家を出たら異世界でした。
はじめましてm(*_ _)m川中春 夏秋と申します。
初めての投稿なので、不明な点が多々あると思いますが、楽しんでもらえれば幸いです。
初投稿ながら、6話分一気に投稿なので、時間がある時に読んでいただくことをおすすめします。
第1話『日常から非日常へ』
ある日、俺たち、「成海家」は異世界に転生してしまった。なぜ転生したのかなんの為に転生したのか又、転生させられたのか、全くわからなかった。気がついた時には、『そこに居た』と思わせるほど、自然に俺たち、「成海家」は転生していた。
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『お兄ちゃん……お兄ちゃん…お兄ちゃん!!!起きてよ!お兄ちゃん!』
声が頭の中で木霊してだんだんと大きくなってくる。いつもの朝だ。
眠たくて重い体を無理矢理に起こし、隣にいる妹、『舞奈』を見て、いつものように「眠い…」と言って、もう一度ベッドに身を隠す。が、まぁ、案の定舞奈に叩き起された……痛い…
と、毎朝こんなことを必ず一回はしている。アホだな…
『ほら!早く起きて、朝ごはん食べなさい!!』
『う〜〜ん…もうちょっと…』
バシッ!!
はい、いつものビンタですな〜 痛い
でも寝たい。色々考え葛藤すること20秒。
流石にそろそろ起きなければ、さらにやばいものが舞奈から来そうなのでゆっくりと体を起こしてベッドから出る。
『はぁ〜朝から疲れた〜』
と舞奈がボヤいているが、毎朝しているのでもう慣れてるはずだ。 …多分
二階にある寝室を出て、寝起きのせいか、無駄に長く感じる廊下を歩いて行き、階段を降りようとして、足が絡まり、そのまま階段を大きな音を立てながら転がり落ちていく。
『痛って〜』
かなり涙目で頭と腰をさする。それを見ていた舞奈は大爆笑していた。 「少しは気を使ってくれてもいいんじゃないかな〜」と思いながらも、ダイニングに行き、椅子に座る。
毎朝必ず4人で朝食をとることはあまりないが、今回はたまたま4人揃って食事である。
『『『『いただきます。』』』』
4人で手を合わせ、食べ始める。
うん、美味しい。今回の料理は父が作ってくれた。
『最近学校はどうだ?柊真、舞奈』と父が、だし巻き玉子を頬張りながら聞いてきた。
『まぁまぁかな。勉強もついてけてるし、部活も楽しいし、でも強いて言うなら、クラスがうるさすぎなくらいかな…』と苦笑いしながら答える。
『う〜ん。私は、楽しいと思うよ。勉強にもついていけてるし、クラスの女子とも楽しく話せてるから。』と舞奈は答えた。
「今日の降水確率は100%です。皆さん傘を持っていきましょう。」と父と話していると、テレビからそんな声がした。
『3人とも、傘忘れるなよ。特に母さん、いつも焦って家を出るから…』
「「また始まった」」
父は心配性なのか、雨が降ると聞いたら必ず注意してくる。(まぁそのお陰で傘忘れることなんてないんだけどね。)と、思いながら父の注意報を流し聞きながら、食事を済ませる。
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父『冬馬』は36歲の普通のサラリーマンであり、毎日決まった時間に出勤し帰宅する。家族の食費などを払っているのは父なのでいつも感謝している。土日は休みのことが多くたまに一緒にランニングなどをしているが大抵俺が父を置いていくことが多い。
母『瑞奈』は36歲であり、父と同い年である。母は科学者でたまにしか家に帰ってくることがない。いつも研究熱心でよく賞を取っていて、家のタンスの上などには所狭しと賞状やらが並べられている。しかし、数が多すぎて並べられない時は倉庫にしまっている。母は最初反論してくるが、大体諦めて倉庫にしまわせてくれる。
俺『柊真』は15歲で、普通の高校生であり、成績は中の上くらいであまりクラスでも目立たない存在である。
熱心にしていることや、得意なことがないのは家族の中で俺1人である。「ちなみに父の特技は、サラリーマンだからなのかはわからないが、商売ごとには凄く長けている。」
