしれも単独で挑みに来るため、素材の集まりは最悪…どうしたものかと思いながらダンジョンの最深部を目指す。
〔そうですね…まさかこれほどまでに敵が出てこないとはさすがに驚きます…〕
エラムでさえ驚きは隠せないようだった…
「なんにも出てこないから、柊真達の異能力で気になったものの解説をしていいかい?」
あまりに暇すぎたのか、持ってきた麻袋の中から俺達のステータスが書かれた紙を見ながら質問してくる。
『いいですよ…正直、異能力があることも知らなかったし、どんな能力なのかもわからなかったからお願いします。』
「じゃあ、まず、柊真から。
柊真のに『超回復』と『異次元ボックス』ってのがあったが、いつこんな便利なものを手に入れたんだい?」
『超回復』っていつ手に入れたんだろう…
わからないと首を振ると、「わかった」と一言返ってきた。
「『超回復』はそのままの意味と捉えていい。擦り傷、打撲、脱臼や骨折、などほとんどの怪我、又は病気をすぐに治すことが出来る。
この異能力は、回復魔法で回復するよりも多く回復し、回復魔法より消費する魔力が少ないのが特徴だ。」
ことまで読んでいただきありがとうございました。
また次回で…




