ティラちゃんとお散歩(イラストあり)
★ページ下に、登場キャラのイメージイラストがあります。
結局、成り行き任せでティラの野郎とお散歩することになってしまった。
お屋敷の老婦人は「ティラちゃんは良い子だから!」と力説していたけど、散歩に連れていった先輩冒険者たちが軒並み失踪してしまっているんですよね!?
この恐竜モドキが要注意・不審生物であることは間違いない。散歩中は、警戒を怠らないようにしよう。
高級住宅街でペットを散歩させるだけなのに、地雷がそこかしこに埋められている紛争地帯へ赴くような緊張感を強いられるのは、何でだ?
だが、高レベルの冒険者を目指している以上、如何にイヤすぎるクエストであっても逃げることは許されない。お仕事完遂を目標に頑張ります!
……取りあえず、捕食されないようにせねば。
老婦人に見送られつつ、お屋敷を出発する。
ティラの首輪につながっているリードを左手に持つ。いつでもククリを抜けるように、右手は自由にしておかなくちゃ。
ティラの野郎が歩くのは、僕の斜め前。
本当はペットを散歩させる際には、飼い主がリーダーシップを取らなくちゃならないんだけどね。
老婦人は「ティラちゃんは、とっても賢いの。お散歩コースをシッカリ覚えているから、全部ティラちゃんに任せておけば大丈夫よ」と述べられた。
しかしながらティラに全てを委任したら、お散歩コースが処刑台への13階段になりそうな予感がする。
ともかく、緊急事態に即応できるように、常にティラを僕の視界内に収めておくようにしよう。
真横を歩かせるのは、剣呑だ。まして、僕がティラの前を歩くなど、以ての外。コイツのほうが、僕より頭一つ分ほど背が高いのである。
背後のティラがその気になったら、ちょっと首を傾けるだけで、カプッと僕の頭を丸かじり出来てしまう。危険きわまりない。
僕はテクテク、ティラはズシンズシンと歩く。
この辺りのエリアは富裕層の邸宅が集まっているだけあって、景観が整っており、路幅も広い。散歩には、持ってこいの道のりだ。
すれ違う方々も、育ちの良さそうな方ばかり。
「あら、ティラちゃん、お散歩なの。良かったわね~」
「ティラちゃんは、今日もご機嫌ね」
「ティラちゃんに会えて、とっても幸運。お出掛けして、正解だったわ」
街の皆さんは、平然とティラの野郎に挨拶していく。ティラの迫力ある巨体を見ても怯えたりせず、むしろ嬉しそう。ティラのヤツも『ウギャ!』と片手を軽く上げて愛想を振りまいている。
なんか、普通にご近所さんたちに受け入れられているっぽい。
何故だ!?
皆さん、揃いも揃って鷹揚すぎる。
屋敷の老婦人も感覚がズレていたし、やっぱりお金持ちは僕ら一般人とは物事に対する考え方が違うのかな?
それはさておき、ムカつくのはティラの野郎だ。
顔馴染みのご近所さん方には調子の良い態度を示すくせに、僕への当たりはやたらにキツい。
時々チラリと視線を走らせる、ティラ。そのギラついた眼差しは、明らかに、僕の隙を探している。そして前動作なしで、いきなりブンッと太い尻尾を振り抜きやがる。
僕が〝尻尾の一撃〟を躱すと、『ジャ!』と呟きを漏らす。
舌打ちをしやがるのだ、この恐竜モドキは。
対抗して、僕もしばしば、ククリの柄に手を掛ける。ティラの目に付くように、わざとらしく。
牽制である。
ティラと僕の散歩は、こうして『殺るか、殺られるか』という切迫感をはらみつつ、ほのぼのと順調に進んだ。
そんな僕らを眺める通行人さんが「今回のお散歩係さんは、ティラちゃんと仲良しね~」などと声を掛けてきたりした。
僕は「そうなんです。ティラちゃんはお利口さんで、助かってます」と、ティラは『シャシャシャシャシャ』と返事して、お互いに関係良好をアピールする。
僕とティラは暗黙のうちに、ある一点において合意していた。
そうなのだ。
僕らの決着に、よそ様を巻き込むわけにはいかない。
やがてティラは、程よい広さがある空き地へと僕を誘導した。
どうやら、ココで僕を始末する気らしい。
僕は何も気付かない風をよそおいながら、ついていく。
ふん、浅はかなヤツめ。恐竜モドキの畜生が、人間様に勝てると思うなよ? 返り討ちにしてやる。
空き地の真ん中まで来ると、ティラはキョロキョロとせわしなく周辺を見まわした。人気が無いか、確認しているようだ。
完全犯罪を狙っているのか?
と、いきなり尻尾の一撃。更には、体当たりしようと突進してくる。
連続攻撃を僕が難なく回避すると、ティラは『グギャギャギャ』と歯がみした。加えて、ドシンドシンと地面に足を打ちつける。
地団駄を踏んでいるみたい。
さて、どうするかな?