妹『舞奈』は15歳であり、俺と同じ高校生でもある。双子の兄弟で、(でも、兄が男で妹が女なら兄妹?気にしないでおこう…)高校も同じ所に通っている。母がいない時は家事全般をやってくれている。
舞奈は、家事の中で料理だけはやばい。
何がやばいかと言うと、料理の種類によって美味いと不味いの差が凄いからだ。美味しい時は、涙が枯れるまで出てしまうほど美味しいが、不味い時は死を覚悟するほど刺激的なのだ。
舞奈は料理以外の家事ならば、日本一と言っていいほどの完璧に終わらせる。掃除機では、1つのゴミも残さず、洗い物では、汚れを見つけようと探してみても見つからないほど完璧にこなすのである。 …妹様様だぜ
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4人での食事を終わらせると、舞奈が皿洗い、父と俺は、洗濯物担当だ。母は、特に何もせずソファーでくつろいでいる。
…と、4人とも家を出る時間になり、個々で準備を始め、終わった者は玄関で他の人の準備が終わるのを待つ。何故かと言うと、今日は皆同じ時間に家を出ることになっためである。
「たまにはいいじゃない〜」と、母に進められたため、こうなってしまったのである。
妹の支度が終わったのかドタドタと2回の廊下を走る音が聞こえた。階段をかけをりて、最後の一段で滑ってコケて『痛っい〜』と、涙目で言っているのを見て、俺は大爆笑、父と母は「プッ」と吹いていた。
『もう!!笑わないでよ!』と、頬を膨らませ、怒った顔をしながら、乱れた服装を直して玄関に走ってきた。
『『『『行ってきます。』』』』
と、4人で言ってドアを開けると、目の前には草原が広がっていた。
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第2話『情報収集』
……………は!?
待て待て待て、俺らが住んでいた場所は、都会だったぞ!?
草原なんてものがあるはずもない、バリバリの都会だった。がしかし、目の前に広がっているのは、草原である。
そよ風が肌にあたり、澄みきった青い空、草を踏む感触、全て本物である。
初めは、何かの間違いかな?と思い目を擦ったり、腕をつねったりしてみても、本物で間違いなかった。
『ねぇ、ここ、どこかしら?』
と母は、一言。
「こっちが聞きたいわ!!」と心の中で突っ込んでみたが、たしかにここはどこだろう。まず、日本にはこんなに広い草原なんてものはなく、海外にある有名な草原に似ている。さらに、空にはトカゲに羽をつけたような動物も飛んでいる。
………え…なぁにあれぇ〜
家族全員、口を開けたまま唖然としていた。
よくわからない動物はこちらに向かってくることなく、どんどん離れていくことを確認し、『とりあえず状況整理だけしようか。』と父の提案に賛同し「成海家」の家族会議が始まった。
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『大体、状況は把握出来たが、この先どうしよう。』と、大分日が傾いてからやっと家族会議が終わり、状況把握はできたが、その先のことについてはノープランであった。
なにしろ、都会に住んでいたはずなのに、玄関を出たら草原に繋がってるし、謎の生物が空を飛んでいたし、「家は?」と舞奈が言ったので、恐る恐る後ろを振り返ってみると、家はあった。家は。綺麗ではない。もう50年ぐらいは放棄されているような姿である。
ちなみに新築だったため、父はだいぶんショックを受けていた。
多分、築4ヶ月と言ったところか、15年貯金して建ててもらったものを4ヶ月でダメにしてしまったのだ。ショックを受けないわけがない。
『明日考えないか?』と俺が提案すると、3人ともコクリと頷いた。
問題は、どこで休もうかということ。
家は入れないことはないが、かなりホコリっぽそうであったため、躊躇していたが、どこかもわからない場所で見たことない動物がいたのもあり、家の中で寝ることになった。
皆川の字になって寝ているので少し面白い光景だった。(4人だから川ではないな…)
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次の日、俺と舞奈は周りに建物や人がいないか探しに行くことになり、父と母は落ち葉や薪を集めに近くの林に行くことになった。
