メイド服が似合わない(イラストあり)
◯今回、室内に居る女性キャラ
・侯爵家の長女であるフィコマシー
・侯爵家の次女であるオリネロッテ
・フィコマシーのメイドであるシエナ
・オリネロッテのメイドであるヨツヤ
・オリネロッテの護衛騎士であるリアノン
・オリネロッテの側近の魔法使いであるアズキ
・冒険者パーティー《暁の一天》のメンバーであるドリス
・冒険者パーティー《暁の一天》のメンバーであるキアラ
◯男性キャラは省略(爆)
★ページ下に、登場キャラのイメージイラストがあります。
オリネロッテ様は、彼女の姉であるフィコマシー様と挨拶を交わしたあとに、静かに視線を僕のほうへ向けた。その瞳のエメラルドを連想させる煌めきが、異様なまでに無機質に感じられて……彼女の口もとは微笑を浮かべているにもかかわらず、僕は背筋に寒気を覚える。
背中はケガによる痛みで常に熱を発しているはずなのだが、そんなものは一瞬で打ち消されてしまった。
緑の瞳の侯爵令嬢が、ゆっくりと口を開く。
「サブローさんが無事に帰還してくださり、嬉しいです。……行かれた先で、見事に魔族を打ち倒されたそうですね。おめでとうございます」
……おめでとうございます? 魔族ターナダクとの戦闘に勝利した件については、いろんな人から称賛してもらった。しかし『おめでとうございます』という言葉をかけてきたのは、オリネロッテ様が初めてだ。
あれは〝めでたい〟ことだったのか? そう表現するのは、正しいのだろうか?
――『ありがとうございます』と返事するのも妙に憚られて、僕は無言で頭を下げた。
「そちらの、お二方は?」
「彼女たちは、僕が所属する冒険者パーティー《暁の一天》のメンバーで、名前はドリスとキアラです」
「ドリスです」
「私は、キアラ」
ドリスとキアラが、オリネロッテ様へ一礼する。
「ドリスさんとキアラさん……パーティー名は《暁の一天》……なるほど。〝暁〟の〝一天〟……ね」
いや。オリネロッテ様の小声が、怖いんですけど。なにが『なるほど』なんだ? まさかオリネロッテ様に限って、適当に意味深なセリフを漏らしているだけ……ということは無いはず。いったい彼女は、どこまでを見通している?
「ドリスさんとキアラさんは、サブローさんが魔族と戦い、勝利したところをご覧になったのかしら?」
オリネロッテ様からの問いかけに、まずはキアラが、続いてドリスが答える。
「私は見てない。その場に居なかった」
「あたしは、この目で見ました。サブローの奮闘ぶりは、とても素晴らしかったです。サブローは、強かった。負けなかった。屈しなかった。惑わされなかった。サブローが魔族の男と対峙する姿は、まさに〝真の聖女様を守る勇者〟そのものでした。あそこには、人であれ、物であれ、偽りの存在が入る余地は全く無かった……と、オリネロッテ様には申し上げておきます」
「キアラ! ドリス!」
僕は2人に注意せざるを得ない。侯爵令嬢であるオリネロッテ様への対応としては、キアラの言葉はぶっきらぼう過ぎる。そしてドリスの説明の仕方は表面的には丁寧であるが、その声の響きは、やけに挑戦的だ。……自省の念も少々、混じっているような気配もあるけれど。
オリネロッテ様の背後に控えているヨツヤさんが……その目は、長い前髪に隠れて見えない。しかし彼女は僕が部屋に入った時から、こちらへ敵意を向けていた。
ウェステニラへ転移して以降、僕も幾多の戦闘を経験した。おかげで、そういう相手の感情は、敏感に察知できるようになってきている。
キアラとドリス――2人とオリネロッテ様とのやり取りを見て、ヨツヤさんの僕らへの悪感情が明らかに高まっている。これは……〝敵意〟どころか、もはや〝殺意〟のレベルだ。
室内の空気が、不穏になっている。ヤバいな……。
と。
眼帯に覆われていない左目を輝かせつつ、女騎士が陽気な声を出す。
「サブロー! 魔族と戦ったんだって! しかも、勝つとは! 偉いぞ。そして、羨ましい。私も、ぜひ魔族と対決したい。どこかに私との勝負を引き受けてくれる、親切な魔族殿は居られないものか……」
「いや、リアノン。そんな魔族は存在しないと思う」
魔族は本質的に〝親切〟じゃ無いし。
僕のツッコミを受け、ちょっと考え込むリアノン。すぐに〝良いアイデアが浮かんだ!〟という顔になった。
「戦闘のお礼にミンチにして差し上げるのは、どうだろう?」
「食材としての〝ひき肉〟をプレゼントしてもらえるのならともかく、自分が戦闘の結果〝ひき肉〟にされるのを喜ぶなんて変態的な性癖は、魔族だって持ってないよ」
「残念だ」
残念なのは、キミの思考回路だよ。リアノン!
