ゴーちゃんのメンタルは繊細(イラストあり)
★ページ途中に、登場キャラのイメージイラストがあります。
コアラ……ユーカリの葉っぱが大好きな、コアラ…………あ、違った。体型や雰囲気から、ついつい地球の動物であるコアラを連想しちゃったけど、彼女の名前は〝キアラ〟だ。
キアラ――丸っこい、緑の髪の少女。
僕は彼女に、どこかで出会っているような気がするんだが…………う~ん…………………あ! 思い出した。
そう。
冒険者ギルドを訪問した初日、スケネーコマピさんとの武術試験が終わった後に、僕はゴブリンを相手に『童貞』を卒業して……疲弊した心を、ミーアに慰めてもらったんだ。あの時のミーアは本当に優しかった――
それから辻馬車に乗ってバイドグルド家へ向かったんだけど……車中に居た、ドワーフっぽい女の子。僕とミーアを、関心を持った風にマジマジと眺めていた――それが彼女、キアラだ! 結局、馬車から降りるまで言葉を交わす機会を得ることは出来なかったが……。
でも、まさか、こんな場所で再会するなんて。意外すぎる展開だ。
キアラちゃん……いや、キアラさんも気が付いたらしい。緑の瞳の目を、大きく見開いた。そして、僕のほうへ、テクテクと歩み寄ってくる。
「えっと、サブロー……だよね?」
「あ、ハイ」
「1人?」
「そうですけど……」
「馬車の中で親しくしていた猫族の女の子は、どうしたの? 離れちゃったの?」
離れる? え? 〝ミーアとはサヨナラをしたのか?〟と訊いてるの?
「ち、違いますよ! ミーアは、新人研修を受けているんです。僕は一足先に正式な冒険者になれたため、今は別行動となっていますが……でも、宿舎は同じですよ。僕とミーアは、これからも一緒です」
「そうなんだ。良かった」
キアラさんは、安心したように頷いた。
どうして僕とミーアの事情を聞いて、彼女はホッとした表情になったんだろう?
「あの、お尋ねしても宜しいでしょうか? もしかして、キアラさんは……」
「うん、私はドワーフだよ。あと〝さん付け〟は……」
やっぱり。
ウェステニラのドワーフに関する知識は、地獄の訓練でブルー先生から習った。
エルフが〝森の精〟なら、さしずめドワーフは〝地の精〟とでも呼ぶべき種族であり、〝人間社会と距離を置いている〟という点は共通だ。但し多くのエルフが風系統の魔法を扱えるのに対し、ドワーフは基本的に魔法を使えない。身長は人間の〝3分の2〟程度で、しかし体重はあまり変わらないから、必然の結果として膨らんだ体型になる。
キアラさんを見ていると、納得だ。彼女も、丸い。
ついでながら『ドワーフは女性であっても、成人したらヒゲが生える』との噂話もあるが、ブルー先生によると、これは嘘なのだそうだ。昔、エルフとドワーフの種族の仲が悪かった頃に、エルフが悪意を持って広めたデタラメだとのこと。過去とは言え、エルフも酷いマネをするな~とも思うが、ドワーフはドワーフで『エルフの女性の胸の栄養は全部、身長に回されている』との虚偽情報を熱心に流したらしいので、お互い様なのかもしれない。
『エルフの女性の胸は平ら』という話が間違いであるのは、スケネービットさんの姿が証明している。彼女の胸のサイズは、魅惑のメロンだからね。
ウェステニラに果物のメロンがあるのかどうかは、不明だが。
僕との会話を終え、キアラさんはまた黙り込んでしまう。
おや? ドリスが、「キアラが、喋ってる!?」と驚いているぞ。
キアラさんって、そんなに無口なのかな?