『見たことない動物がいるかもしれないから、慎重にな』と言っておいたものの、今の俺たちじゃ会ったら死ぬ可能性が高いから、家でじっとしておくのがいいかもしれないが、昨晩の寒さはすごかったため、今日はどうにか温まって寝たい。
俺と舞奈は家の裏手の探索、父と母は家の近くにある林に行くことが決定した。
『なぁ、ここってさ、漫画とかでよくある〔異世界〕ってやつじゃねーのかな?』
しばらく歩いてから俺は切り出した。
『う〜ん。確かに見たことない動物とか、玄関を出たらいきなり草原だったし、まぁここまで不思議なことが起こるとその可能性はあるかな〜』
と、舞奈は言うが、〔異世界〕である確証がないため、なんとも言えない。
それからすぐの事、街が見えた。
街の真ん中に城があり、その周りを囲うように家が建っていた。
家の周りには壁が家と城を守るように建っていて、入口らしきところに人が並んでいるのが見えた。
『なぁ、あれって城だよな?』
と妹に聞いてみる。
『うん。多分あってると思う。』
城といったら、日本にあるような城ではなく、海外にあるような城である。
もう、俺たちは認めるしかなくなったわけだ。
ここが〔異世界〕であることを。
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第3話『魔物』
『瑞奈(母)、ここってあの〔異世界〕ってやつなのか?』
と、冬馬(父)は聞いていた。
『えぇ。その〔異世界〕で合っていると思うわ。まず、私は植物専門の科学者だから言えることだけれども、ここにある木は日本には無いものだし、海外にはあるかもしれないけれど、この葉っぱの形と質感からいって、うちらの居た〔世界〕にはないわ。』
と、木を触りながら答える瑞奈に『やっぱりそうか…』と冬馬は暗い顔をしながら答える。
ガサガサ
『『!?』』
2人は、即座に防御兼逃走の構えをした。
息を殺して、できるだけ足音がたたないようにゆっくりと、音のした茂みから離れる。
ガサガサガサガサ
一体なんなんだ。と冬馬は思いながら、さらに音のした茂みから離れる。
ポヨン
茂みから出てきたのは、水色の透明なジェル状の動物だった。頭の上には、天使のような輪っかがついており、ジェル状の中にクリスタルのようなものが浮いており、きょとん、としている。見たところこちらに危害を加えてきそうな動物ではなかった。
『何かしら、この動物は…』
『これがスライムってやたつか?』
『あなた、よく知ってるわね』
『まぁ、息子達に無理やり読ませられた本にそんなのがいたなと』
『はぁ〜、これでここが〔異世界〕であることが確定したわね。』
『確かにな…』
冬馬は苦笑いしながら答えた。
スライムと言ったら、異世界で初めに倒す魔物である。
大体はこちらから攻撃しない限り、向こうから攻撃しない魔物である。
冬馬と瑞奈の会話を聞いていたスライムは、ススッとこちらに近ずいてきた。
『近ずいてきたわ!逃げましょうよ!』
『攻撃はなんにもしてないはずなのに…』
『それは空想上の物語だから、必ずしもそうしなければ攻撃されないとは限らないじゃない!』
『すまん。確かにそうだな、未だに目の前のものが信じられなくてさ。あはは…』
と、話しながらスライムから逃げるが、なかなか撒くことが出来ない。
『早いな…追いつかれそうだ…』
と冬馬は息を切らしながら呟いていた。
足のスピードだけで言ったら十分に柊真に追いつけるスピードであるが、スタミナが無いのか、一定時間走ったら止まり、また一定時間たったら走って?くる。
そのお陰ではあるが、追いつかれないで済むが、こちら側の体力も限界が近い、特に母さんの方はかなり疲れているようだった。
『とりあえず木の陰に隠れよう。』
『えぇ…』
とちょっと行ったところに大きめの木が見えたので、隠れてやり過ごすことにした。
ポヨンポヨン
ゴクリと固唾を飲んで息を殺し、心臓の音がやけにうるさく聞こえる。
なぜこんなに緊張しているのかと言うと、目的としていた木まであと少しの所で、後ろから水鉄砲のようなものが飛んできたのだ。
しかし普通の水鉄砲ならまだしも、木の幹を貫通したあと、岩を砕いたのだ。