でもリアノンの能天気な発言によって、部屋の中の雰囲気が変わった。皆、リアノンに対して『こいつ、ナニ言ってんの?』といった態度になる。危険な感じが無くなり、僕の肩からも力がスッと抜けた。
よもや、リアノン。それを狙って、わざとお馬鹿な物言いを……するわけ無いか。「ミンチを喜んでくれないのなら……一刀両断が良いかな? それとも、三枚おろし? 斬ったら謝ろう――『斬り捨てゴメン』って」とか、まだ言ってるし。
まぁ、取りあえず、リアノンには感謝だ。良いタイミングを提供してくれた。乗っかる形で、オリネロッテ様に尋ねよう。
「オリネロッテ様。僕をここへお呼びになった理由を、お訊きしても宜しいでしょうか?」
「ハイ。今まで冒険者ギルドのスケネーコマピ様と、商業ギルドのマコル様……お二人と、お話をしていました。ミーアちゃんが誘拐された事件に関係する人物として、商人のカルートンが怪しいんですよね?」
「そのように、僕も聞いています」
「私は、昨日のうちにカルートンへ使いを出しました。アズキが、誘拐事件の現在の状況を知らせてくれて、すぐに」
「な! オリネロッテ様!」
オリネロッテ様の対処の早さに驚く。しかも、その方策は――
「心配なさらないで、サブローさん。私がカルートンへ伝えたのは『貴方が取り扱っている商品――宝石やアクセサリーに興味を持ったため、侯爵邸へお越しになって、お勧めの品を幾つか見せてください。お父様には、私のほうから説明しておきますので』といった内容です。私は、まだ会ったことはありませんが、お父様とカルートンは既に面識があります」
「カルートンは、ナルドットで羽振りを利かせている大商人らしいですからね」
ナルドット侯爵とは当然、知り合いだろう。
「ええ。その上で、カルートンは〝侯爵家と更に縁故を強めたい〟――そんな願望を持っているのでしょう。さっそく今日、返事が来ました。明日、カルートンは侯爵邸を訪れるそうです」
明日、カルートンがやって来るのか!
「その折に、私はカルートンと適当な会話を交わしつつ、サブローさん達のお役に立つ情報を聞き出すつもりです。この侯爵邸の中で会うのですから、危険なことは何もありません。私の考えに、サブローさんは賛成してくれますよね?」
「それは……」
〝役立つ情報を聞き出す〟――練達の商人であるカルートンを相手に、完勝を目的として、駆け引きを上手くやり遂げられる人物は、おそらくナルドットの地でオリネロッテ様のみだ。
オリネロッテ様には、それだけの能力があり、彼女自身、その事実を認識している。
けれど、オリネロッテ様が〝魅了の力〟を乱用するのは、安易に肯定できない。その力に、どうしても僕は嫌悪感を抱いてしまう。またオリネロッテ様当人にとっても、それは良くないことのように思える。
しかし一方で、正邪に関係なく、どんな方法を使ってでも、一刻も早くミーアの居場所を突き止めたい……そういった焦る気持ちも、僕の中には間違いなく存在している。オリネロッテ様に頼る以外に、良い手段が無いのなら――
「マコルさんとコマピさんは、どのように考えられますか?」
年長者の2人に問いかけてみる。
「先ほどまで話し合いをしていたのですが、ここはオリネロッテ様にお願いするしかない……冒険者ギルドの代表として、僕は、そのような結論に達しました」
「私も、スケネーコマピさんと同じ意見です。『商業エリアの端にあるカルートンの自宅が疑わしい』との内容に関しても、オリネロッテ様にはキチンと共有していただきました。それに加えて、新たなる情報があれば、次の一手が打てます」
マコルさんとコマピさんは、オリネロッテ様の案に同意したらしい。
オリネロッテ様を無条件に信頼しているわけでは無く、今のところ、事件解決への取っ掛かりになりそうなのが、これしか無い……という思惑が、2人の表情や口ぶりから感じられる。