顔合わせの挨拶が一通り済むと、ビットさんはソフィーさんに「後は宜しく頼むわね」と、加えて僕へは「サブローくん、頑張らないのよ」と声を掛け、部屋より出て行った。
ちょ! スケネービットさん! おそらくギルド長が僕へ『頑張らないでください、サブローくん』と仰ったことが念頭にあったんだろうけど、それを僕へ告げるタイミングが……。
ほら、《暁の一天》のメンバーの皆さんが、僕を『コイツ、大丈夫か? サボる気、満々だったりはしないだろうな?』という疑いの目で見ている。
居たたまれない――が、そうも言っていられない。
すぐに気を取り直す。
室内に居るのは僕と《暁の一天》のメンバー、合計6人だけとなった。いや、既に僕も《暁の一天》のメンバーなはず。〝見習い〟としての臨時加入ではあるけれど。
さて。
初対面で大切なのは、相手の顔と名を迅速に一致させて頭の中に叩き込むことだ。失礼な行為は、やらないようにしないと。まして、僕は新入りの見習い。名前の呼び間違えは、許されない。
人の名前を覚えるのに最適な方法は……その方の特徴との関連づけ――である。
よし。
パーティーリーダーのアレクは、長い前髪が無性に気になる……『うっとうしいでしょ? イチイチ掻き上げるのも面倒くさそうだし、切ったら?』と言いたくなるので、『前髪イケメンのアレク』として頭に入れよう。
〝イケメン〟呼びは、少々ムカつくが……彼が美少年なのは、事実だ。
サブリーダーのソフィーさんは……『姉ママのソフィー』かな。ソフィーさんの歳の頃は、外見や言動から推測するに、20代の前半――――〝ママ〟という年齢ではないけど、彼女からは単なる〝お姉さん〟にはとどまらない、溢れ出る母性を感じてしまうのだ。胸も大きいし。
姉以上の姉、母未満の母なので、彼女には『姉ママのソフィー』との呼び名が相応しい……と思う。
ドリスは、ドリルだな。『ドリルのドリス』だ。決まった。完璧だ。それ以外には、あり得ない。……………………待てよ。でも、そうすると咄嗟の際に〝ドリスのドリル〟って勘違いしそうだぞ。『ドリルさん』って呼びかけちゃったら、大変なことになりそう。あのくるくる金髪ツインテールが、急速回転しだすに違いない。
ムムム。だったら……金色のドリル――ゴールドのドリル……『ゴールドリルのドリス』にしよう。声もキンキン……〝金金〟してるし。そうしよう。
レトキンは、『筋トレのレトキン』として記憶する。あの鍛え上げた肉体から考えて、日夜ぶっ続けで筋肉トレーニングをしているはず。
キアラさんは――『ドワーフのキアラ』は……何か違うな。体型から連想しちゃう『コアラのキアラ』も、マズいかも。〝キアラ〟と〝コアラ〟――正解はどちらか、こんがらがりそう。
うん。『緑のキアラ』にしよう。彼女は、髪の色も瞳の色もグリーンだからね。
姉ママのソフィーさんが話しかけてきた。
「それじゃ、サブローくんも一緒に食堂でお昼ご飯を食べましょう」
「あ、ハイ」
冒険者ギルド内にある食堂で、皆で食事をすることになった。
ここで提供されている料理は、メニューの数は少ないけど、どれもかなり美味しい。そのため、ギルドとは関係ない近隣の住民がわざわざ食べにくることもけっこうあると聞く。
ちなみにギルドカードを見せれば、料金が2割引きになる。お得だ!