それを俺たちに撃ってきたかはわからなかったが、単に外れただけなのかもしれない。
そんなものをまいかで見せられれば、さすがに恐怖を覚えるものだ。
しかしその後は、幸いな事に水鉄砲を撃ってくることが無く、少し距離を開けたまま、木の後ろに隠れることが出来た。
『はぁ…はぁ…はぁ…』
この時ばかりは、柊真とランニングをしていてよかったと思った。
いつも柊真に置いていかれるため、追いつこうと必死になって走ったのでそれなりの体力がついていたようだった。
スライムはポヨンポヨンと俺たちを見つけるようにぐるぐるとまわっている。
次の瞬間、スライムから触手のようなものがうね〜っとパッと見50本程の数がが出てきた。
『『!?』』
また新しい技か、と思いながら見つからないように祈っていたのだが、現実はそこまで甘くなく、触手は木の後ろにいる俺たちの背中に当たってしまい気付かれてしまった。
もうダメかもな…と死を覚悟し、体の力を抜き脱力して「痛いのやだな〜」と思いながら、死を待った。
が、またしても驚かされることに、水鉄砲のような攻撃が来ることもなく、スライムはただただ俺たちの隣にちょこんと居た。
『なんで攻撃してこないんだ?』
『わからいわ。油断させているだけかもしれないし…』
と瑞奈は言うが、確かに警戒を一瞬でも怠ってしまったのは事実であり、そんな事はこの世界であれば命取りになりかねない。
目の前スライムはなにかしてくる様子もなく、ただちょこんとそこに居て俺たちを見ている。
にらめっこを2分はしていただろう。長いと思うなよ。これが普通である。だって目の前にスライムいるし、さっき水鉄砲飛ばして木の幹に穴開けて岩を砕いたんだし、それなりの警戒が必要である。
『…何もしてこないわね…』
『だな…』
ここでようやく緊張が解けた。
『はぁ〜殺されると思ったんだがな〜結局こいつはなのがしたいんだろうな…』
『う〜ん。危害を加えてくるつもりは無いらしいけど、さっきの水鉄砲攻撃はなんだったのかしら。』
『まぁ、あれが俺たちに当たっていたら確実に死んでいたが、そんなことをしなさそうなんだから、まぁ大丈夫だろう。』
『それにしても疲れたわね。久しぶりにこんなに疲れたわ。』
『はぁ〜水が欲しいな…』
その言葉を聞いたスライムが、突然林の奥に行ってしまった。
『どこいったんだろう?』
『さぁね。まぁいいでしょう。危なそうな動物が消えたのだから、少し休憩してから家にもどりしょう。』
『だな』と一言いって、木の幹に体重をかける。
ふぅっと一息ついてから、耳を澄ましてみると、風に揺られて木の葉と木の葉が擦れるせせらぎの音を聞きながら、瑞奈に話しかける。
『こうやって見るとここはいいとこなんだけどな〜』
『確かにそうね。風も気持ちいし、植物いっぱいあっていいとこよね。』
『向こうには花畑、ここは林、家の近くは草原。最高だな』
『本当に』
と話している。
ここら辺には、花畑と林、それに草原もある。
素晴らしいとしか言い様がない。
さらに言えば、今日は昨日と同じで青空である。心地よい風も吹いていて、ここは天国のような場所であった。
しばらくすると、スライムが帰ってきた。
始めはかなり驚いた。
さっきのスライムかわからないため、違うスライムの可能性だって否定できないからだ。
しかし、帰ってきたスライムは1本の触手を伸ばし、水を垂らしてきた。
『飲めってことか? あっ』
『どうしたの?あなた』
『さっき水が欲しいなって言ってるの聞いて取ってきてくれたのか?』
とスライムに聞いてみるとポヨンポヨンと跳ねた。
『でも、この水って飲めるのかしら?』
確かにそれは気になる。
魔物であるスライムが取ってきた水なのだから、毒を入れられていてもわからないし、まず、魔物が取ってきたものなど安易に信用出来るわけがない。
瑞奈の言っていることは正しいが、安全かどうかなど、どうやって調べればいいのかわからないし…
と考えていても何も始まらないので、冬馬はとりあえず一口飲んで見ることにした。
ゴクリ うんめぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーー!!!!