ちょっと感心する。マコルさんもコマピさんも、オリネロッテ様の〝魅了の力〟に囚われていない。
マコルさんは一度、オリネロッテ様に籠絡されかけた経験があるため、今回は、前もって用心していたのだろうが、コマピさんは……あ。コマピさんは、マコルさんと同じ〝ミーア教徒〟だった。納得だ。《女神ミーア》への厚き信仰心には、それほどの強力なバリアー効果があるに違いない。……いろんな意味で、凄いな。
「マコルさんとコマピさんが、そう仰るなら、僕もオリネロッテ様の提案に賛同します」
「あら。サブローさんは、私よりもマコル様たちを信用なさっているんですね」
「え! オリネロッテ様。それは――」
「ふふ、冗談です。大丈夫です」
オリネロッテ様が笑ってくださって、助かった。本心を言い当てられて、一瞬だが身体が強ばってしまった。
――そう。僕はオリネロッテ様のことを、心の底では信用していない。
僕の胸中に、複雑な感情が湧き上がる。
その時、不意にフィコマシー様が口を開いた。
「あの、オリネロッテ」
「なんでしょう? お姉様」
「そのカルートンという方がこの屋敷へ来られて、オリネロッテに会う際には、私も同席させてくれませんか?」
「もちろん、構いません。むしろ私のほうが、そのようにお誘いしようと思っていました。それで、お姉様にも、この部屋へ足を運んでいただいたのです」
フィコマシー様の申し出を受けて、オリネロッテ様が笑顔になる。
一方、シエナさんは「お嬢様!」と戸惑いの声をあげた。けれど、続ける言葉に詰まってしまった様子だ。
とっさに、賛成するべきか反対するべきか、判断に迷ったのだろう。
フィコマシー様が積極的に考えて動かれるようになったのは、喜ばしいことだ。しかし、この件については……相手のカルートンの本性が、狡猾な犯罪者という可能性もある。対面するリスクを考えると、僕も意見を決めかねる。
前向きな姿勢を示すフィコマシー様とは対照的に、アタフタと落ち着きを失っている僕とシエナさんを、オリネロッテ様が見つめる。彼女の目つきは、事態を面白がっていた。
「サブローさんもシエナも、過保護ね。そもそも、シエナ。貴方は今、お姉様のための新しいアクセサリーやドレスを探している……そう聞きました 装飾品関連では、カルートンはナルドットでも有名な商人です。せっかくだから、利用すべきよ。良い機会ではありませんか」
「それは……そうですけど……」
口ごもるシエナさんに、フィコマシー様が声をかける。
「貴方に相談せずに言い出してしまって、ごめんなさい。でも明日の面会がミーアちゃん達の救出に繋がるかもしれないのなら、わずかであっても、私も力になりたいのです」
「……分かりました。お嬢様」
そうか。明日、侯爵邸へ来訪するカルートンに、フィコマシー様もお会いになるのか。だったら僕も一層、気を引き締めなくちゃな。その場に立ち会って、万が一にでもフィコマシー様が危険な目に遭ったりしないように、完璧な備えを――
「サブローさんは、ダメですよ。カルートンとは、顔を合わせないでください」
と、意気込んでいる僕へ、オリネロッテ様が告げる。
「ど、どうしてです? 確かに身分的に、僕がフィコマシー様やオリネロッテ様と一緒に居るのは不自然かもしれません。けれど、そこは従者なり、召使いなりに変装して……」
「いえ。身分の問題では、無いのです。カルートンの口を滑りやすくするためには、彼を油断させなければなりません。そのために、明日は女性のみで、カルートンと面会します。そうですね。私とお姉様、あとは私につくメイドが2名、お姉様につくメイドが2名で、合わせて6人の女性で……というところですか」
「フィコマシー様とオリネロッテ様と、4名のメイド……ですか?」
フィコマシー様にはシエナさん、オリネロッテ様にはヨツヤさんがつくのは当然として、あとの2名はどうするのだろう? 侯爵家の他のメイドを呼び寄せるのかな?
