第32話『いよいよ出発!』
お久しぶりです。
ちょっと長文になりましたが、序章終了です。
選ばれたのは…あ〇たかでした。
ってのは冗談で、店主が選んでくれたのは絹で作られた服だった。
『この服はな、動きやすくて軽い、しかも水に濡れても直ぐに乾くって言う性質を持っててな、長持ちもするって言う最高の品なんだ! さらに言えば安い事だな。1着銀貨2枚!あんたら初めて見る顔だから、初購入ってことで銀貨1枚!!
どうだ?買うかい?』
絹の服が500円って普通に凄い…
『えぇー銀貨1枚ですか!? 買いたいです!』
母さんは歓喜していた。
舞奈は、『こっちの方がいい!』と母さんに講義していたが、全く聞く耳を持っていなかった…
まぁそりゃそうなるわな…多分安いしね…
1着500円、4着買って2000円、予備を4枚買って4000円
合計8枚買って4000円だった。
上だけ買っても意味ないし、変えたかったから頼んでみると、今度は皮のズボンをすすめられた。
「この皮のズボンは、ある魔物の皮を特殊に加工しまして、裁縫師達が丁寧に一針一針縫って作った高級品なんだぜ。
特に、素材になっている『ムラガ』と言う凶暴な魔物の希少魔種の皮を使ってるから少し値段は張るが、軽いし、伸びるし、洗いやすいとかのいい事だらけの品物だぜ。まぁ、1着金貨1枚するから、ここは店主としての寛大な心で銀貨5枚の半額にするわ!どうだ!」
『は、半額ですって〜!?』
この店主できるな…
母さんめっちゃ乗せられるやん…
元々の値段が銀貨5枚って可能性も無きにしも非ず…まぁ、今の母さんに言ったところでって感じなんだけどね…
んで、結局この革のズボンも予備合わせて8着購入。
今回の支出は日本円にして2万4000円、金貨2枚と銀貨8枚だな。
金貨しかなかったから、お釣りとして銀貨2枚…残りの金貨はあと9997枚と銀貨2枚……全然残ってんな…
早速着替えて、次は食料の買い出しに行こうと大通へ出たところ、店を出た真ん前に武具店があったため、先に武器の購入をすることになった。
『『サンマル武具店』って言うんだな…この店…』
なんか元の世界にもありそうな名前だな…
店の外には、ガッチガチの騎士とかが着そうな鎧とか、屈強な人が持つような斧や大剣が並べられている。
〔皆はなんの武器がいいのかな?
エラムとパーラは武器とかっているの?〕
〔いえ、私達は何もいりませんよ。逆にあると戦いにくいですから。〕
〔OKOK、じゃあ母さん達はなにか使ってみたい物とかない?〕
〔私は魔法の杖とかがいいかな…さっきの検査をでも魔法系の攻撃が強そうだったし…魔法好きだし…〕
〔父さん短剣がいいな…なんとなくだけど1番扱えそうなのが短剣だったから…〕
〔じゃあ私も短剣で〕
舞奈は杖、父さんと母さんは短剣、じゃあ普通の剣にしようかな。
「いらっしゃい、毎日魂込めて打ってる鍛治師達の剣や防具を魂込めて売ってるサンマル武具店へいらっしゃい。剣?防具?」
なんかマニュアル通りに読んでる気がするけど、気にしない気にしない…
『短剣と普通の剣、あと魔法が撃てる杖が欲しいです。』
「へいよ、こんなのとかどうだい?」
手渡されたのは、初期装備でありそうな銀色の短剣と普通の剣…正直これがいいのか悪いのか全然わからない…
『母さん達持ってみてどう?』
『私、これでいいわ』
『父さんもこれがいいな。』
なんか父さん、違う人みたいな話し方だな…
『俺もこれでいいかな…』
「そりゃよかった、三本のシルバーソードで金貨2枚だ。
そんでお嬢さんの方はどうかな?」
『うん。私もこの杖でいいよ。』
「そうかそうか、ではシルバーソード三本とセンの木の杖一本で金貨2枚と銀貨8枚だ。」
この値段が妥当なのかはわからないが、お金に余裕はあるからまぁいいかな…
「まいど、また寄ってきなよ!」
武具店を後にし、大通を歩いて行くと屋台がいくつかくっ付いて出来た大きなお店が見えてきた。
「らっしゃいらっしゃい!!今日は旅や長期間のクエストで役立つ食べ物がいっぱいだよー!!」
そんな食べ物があるのか…まぁこの世界じゃクエストでお金を稼ぐってのが普通だから、長期間どっかに行ったりってのはあることなんだろうな…
だから食料に困らないように干物みたいなものが売られてるわけだ。
「お、いらっしゃい。長期間のクエストかい?」
『えぇまぁそんなところです。』
「じゃあ、これはどうかな?