『なんだこれ!?めちゃめちゃうまい!日本に居る時に飲んだ水とは比べ物にならないくらいにうまい!』
〔異世界〕での水は初めてのんだが、まず、口に入った瞬間にほんのり甘いのだ、日本の水の中には殺菌用の薬が入っているため純粋な水では無い。
そのため〔異世界〕で飲んだ水は純粋な湧き水であるはず、口に入った瞬間にほんのり甘く、のどごしがこれまた最高!!
たかが水だろ?と思うかもしれないが、飲んでみたらわかる。とんでもなくうまい!!
『はぁ〜うんめぇ〜』
まるでビールや酒を飲んだ時の声が出てしまったが、飲んでいるのは水である。
『そんなに美味しいの?』
『あぁ!!もうたまらんほどうまい!』
さすがに俺が先に飲んで体に異常はないため、毒性はないはずである。
ゴクリと瑞奈も1口
『わぁ!!なんておいしい水なの!ほんとに美味しいわね!』
とスライムが取ってきた水をたらふく飲んだ後、スライムにお礼をした。
『ほんとにおいしい水をありがとう。』
するとスライムはぴょんぴょんと跳ねて喜んでいるように見えた。
『さて、めちゃめちゃ美味しい水を俺たちだけで独り占めもだめだからな、あいつらにも飲んでほしいが、頼めるか?』
とスライムに話しかけると、また林の奥に行ってしまった。
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第4話『近況報告』
『なぁ最初に聞いていいよな?』
『このスライムのこと?』
と柊真が問うと、母(瑞奈)が答えた。
『このスライムはね…』
略
『そんなん事があったのか、やっぱりここは異世界なのか…』
『やっぱりって事は柊真の方でも確証を得られるような事があったの?』
『うん、まぁ魔物には会わなかったが、城下町がこの先にある。』
と、家の後ろ側を指さして言った。
『城下町か…どんな所だった?』
と父(冬馬)が聞いてきたため、見たまんまを話した。
『そんなところがあるのか、明日にでも行ってみないか?』
と父(冬馬)が聞いてきた。
3人ともうーん。と悩んでいたが、ぎゅるるるると柊真の腹が鳴ったため、〔異世界〕に来てから、水のみしか口にしていないことを思い出したので、明日は城下町に行ってみることが決まった。
『あとさ、そのスライムに名前付けない?』
と、舞奈が聞いた。
『そうだな、見た目めっちゃ可愛いし、天使の輪っかみたいなのがチャームポイントかな〜』
と、父が言っている。 相当気に入ったんだな、そのスライム。
『そうね〜じゃあ〔ポヨチャン〕ってのはどう?』
と、母が言うが、『『『それはない』』』
と3人とも否定。却下になった。
母のネーミングセンスはどうかしている。なんでそんな単調な名前が付けれるのか気になる。『俺らの名前って誰が決めたの?』と聞くと『お父さんだよ。』と返ってきた。 父さん流石だわ。
『じゃあ、〔エラム〕ってのは?』
と舞奈が提案してきた。
『〔スライム〕と〔エンジェル〕からとって〔エラム〕どう?』
うん。まぁいい名前だと思うと3人ともOKだった。
するとエラムがぴょんぴょん飛び跳ね、4人に触手を近ずけおでこの部分を触った。
すると、地面に幾何学的な魔法陣が出現し、4人の真ん中にエラムがいる状態になり、エラムから謎の光が体に入ってくる。
しばらくすると、魔法陣が消えて、静寂な夜が訪れた。
〔皆さん、聞こえますか?〕
突然頭の中に直接響いてくる声に4人とも驚いていたが、恐らく念話だろう。
〔私は、先程〔エラム〕と名ずけられた、フェアリースライムです。〕
へーフェアリースライムって言うのか…って、エンジェルスライムとかじゃないんだ…見た目がそんなんだから、〔エラム〕って名ずけてしまったんだが…
〔大丈夫ですよ。エンジェルスライムとは、とても似ていて、調査スキル又は鑑定スキルをもっていなければ、見た目だけでは区別できません。〕
やっぱ、この世界にもスキルってあるんだ。
〔ちょっと失礼しますね。〕
と頭の中に響いてきたのは、父の声だった。
〔色々聞きたいことがあるんだがいいか?〕
もしかして、4人とも念話で話せるんじゃね?