シエナさんもヨツヤさんも武芸の心得があるが、護衛としての役割を果たせる者の数は多いほど良い。前提として、ヨツヤさんは、オリネロッテ様を絶対に守るであろうが、フィコマシー様の危機は傍観するに違いないからな……。
でもヨツヤさんはともかく、シエナさんの水準であっても、それだけの護衛の能力を身につけている女性は滅多に居ない。
そうなると……ん? 待てよ。よく考えると、室内には今、めちゃめちゃ高い護衛能力を有している女性が居るな。それも、4人も。
オリネロッテ様の側近である、魔法使いのアズキ。
騎士であるリアノン。
冒険者のドリスとキアラ。
彼女達なら、護衛者としての能力は充分だ。しかしながら皆、当たり前だけどメイドじゃ無い。
と、なると――
そこで、僕とオリネロッテ様の目線が合った。あ。彼女の思案していることが分かったぞ。
オリネロッテ様が頷いた。
「別に、私とお姉様の側に控えている者が、本物のメイドである必要はありません。メイドに見えれば、それで良いのです。ですからアズキ、明日は貴方にメイドの格好をしてもらいます」
「わ、妾がメイド、ですか?」
黒マント姿のアズキが、愕然とした表情になる。
同時に、サッとドリスが挙手した。
「フィコマシー様のメイド役に、立候補します。明日はシエナの他に、フィコマシー様についている者が1名、要るのですよね?」
「……ドリス。ありがとうございます」
「ドリスさんが一緒にお嬢様の側に居てくれるのなら、私も心強いです」
フィコマシー様とシエナさんが揃ってドリスへ顔を向け、礼を述べた。
「任せてください!」
と自信満々な言葉を、ドリスが返す。
僕もホッとした。
フィコマシー様のメイドは、どんな時でも常にシエナさん1人だけだった。
臨時であってもフィコマシー様のメイドになってくれる人を、この侯爵家で確保するのは難しかったはずだから。
結果、明日はフィコマシー様にはシエナさんとドリスがつき、オリネロッテ様にはヨツヤさんとアズキがつくことで、話がまとまった。
もっとも、アズキは、まだ「困るのじゃ。メイド服など着たことは無いのじゃ。というか、ここ10年は、魔法使いの服装しかしてこなかったのじゃ」とか言ってアワアワしているけど、まぁ、それはどうでもいい。
ここで、ある人物が異議を申し立ててきた。
「オリネロッテ様! 私は、オリネロッテ様の護衛騎士です。オリネロッテ様が胡散くさいヤツにお会いになるのに、その場に私が居ないのは納得できません」
リアノンだ。
オリネロッテ様が、いきり立つ彼女へ説明する。
「リアノン……今までの話を聞いていなかったの? 明日、面会する相手には、こちら側を警戒されないようにしなければならないのです。私の側に騎士が居ては、台無しでしょう?」
「でしたら、私もメイドの姿になります! そうすれば、カルートン? とかいうヤツも気を抜くでしょうし」
「貴方がメイドの格好をするの? リアノン。それは――」
「何か問題があるのでしょうか? オリネロッテ様」
自分の発言に何の疑問も抱かず、きょとんとした顔になるリアノン。
対して『おおいに問題があります』と言いたいだろうに、オリネロッテ様は躊躇している。オリネロッテ様が心中で出しているであろう〝メイド服のアズキは大丈夫だが、メイド服のリアノンは大丈夫じゃ無い〟という正当な判定を、当の本人であるリアノンへ告げるのは、さすがに気まずいらしい。
そこへ更にキアラまで「私も、フィコマシー様のメイド役になるのを希望する」と言い出したため、状況はいよいよ混沌としてきた。
どうしよう……?