さきほど頂いたばかりのギルドカードを、早速利用させてもらおう。
皆で、1つのテーブルにつく。食事をしながらの談話で、僕を既存のメンバーと打ち解けさせようとの配慮が、ソフィーさんにはあるようだ。さすが、姉ママである。
「えっと、アレクさんとソフィーさんは……」
「あのね、サブローくん。いえ、もう貴方は《暁の一天》のメンバーなのだから、『サブロー』と呼ばせてもらうわね」
「ハ、ハイ」
おっとり癒やし系のソフィーさんに『サブロー』と呼び捨てにされるなんて、なんだかゾクゾクしちゃうな。
「《暁の一天》では、メンバーが互いの名前を呼ぶときは、敬称を略すようにしているのよ。なのでサブローも、そうしてね。私のことは『ソフィー』で結構よ」
「え? でも……」
躊躇う僕へ、ドリスがキツイ声で述べる。
「戦闘中などの緊急の際に、イチイチ〝さん付け〟や〝様付け〟で名前を呼ぶのは面倒でしょ? かと言って平時と非常時で呼称を切り替えるのも、ややこしいし。だから、あたしのことも『ドリス』と呼んで良いわ」
「僕も構わないよ」
アレクの発言に、レトキンとキアラも頷いている。
ソフィーさんを『ソフィー』と呼ぶのは、心理的ハードルが、かなり高いな。しかし、他のメンバーの名前は…………うん、大丈夫だ。特にアレクとドリスについては、積極的に呼び捨てにしたい。
でも、さっき、ドリスはアレクのことを『アレク様』と小声で言っていたような……独白だから、セーフなのか? まぁ、僕もソフィーさんの名前を心中で呼ぶときは、これからも〝さん付け〟しちゃうだろうけど。
「分かりました。では、そうさせて頂きます」
「サブローは、硬いなぁ! もっと気安くしても良いんだぞ」
レトキンが豪快に笑い、場の空気がほぐれる。そこから語らいは、僕が質問し、皆が答えてくれる流れになった。
ソフィーさんをはじめとするメンバーの話をまとめると――《暁の一天》はもともと、アレクとソフィーさんの2人が数年前に立ち上げた冒険者パーティーなのだそうだ。
そうか。アレクとソフィーさん、2人で始めたのか。
さりげなく観察していると、アレクとソフィーさんは男女の仲……という訳では無いみたいだが、明らかに距離の近い雰囲気が、2人の間からは感じられる。
パーティーには次にドリスが、更にキアラが、最後にレトキンが加わって、今の《暁の一天》になったとのこと。
そして今日、僕が入って、メンバーが6人になったんだね。
「レトキンが加入したのは、半年前よ。こんな汗くさい男がメンバーになるなんて、あたしはイヤだったんだけど」
「ハッハッハ。相変わらず、ドリスは口が悪いなぁ。そんなに俺の筋肉に嫉妬しなくても、良いのに。心配するな。筋肉は、大変に慈悲深い。その恩恵は誰にでも、平等だぞ」
「誰が嫉妬しているのよ!? あと、意味不明な筋肉礼賛は止めて!」
メンバー同士の関係は、とても良好なようだ。
ちなみに、各々の主要武器は――
ソフィーさんは、剣。
帯剣している以上、至極当然ではあるのだが、何故だか凄く納得してしまう。彼女の物腰は、どことなく〝騎士っぽい〟んだよな。
レトキンは、斧。
――斧? なるほど、〝戦闘用の斧〟というヤツか。レトキンの斧による一撃は、さぞかし重いに違いない。この武器で襲われた敵は、やはり『OH NO~!』と叫んだりするんだろうか? ……そんな訳ないよね。
キアラは、メイス。
メイス――棍棒の1種で、柄の先が丸く膨らんでいる、〝ゴッチ~ン!〟と相手をぶん殴るための武器。ドワーフのキアラが持っていると、とても似合う。
パーティーリーダーのアレクが得意とするのは、弓術。
「近接戦闘では、片刃の剣を使うけどね」
とアレクが少し自慢げに述べる。弓と剣、どちらの腕前にも自信があるらしい。
そしてドリスは――
「あたしは魔法使いよ」
思っていたとおり! 僕の予想は当たっていた。
「そうなんですか! 凄いですね!」
僕は、感嘆の声を放った。ウェステニラの世界において魔法を使える人間は貴重であり、『魔法使いである』という一点だけで、その者は既にエリートなのだ。
僕がウェステニラに来て会った魔法使いは――アズキに、バイドグルド家に仕えているムロフト、スケネービットさんはエルフで、それからアルドリュー、そして今、目の前に居るドリスか…………なんだか、全員微妙だな。
「ドリスさん……ドリスは、どの系統の魔法を使われるんですか?」
「サブロー。あたしに対して、敬語は不要よ」
「分かりました……分かったよ」
お! ドリスって態度はツンツンしているのに、実は意外と良い人?