と思い俺も念話をしてみる。
〔あーあー聞こえるか?〕
〔えぇ聞こえます。〕
〔聞こえるよ。〕
〔聞こえるな〕
〔聞こえるわ〕
全員聞こえるようで…
〔それで聞きたいことなんだが…〕
まず父が聞いたのは、初めてあった時になぜ水鉄砲のようなものをこちらに撃ってきたのか?と言う質問だった。
〔その節は大変申し訳ございませんでした。私は、あなたがたがこちらの方であると思ったのですが、私から逃れられる人間の方は初めてで触手を伸ばして拘束しようとしましたが、誤って水弾を撃ってしまったのです。〕
拘束って…見かけによらず恐ろしいことを考えるな…
〔…つまり、俺たちの正体はわかったのか?〕
俺は、こちらと聞いて、思ったのが、エラムは俺達が違う世界から来たのをわかっているのではないか?と思ったため、そんな質問をした。
〔いいえ。残念ではありますが、まだ、正体まではわかっておりません。〕
まだわからないと。
〔次の質問に行ってもいいか?〕
と父の声が聞こえた。まだ聞きたいことはあるが
、大体は父と同じ質問だろうからその後追求することにした。
〔なぜ、拘束しようとしたのに、水を取ってきたり、ここまでついてきたんだ?〕
〔…拘束しようとしたのは、あなた方の正体を知るためです。
ですが、触手をあなた方に触れさせた時に、あなたがたの体の中にある邪力、魔力、聖力、神力を感じ取ったためです。〕
あーやばい。どんどん知らない言葉が増えてく…
エラムは1晩中質問攻めされるんだろうなー
☆★☆★☆★☆
第5話、『エラムから教えてもらったこと。』
案の定、一晩中質問攻めを受けていたエラムはさすがにぐったりとしている。
主な質問として
邪力、魔力、聖力、神力とはなにか。
あの魔法陣はなんだったのか。
取ってきた水はなんだったのか。
この世界はなんなのか。
フェアリースライムとは。
この近くには何があるのか。
等である。
最初に、邪力、魔力、聖力、神力とは何かについてだが、まず、邪力とは、そのままの意味で邪な力である。魔法で例えるならば、相手を操ったりする時に、使われる魔力の1種だ。
だが本来ならば、魔力の1種であるため、別々に感じ取れるものでは無いらしい。
魔力が10だとしたら、邪力は1にも満たない割合なのだそうだ。
まぁ邪力が多すぎると、人を簡単に操れてしまうらしいからそれが妥当なのだろう。
そのため、この邪力はなにか特別なものらしいが、今のところはここまでしかわかっていない。
次に魔力だが、さっきも説明した通り、魔法を使う時に必要な言わばエネルギーである。
魔力は比較的大体の人は持っているらしいが、魔力量には、貴族や王族等の高貴な方達は桁違いに多いらしい。
しかし、父と母の魔力量は貴族や王族のものとはまた違い、庶民が持っている魔力とも違うらしい。
らしいが多いが、まだはっきりとわかっていないのは、レベルのせいだ、とエラムは言っている。
レベルあげたらもうちょっとわかるのかな?