これは、ある川でのみ取れる『ナラマケラ』と言う魚を1週間かけて干してあるんだよ。特に腹の部分が美味しいし、長持ちするし、お腹も膨れる等のいい点がある。1枚銅貨2枚だからどうだい?」
へーそんなのも売ってるのかー
見た目は普通の干物だし、匂いもいい匂いだ。しかし、これだけで腹が膨れるかと聞かれればどうかなーって思うんだけど、1枚100円だから1人15枚持つとして、いいよな。エラム達は食べるかわからないから一様持っておいてっと…
合計で、9000円…金貨1枚と銀貨8枚。
「結構買い込んだな。そんなに長くクエストに行くのかい?そんな風には見えないけど…人は見た目に寄らないな…まぁ、頑張ってこいよ!」
計90枚の干物を持ち、最後に母さんの入会した証をもらいに錬金術ギルドに行かなきゃな…
90枚の干物って改めて見るとすごい量だな…
と言う訳で、錬金術ギルドにやってきた。
錬金術ギルドの外見は、冒険者ギルドと何ら変わりない作りになっていて、看板に錬金術ギルドと書いてあるだけだった。しかし、中に入ってみると、冒険者ギルドには無い、実験器具だったり、有名な人なのか誰かの肖像画が壁一面に貼られている…ちょっと不気味なところで、冒険者ギルドとは違った意味で怖い印象だった…
『すみません。ギルドカードを取りに来たのですが…』
「少々お待ちください。」
受け付けにいた白衣のようなものを着ている青年は奥に行き、しばらくしてから1枚の紙と試験管2個を持って来た。
「それでは、簡易的に錬金術をやってもらいます。とても簡単ですし、やり方はこちらが教えますのでその通りにやっていただければできるはずです。」
そう言って受付の隣にいくつかあるテーブルのひとつに、試験管2本と少量の液体を持って行き、準備を始めていた。
「では、この液体が入っている試験管にこちらの液体を入れていただき、振っていただくとある変化が見られるのですが、色によって錬金技術がわかるのです。
もし、何も変化がなく透明のままの場合は、全く錬金術が使えないという事ですので、ギルド入会は無効になります。」
能力ないなら入ってくるなって事か…まぁそれが普通か。
錬金術ができないのに入ってきてもらっても…って思うしな。
『分かりました。ちなみに何色に変化しますか?』
「今までの最高と致しまして、赤色に変化した方がおられますが、ほとんどの場合は黄色なんです。
黄、緑、青、赤という順番にランクが上がっていきます。」
『分かりました。では、』
試験管の中に1つ目の液体を入れ、2つ目を入れる…そしてふる。
初めに黄色に変化し、徐々に緑がかってきて、完全に緑色になり、今度は青にだんだん近づいていき、完全に青になる。しかし、変化は止まらず今度は赤に変化していき、そして更に黒に近づいていく…完全に黒になり、終わったと思ったら中の液体が沸騰したかのようにブクブクと泡を出して、徐々に中の液体が少なくなり、最後には空になった試験官だけが残った。
『この場合はどうなるのでしょうか?』
「…これは現実なのでしょうか?まさか、測定不能になるなんて…あ、あなたの登録は大丈夫です。そして、今度ある試験には必ず出席していただき、その能力をぜひ披露していただきたい!」
『それは、構わないけれど…まぁ、深く考えないことにするわ。』
「それでは、こちらのゴールドギルドカードをお渡しします。それでは検定の日、よろしくお願いします。」