「表面的には遠慮なく接してくるのを許可してあげるけど、内心ではあたしのことを〝比類なく偉大な先輩〟として恐れ敬い奉りなさいね」
ゴールドリルめ。えらく困難な要求をしてくるな。
「う、うん……それで、ドリスは何系統の魔法使いなのかな?」
「それは……」
ドリスが言いよどんでいる。
「それは?」
「…………」
「え?」
「土……」
「聞こえないよ。もっとハッキリと言って」
「土系統の魔法使いよ!」
大声を出す、ドリス。
「土系統……」
「何よ? 何か不平や不満でもあるの?」
「まさか。あるはず無いよ!」
ドリスは、どうして喧嘩腰なんだ? 頭の両側についている2つの金色ドリルが、今にも回転しだしそうで怖いんだが。
「どうせアンタも、『せっかく魔法が扱えるのに、〝光〟でも〝火〟でも〝水〟でも〝風〟でも無く、よりにもよって〝土〟とはな。ダッセー』とか思っているんでしょ!」
「思ってないよ!」
ドリスの目が据わっている。
鋭い視線に貫かれ、僕はビビってしまう。
「『け! 土系統かよ。パッとしなくて、どんくさくて、野暮くさくて、地味で、イマイチで、影が薄くて、不人気な、しょ~もない魔法だぜ。冒険なんて止めて、土木作業だけやってろよ。トンネル掘りに専念しろよ。砂場で土いじりしてろよ』とか考えているんでしょ! あたしには、丸わかりなのよ!」
「考えてないってば!」
なんなんだ。ドリスの被害妄想が、酷いぞ。
ドリルのゴスロリ少女は僕の本音を勝手に決めつけ、誤解したまま一方的に話を続ける。
「ふん、どうだか……。まぁ、良いわ。〝土魔法の素晴らしさ〟について、今からあたしが直々に教えてあげる。感謝しなさいよ」
そう宣言するや、ドリスはいきなり立ち上がった。そして杖を右手に持ち、ブンッと一振りしてみせた。
「――出でよ! ゴーレム!」
「ええ!? ゴーレム?」
驚く。
〝ゴーレム〟って、土や岩石、金属などで出来た自立式稼動の人形のことだよね? 頑丈で屈強、主人の命令に忠実……そんな〝人型ロボット〟のイメージがある。しかしながら、大きさが4ナンマラ(2メートル)を超えるタイプも多いと聞くぞ。
そんなのを、この食堂に呼び出しても大丈夫なのか? 大騒ぎになったりはしない?
「ゴーレム、出動!」
ドリスは叫ぶと同時に杖を手より離し、それから所持していた小物入れの中をゴソゴソと探りはじめた。
やがて意気揚々と、1つの物体を取り出して、テーブルの上に置く。
「あたしのゴーレム、〝ゴーちゃん〟よ」
『ピギー!』
ゴーちゃんが変な音……声? を発した。
大きさは人間の掌サイズ、土色の小さい人形だ。全体的にカクカクしており、眺めていると、日本の建物の内部に設置してある非常口の人型マークを思い出してしまう。まぁ、あれは緑色だったけど。
このゴーレム……表面はとてもツルツルしていて、滑らかそうだ。顔の部分についている2つの穴――アレは、おそらくは目なんだろうな――以外、口や鼻にあたるところは見当たらない。
あの声みたいな音、どこから出しているのかな?
「ゴーちゃん。アナタの秘めたる力を、目が節穴のサブローへ見せつけてやりなさい!」
どう考えても両目が節穴なのは、このゴーちゃんだろ!?