パンッと、オリネロッテ様が両の掌を軽く打ち合わせた。
「大事なのは明日、カルートンから有益な情報を引き出すことです。そのためには、彼に少しの緊張感も抱かせてはいけません。私とお姉様の側に居るメイドが、不自然な存在であってはならないのです」
そう述べてからオリネロッテ様は、年輩の侍女風の方を、この部屋へ呼んだ。そして彼女へ、こまごまとした指示を出す。
侍女さん(?)は、アズキ・リアノン・ドリス・キアラの4人を連れて、部屋を出て行った。
え~と。
しばらくして、アズキ達が部屋へ戻ってきた。皆、メイド服に着替えていた。
なるほど。今ここで〝メイド姿のお試し〟をやってみるわけだ。オリネロッテ様がすることは、実に合理的である。
結果、僕の目から見ると――
4人の中で、メイドの格好が一番に似合っていたのは、ドリスだった。白いカチューシャと黄金色のくるくるツンテールの組み合わせは、意外にバランスが良い。全体を確認しても、スラリとした姿態の彼女は、メイド服を上手に着こなしていた。かなり、きまっている。
ひとつだけ気になるのは、なんか総合的にコスプレっぽい雰囲気があることだ。ドリスの服装は冒険者をやっている普段から、変てこゴスロリ風で、相当にコスプレっぽいんだけどね。
あと、ドリスが微妙にドヤ顔になっているんだが……自称〝公爵令嬢〟なのに、メイド服を身にまとって自慢気にしているって、ドリスはそれで良いのだろうか?
シエナさんは、そんなドリスをジッと眺めて「強敵のオーラを感じます。メイドとして負けられません!」とか呟いている。
心配無用ですよ! シエナさん。貴方は、僕の知っている限りにおいて〝メイド服が似合う女性ナンバーワン〟ですから!
ドリスの次にメイド服が似合っていたのは、アズキだった。でも、12~3歳くらいの見習いメイドに見える。現在の姿を恥ずかしがって、身を縮こまらせているため、余計に〝新人ちびっこメイド〟みたいな印象が強い。
アズキは、本当は24歳なんだけど……何かが間違っているような、詐欺なような気もするが、カルートンを警戒させる可能性がゼロなのは、とても良い点であると言えるだろう。
で、三番手のキアラについて。彼女の現在の姿に、特に変なところは無い。しかし……メイド服が、割烹着に見える。貴族に仕えるメイドというより、学校の給食係みたい。
その理由は、今のキアラが醸しだしている雰囲気が〝奉公する〟では無くて〝世話する〟的なものであって、不思議な安定・安全・安心感があり、加えて低身長の丸い、幼児的な体型から導き出される必然的な結論として…………これ以上、深く考えるのは、やめよう。
そして、最後にリアノンである。
メイド服を着たリアノンは、想像を超えて、とにかく凄かった。本当に、凄い……とてつもなく、凄い……すごい……すごく……凄く、似合っていない。
いや、リアノンは凄いよ! リアノンは、19歳だよね? 19歳で、ここまでメイドの格好が似合わない女性って、このベスナーク王国でリアノン、ただ1人だと思う。ナンバーワンでは無く、オンリーワンだ。
とはいえ、今のリアノンの姿は、間違いなく女性的ではある。メイド特有の女性らしさは、感じるんだが……うん、率直に言わせてもらおう。
メスのハムスターの着ぐるみをしている、メスのライオンみたいだ。着ぐるみは不完全な状態で、牙も爪も、鋭い眼光も、まったく隠せていない。右目の眼帯も、この期に及んでシッカリしていて、メスはメスでも、片目の猛獣だ。
下手なハムスターの擬態をしている、ライオン。
近距離で一瞬でも油断したら、確実に襲撃されてミンチにされる。食い殺される。
……これで相手を警戒させないのは、どう考えても無理だよね?
ご覧いただき、ありがとうございました。
4月は別サイトのイベントである小説マラソンに参加しておりまして……久々の更新ですね(汗)。
これからも本作の投稿を頑張ってまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
※リアノン(メイド姿)のイラストを、貴様 二太郎様よりいただきました(5月13日)。ありがとうございます!
リアノンは内心で「私のメイド姿、けっこうイケてるよな?」と思っております……(爆)。




