第19話『エンシェントドラゴン』
こんにちは川中春夏です。
今回は、漆黒の龍をメインの一説を書きました。
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漆黒の龍は平原のほぼ真ん中の場所で丸くなり、寝ていた。
漆黒の龍の体の近くには黒い霏が充満しており、異様な空間が作られているようだった。
そこに、5人組のパーティーが近寄る…
「静かに。姿勢を低く。」
と、小声で命令をしたのは、パーティー最後列の男だった。
見た目はかなり痩せており、いかにも戦闘できるような体格ではなかった。
すると、黒い霧が5人組のパーティーを包み込む…
「ねぇ、この霧…すごく嫌な予感がする…」
と、魔法使いであろう女性が不安を口にする。
「ただの闇魔法だろ?どうせ目隠しのつもりだろうが、こっちは『暗視』のスキル持ちがいるから、闇魔法の目隠しなんざへでもねぇぜ。何か問題があった時にはすぐに知らせてくれるだろうしな。」
と、鎧を着た男が反論する。
右手には大きな剣を持っており、左手には大きな盾を持っている…剣士なのだろう…
「皆、できるだけかたまって行動しよう…」
と、このパーティーの中のリーダーらしき青年が指示を出す。
この青年こそ『暗視』の持ち主である。
「どうだ、なにか見えるか?」
「おかしい…何も見えない…」
「なんだって!?本当か?」
「あぁ、本当に全く見えない…」
「……?」
龍は、自分の身に近ずいてくる何者かの気配で目を覚ました。
ズズズッ
「!?」
リーダーは驚きつつも的確にメンバーに指示を出した。
「ガラード(鎧を着た男)は左に、オルロ(最後列の男)は右に行き、何かあったら合図を送れ、バイラ(魔法使いの女性)はこのまま後退して合図があったら魔法をうて、プリレット(小人族であり、ウェルガーの友)は俺の肩に立ってほかの人からの合図や物音を聞いて教えてくれ。」
「「「「了解」」」」
と、皆それぞれ指示された場所に移動する。
「……」
全ての指示が聞こえていた龍は、直ぐにそこから立ち去ろうとする…が、しかし、空を飛ぶことは出来ず、地を歩けば地が揺れるため、自分の居場所がわかる。
今は、向こうも何がいるかの把握はできていないようなので、ジリジリと距離を詰められて見つかり、攻撃される。
ならば、攻撃される前に話し合いで解決しようと考えた龍は、「…スマヌ…ソコのもノ……ワタシは危害ヲくわえるつもりはない…」
漆黒の龍の固有スキル『即習得』が発動し、人間語を直ぐに習得することが出来た…
『即習得』とは、その名前のまま即、ほぼどんなものでも習得することが出来る固有スキルだ。
「誰かは知らないが、その言葉をどう信用したらいいんだ?」
「確かに、ソナタの言い分は正しい…ならば、どうすれば信用してくれるのか、教えて欲しい。」
「そうだな…なら、俺にだけでも姿を見せてくれないか?この黒い霧のせいで姿が見えないんだ…」
と、リーダーであるウェルガーが提案すると同時に、仲間に厳重注意の指示を足踏みで出した。
これは、長年一緒にいた仲間だからこそできる事である。
「…分かった、では我の姿を見ても驚かないでくれ。」
龍は、ウェルガーの前に姿を現した…
「エンシェントドラゴンだと!?」
ウェルガーはすかさず、仲間に緊急招集をかけた。
「ふむ、我を知っているのか…」
「し、し、し、しかし、なぜこのような場所に貴方様のような幻獣魔種が居られるのですか!?」
「うむ、我にもわからん…気がついた時には森を歩いていた…そのまま進んでここにたどり着いた訳だが…」
「どうした!!ウェルg…」
「どうしたの!!ウェルガ…」
バタリッとオルロは倒れた。
「ふむ、仲間の者達か…ん?なぜその男は倒れておるのだ?」と、オスロを見て問う。
「貴方様を見たからでしょう…」
「あぁ、なるほど、すまない。」
「しかし、エンシェントドラゴンは確か、白い鱗だったはずだが…」
と、プリレットは言う…
「確か、図書館の本で見たエンシェントドラゴンは白い鱗だったはずだ。」
と、ガラードは言う。
「む、そうなのか…我は我にもわからぬ…なぜここにいるのか、なぜ我は黒いのか、なぜ我は……」
と、言い終わる前に異変はおきた。
突如、上空から数もの矢が降ってきたのだった。
さらに、全方向から雷、土、風、炎の魔法が飛んでくる…
上から雷、下から土、横からは風と炎…
逃げ場はなく、確実に当たる。と、確信していたが、体には何も感じなかった…
全て、エンシェントドラゴンが受けたのだった…
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成海家一家は、東の平原の真ん中に向かって歩いていた。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
成海家の活躍はまた次回でお話します。
また次回で…