ドリスの命令を受けたゴーちゃんは『ピギ!』と張り切った声を上げ、テーブルの上をトコトコと歩き出した。しばらくすると立ち止まり、『ピ~ギ、ピ~ギ』と柔軟体操を始める。
そんなゴーちゃんを、《暁の一天》の面々は温かい眼差しで見つめていた。
「凄いぞ、ゴーちゃん」
「偉いわ、ゴーちゃん」
「筋肉をつけようとしているんだな。立派だぞ、ゴーちゃん」
「……ゴーちゃん、頑張り屋さん」
皆に褒め称えられると、調子に乗ったのか、ゴーちゃんはピョンピョンとジャンプしたり、逆立ちしたりしだした。
「ふふふ。どう? あたしのゴーちゃんの実力は?」
ドリスは鼻高々となり、瞳をキラキラさせつつ得意そうに口角を上げた。
う~む。ゴーちゃん……確かに凄いと言えば、凄い。でも――
「それで、このゴーちゃんの能力、冒険で何の役に立つの?」
僕がそう尋ねると、ゴーちゃんの動きがピタッと止まった。そしてギギギと顔を上げ、僕を見る。あ、ゴーちゃんと目が合った。
次の瞬間。
ゴーちゃんの形はドシャリと崩れ、ひとかたまりの土くれになってしまう。
えええ!?
「サブロー! アンタ、なんてことを言うの!?」
激怒したドリスが、杖でポカリと僕の頭を叩く。
「ゴーちゃんの精神は、とっても繊細なのよ。アンタの心ない発言に傷ついて、姿を保っていられなくなっちゃったじゃない!」
「は?」
いくら何でも、メンタルが弱すぎない!? いや、そもそも〝ゴーレムのゴーちゃんに心がある〟という事実そのものに、ビックリするんですけど。
見回すと、ドリス以外の皆も僕に対して非難するような視線を向けている。
く! ヤバいぞ。僕は新入りなんだ。皆からの好感度が下がる状況は、絶対に回避しなくちゃ!
ドリスが、僕をせっついてくる。
「ほら! サブロー。早く、ゴーちゃんにゴメンナサイしなさい。ゴーちゃんを慰めなさい。励ましなさい」
「え」
「早く!」
「ス、スマナイ。ゴーちゃん。君の素晴らしさを見抜けなかった僕は、本当に未熟者だったよ。けれども、ようやく分かったよ。君は、真に偉大なゴーレムだ! 優秀! ゴージャス! デラックス! エクセレント! ファンタスティック! 威風堂々! 古今無双! 全知全能! 空前絶後! なんという勇姿! 見事なる体躯! 俊敏な機動! 凜々しい発声! 煌めく叡智! 君ほど素敵なゴーレムを、僕は今だかつて目にしたことが無い! スーパーゴーレム、万歳! ブラボ~!!!」
僕がペコペコと頭を下げながら必死になっておべんちゃらを並べ立てていると、土のかたまりはコネコネと動きだし、やがて元通りの人型になった。そして、ムクッと起き上がる。
『ピギ――!』
再び僕へ顔を向けてくる、ゴーちゃん。〝表情〟と呼べるほどのものは無いものの、ドヤっている感情は伝わってくる。どうやらコイツには、本当に心があるようだ。
もしかして、このゴーレム、皆の同情を引くために、わざと土くれになってみせたんじゃ……?
僕は心中に深い疑いの念を抱きつつも「わ~。ゴーちゃん、偉いね~。パチパチパチ~」と盛大に拍手した。……僕、何をやっているんだろう?
ゴーちゃんは満足そうにコクコクと頭部を上下に振ると、ドリスのもとへテクテクと戻っていった。
ふ~、疲れるな~。
「ゴーちゃん、お疲れさま。で、サブロー。冒険において土魔法が如何に有用か、しっかりと理解できた?」
ドリスがゴーちゃんを小さな袋にしまいながら、訊いてくる。
僕は即答した。
「身に染みて、分かったよ」
サッパリ、分からなかった。
ドリスのイラストは、LED様よりいただきました。ありがとうございます!
※サブローとキアラが初めて出会ったシーンは、第5章17話「冥土なメイドさん」の回にあります。