で、次が聖力だが、これは魔力とは反対の性質をもっており、魔力を消費するものは、破壊等の悪影響のあるものが魔力であるが、(そうでないものもあるらしい)聖力は反対に生産等の好影響なものだそうだ。陰と陽の関係である。
そして、1番問題になったのが神力である。
これに関してはエラムも困っていたそうだ。
人の存在は陰と陽で出来ていると言い伝えられており、実際に魔力と聖力の両方を持って産まれてくるのは少なくない。(極々稀にまれににどちらか一方だけを所持したまま産まれてくるのもあるそうだ。)が、家族全員に第3の主力(一般的に魔力と聖力が主力だそうだ。)があるそうだ。(ちなみに邪力と魔力も俺らにもあった。)
本来ならば、そんな事は起こりえないはずなのに、人の身でありながら、第3の神力を持つものはいないそうだ。
神力の使い道としては、魔力と聖力の代わりになること、もちろん神力としても使えるそうだ。
他にも、身体強化、武器を鍛錬する時や錬金術、製薬術、等ほぼ全ての代わりにも出来るそうだ。
ちなみに、魔力や聖力でも身体強化等はできるそうだが、神力で強化した場合の100分の1にも満たないらしい。さらに、魔力と聖力での強化は貴族や王族は1時間が限界であり、回復するのには、寝る又は食事をする等の休憩が必要になる。それに比べ、神力の強化では1年はぶっ通しでできるそうだ。 あはは…やばいな…
さらに魔力と聖力とは違い、休憩なしで歩いたりしておけば回復してるのだそうだ。
うん。ここまでくるとチートだな。
次に魔法陣はなんだったのか。
あれは従魔契約の時だけに出る特殊な魔法陣だそうだ。
だが、魔法陣出現させるのと、従魔にするには、相当な魔力が必要だったらしいが、多分神力で補ったのだろう。
次に取ってきた水はなんだったか。
これって絶対しなきゃいけない質問だったのだろうか?
まぁ、エラムが言うには湧き水だそうだ。
他にも天空の土地で取れる水や逆に地底で取れる水もあり、それぞれ違う味だそうだ。
それを聞いた家族全員は『絶対に飲みたい』と間違えて念話で話してしまい、エラムが〔面白い方達ですね。〕とわらっていた。
はぁ〜馬鹿な家族だなぁ(俺も含めて)
で次の質問はひとつ飛ばしてフェアリースライムとはなんなのか。だが
フェアリースライムとは、天空のある草原にしか生息していない特殊スライムであり、なかなかお目にかかることがないスライムである。
エラムは、その中でも特殊なスライムであり、従魔契約を結べる魔物は、ドラゴンや、海魔等の永命魔獣がほとんどらしいが、エラムは特殊でたまたま俺たちと従魔契約ができたらしい。
次に、この辺りには何があるのか。だが、俺と舞奈で見つけた、城下町や、近辺にも村がいくつかあるそうだ、さらにダンジョンも何個かあって未探索のダンジョンも多々あるそうだ。
異世界って言ったらダンジョン探索もしたいな…
やばい。異世界なんか楽しい…
ゴホン。はい次行こう
この世界についてだが、この世界は大まかに分けて四つの大陸からなっているらしく、そのうちの一つであるクーガ大陸がここで、その隣がテオレナ大陸、パンレル大陸、ユガーダ大陸で四角形の角の位置に4つの大陸がなっていてその真ん中にあるのが、デスガラドと言う島らしいがその島については全くと言っていいほど情報がなく、なぜなら、その島を捜索しようとして行ったものは、帰って来ないためである。今までに3回ほどその島についての捜索が行われようとして、300人体制でその島に向かったそうだが誰一人として帰ってきたものはおらず、皆は〔死の大陸〕や〔異世界の入口〕や〔魔界〕とまで呼ばれるほど恐れられている島である。
この世界には海があり海底都市も存在していて、
他にも、地底都市や天空都市、が存在するらしいが、はっきりと見たものはかなり少なく、情報が不確かなためあまり信じられてはいないが、それについての宗教はあるそうだ。
主な質問の回答としてはこんな感じだった。
これでもかなりまとめた方である。実際は約7時間は質疑応答を繰り返していた。
はぁ〜疲れた〜寝たい〜
☆★☆★☆★☆
第6話『いざ、城下町へ』
明け方、さすがに疲れたのでちょっとだけ寝る事にした4人だった。
その間、エラムは林の方にいってせっせと薪やら落ち葉やら水も取ってきてくれていたらしい。
非常にありがたい。
起きてみると、薪や落ち葉、枯れ木などが家と同じ高さまで積み上げられていて、かなり驚いた。
水も取ってきたってエラムが言ってるから、どこにあるか聞いてみると、体の中にあるらしい。
普通のスライムは水に触れるとそれが体の一部になってしまうが、エラムは吸収して保管することが可能らしい。 エラム凄いな。
さらにエラムが果実を取ってきてくれて、見た目はどことなくリンゴに近くとても美味しそうだったが、やっぱり〔異世界〕の食べ物だけあってなかなか食べようとはしなかったが、いざ食べてみると、葡萄のような味が口いっぱいにひろがってとても美味しかった。 〔異世界〕の食べ物って美味いもんしかないんじゃね?