結局何を披露して、披露したらどうなるとか測定不能とはどういう事なのか、色々と聞きたい事はあったし、ここはどんな事をするとかの具体的な説明も受けてない…
相当テンパってたし、多分忘れたんだろう。
また今度来た時に説明を聞いてもべつに遅くはないだろう。
☆★☆★☆★☆
さて、ガルントさんのところに戻りますか。
食料も買ったし、新しい装備(服)も買ったし、武器も買っておいたし……うん多分大丈夫。
「お、やっと戻ってきたか…待ちくたびれたぞ。」
街の中に入れるとなんか大変なことになりそうだし、エンシェは俺の眷族じゃないから、元々街に入れることが出来ない。そのため、門の外で買い物等が終わるまで待ってもらっていた。
「しかし、随分といい匂いがするな…魚のようだが…」
『鼻がいいな…だが、あげないぞ。ダンジョンに持っていくための食糧なんだから。』
俺は、魚の干物を売ってくれた人に麻袋を貰い、その中に入れていた干物をプラプラとエンシェの顔の目に近づける。
『ま、ガルントさんの塔までの送迎料として、塔に着いたら1個だけあげるよ。それでいいだろ?』
「うむ。それならいいだろう。」
そして俺達は、俺だけ危うく死にかけながら通ってきた上空を来た時と同じ速度で塔に向かう。
もちろん、二度とあんなことにはなりたくないからガッチリ、エンシェの背中についている鱗をしっかり握る。
しかし、どうやってこんなに早く飛んでいるのだろう…
翼もそこまで激しく仰いでいる訳でもないし…何か特別なスキルとかあるのかもしれないな…
帰ってガルントさんに聞いたらすぐに分かることだな。
そんな事を思いながら必死にうろこを掴む。
☆★☆★☆★☆
「そろそろ着くぞ」
エンシェが何かを喋ったが、暴風の中では聞こえるはずもなく、何を言ったのだろうか…
『え!?』
大声で問いかけてみるが反応無し…
すると、エンシェの飛行スピードが落ち始め徐々に地面に近づいていく。
そして、結界の中に入ったのか不思議な感覚を体に覚える。
『あ、着いたのね…』
「さっきそう言ったぞ?」
『いやいや、全然聞こえないし』
まぁどうでもいいけどね…着いちゃったんだし。
「おかえり柊真、エンシェ、柊真の家族の方々。」
自己紹介ってしてなかったっけ?なんで俺だけ覚えられてんの?
『これからダンジョンに行くわけなんで名前くらい覚えてやってください。』
「一様全員覚えてるぞ?」
あ、そうなんですね…じゃあ大丈夫だな。
『あ、先にこれを…』
麻袋の中に入れて置いたステータスの結果を渡しておく。
「ふむ…こんなにも恵まれたステータスなのか…かなり驚く結果だな…」
『俺達はもう準備万端だからいつでも行けるぞ』
「よし、じゃあ行こう。ステータスの説明とか質問とか道中で話そうか」
『わかった。』
俺とガルントさんだけで勝手に話進めてたけどいいのかな?
〔さっきの話聞こえてた?〕
〔聞こえてたぞ。もう出発するのか…早いな〕
父さんは少し心配なのかそう答えた。
〔まぁ、みんなでレベル上げてどんどん強くなろう。特に目標はないけど…〕
〔〔〔さんせー!〕〕〕
〔頑張ってください。〕
〔頑張れぇ〜〕
エラムとパーラの応援も入り、ダンジョンに向けて出発する。
エンシェの背中に乗って…
ここまで読んでいただきありがとうございました。
また次回で…