と思い始めた柊真です。
なんやかんやあって城下町に向けて出発した。
☆★☆★☆★☆
「はい、次!!」
まぁ、予想はしてたけどやっぱり持ち物検査やらなんやらはするんだな〜と思いながらエラムを見た。
〔なぁエラム、従魔になったってことはおおっぴらにした方がいいのかな?〕
〔多分大丈夫でしょう。〕
「ん?そいつは従魔か?」
と鉄の鎧を着ている兵士が聞いてきた。
『はい、そうです。』
家族を代表して俺(柊真)がする事になった。
「じゃあ、従魔許可証明書と従魔他国入国許可願書をだせ。」
長ったるい名前だな〜と思いながら、そんなものはあるわけもなく、少し考えてから…
『2つともないのですが、どうしたらいいでしょか?』
「2つともないだと?ほんとに従魔か?」
『はい従魔です。』
やっぱり疑われるよな〜
「ん?待て待てその従魔まさか、エンジェルスライムか?」
はぁ〜この人鑑定系のスキル持ってないな…
『いいえ、エンジェルスライムではなく、フェアリースライムです。』
「!?………ちょっと待ってろ。」
といって、何やら長の人らしき人と話している。
しばらくして
「よし。通っていいぞ。」
と言われて、思わずなぜ大丈夫なんですか?
と聞いてしまった。
「それはな、まず、フェアリースライムは天空の1部のダンジョンに生息していて従魔にするためには、それなりの冒険者又は従魔使いであることが必要不可欠であり、更には心を読む能力があるそうだ。そのため、悪い考えを持ったものとは決して従魔契約をしないとされているため、お前らは安全な人間であると言う証明になるからだ。」
なるほど、てか心読む能力なんてあるのか…初めて知ったわ。
でも結構フェアリースライムって信用されてるのか、これが亜種とかじゃないってわかるのかな?
てかそもそも亜種の魔物っているのかな?
まぁこの辺は街で情報収集すればいいか。
『ありがとうございます。』
お礼を言って門を過ぎるとそこにはにぎやかな街の風景が目に飛び込んできた。
☆★☆★☆★☆
『さて、まずどこいこうか?』
と父は言うが、確かにここに来た理由は様々であるため、ここは2手に別れた方がいいのでは?と父に提案してみる。
『うーん。じゃあ夕暮れ時にはここに集合で、それまでこの街の散策及びこの世界についての情報収集開始〜』
と何故かハイテンションな父をよそに俺と舞奈でまずはギルドに行ってみることにした。
父と母は図書館らしきところで情報収集しある程度集まったら、街を散策するそうだ。
☆★☆★☆★☆
初投稿作品はどうだったでしょうか?
くだらん。と思われる方もおられると思います。
ぱっと思いついたものをパパっと書いたものなので、許してくださいぃぃー。
コメント等、お待ちしております。
ではまた次の話で...