ティラと対峙しつつ、思案する。
一応、クエストの依頼主よりお預かりしているペットだからね。過度な制裁は控えるべきだろう。
こんなヤツでも、老婦人は可愛がっていた。もしティラが傷ついたら、彼女が悲しむのは確実だ。それは、避けたい。
手荒なマネは、ダメだ。
しかし、何とかして、ティラの野郎の僕への振る舞いを改めさせないと。
『気が付いたら、いつの間にかティラちゃんの胃の中に居ました。身も心も、トロけていきます』とかなったら、大変困る。
『ギャルルルル!』とティラがヨダレを振りまきつつ、猛然とダッシュしてきた。
コイツ、ちょっとばかし攻撃本能が強すぎる。さすが、ティラノサウルス。別名、《暴君竜》。
よし、お仕置きだ。
僕はギリギリのタイミングでティラの攻撃を避けると、その体の表面に掌を当てた。
「《精力吸収》」と呟く。
《精力吸収》は、闇系統に属する魔法だ。相手のパワーを奪う禁じ手の魔法の1つで、稀にだが犯罪者への刑の執行に使用される事例もあるとか。
過剰に行使すると相手を衰弱死させかねない、恐ろしい魔法――それが、《精力吸収》である。
効果は抜群であるけれど、魔力消費量が多大な上に緻密なコントロールが要求されるため、モンスター退治などに活用されることは少ない。
吸収した精力を自らのパワーに置き換えることも可能だが、それにはタイムラグがあるし、体力と魔力は別問題だからなぁ……。魔素の魔力への変換作業が、魔力の消費スピードに追いつかなくなると、体内の魔力が枯渇してしまうのだ。
敵にダメージを与えると同時に、自分も弱っちゃう危険性がある。
かつて獣人の森でホワイトカガシと戦った折には、しばし使用を検討した。
この魔法を早めに振るっていれば、ミーアを大怪我させることもなかったかな……? でも、ホワイトカガシの手強さを勘案すると、僕が一方的にパワーダウンして、ミーアもろとも破滅したケースもあり得る。けっこう、扱いが難しい魔法と言えるね。
で、今回だが。
もちろん、僕はティラを衰弱死させようなんて考えていない。少しも、考えていない。これっぽっちも、考えていない。本心ですよ!?
ただティラちゃんはヤンチャが過ぎるため、ほんのちょっぴり精力を頂いて、大人しくなってもらおう……そう思ったのだ。
真の意味で〝聞き分けの良い、ティラちゃん〟へ成長してください。
これは、躾なのです。愛のムチなのです。教育的指導なのです。
『ガル~、ガル~、ガ~ル~、ガ……ル……』
《精力吸収》の魔法を受け、ティラの動きが緩やかになった。目つきも和らぎ、全身にみなぎっていた凶暴さが薄らいでいる。
《暴君》が《名君》になった……は言い過ぎか。《凡君》くらいかな?
「やぁ、ティラくん。落ち着いたかい? やっぱり、平和が1番だよね。君も反省して、これからは穏やかな心持ちでペット生活を送るようにしてくれたまえ」
そう諭しながら、ティラの鼻先を撫でる。
その瞬間、僕はハッと悟った。理由は不明ながら、ティラの感情が僕の中へ流れ込んで来たのだ。先程、ティラのパワーを吸収した影響だろうか?
ティラの内に秘められた思いを、僕は理解してしまった。
「そうか。そうだったのか、ティラ……」
ティラの気持ち……コイツは、ただ、主人である老婦人と一緒に散歩がしたかっただけなのである。婦人に代わって自分を散歩へを連れ出す冒険者たちをやっつければ、以前のように彼女とお出掛けできると考えた……。
確かに、愚かな思案である。ティラが冒険者たちへ加えた暴行狼藉は決して許されるものでは無い。
しかし、コイツの老婦人への強い愛情だけは疑いようも無い真実だったのだ。
「ティラくん。君の『婦人と共にお散歩したい』との願いは、素晴らしい。ペットとして、正しい考え方だ。だが、目標実現のために取った手段は、間違っていた。そこは、悔い改めなければならない」
僕がそう言い聞かすと、ティラはコックリと頷いた。分かってくれたらしい。
良かった。ティラは、聡明なペットだ。天晴れなペットだ。恐竜万歳!
ティラは、幾度もコクコクと上下に首を振る。
おいおい。僕のセリフに感動したのは察するけど、そんなに何回も点頭しなくても良いよ。お前の気持ちは、痛いほど僕の心に伝わった。
これから、僕たちは親友だ!
首をフリフリ、ペコペコと媚びを売りつつ僕へ接近してきたティラくんは…………ガチン! 僕の頭へ食いつこうとしやがった!
当然、躱す。
へ! 人間様を侮るなよ、この畜生! お前の浅知恵など、とっくの昔にお見通しだ。
『キシャアアアアア!!!』
「掛かって来い、この恐竜モドキ! 捏ねて、混ぜて、均して、固めて……お前の行く末は、ミートパイ……いや! 肉製のティラミス(注 そんなモノはありません)に決定だ。カットするのだけは、勘弁してやるけどな!」
どったん、ばったん。
高級住宅街の空き地は束の間、凄惨なバトルの舞台――ジュラ◯ック・パークへと変貌を遂げた。
♢
そして、お屋敷へ帰還。
老婦人は、喜んで庭まで出迎えてくれた。
「まぁ。冒険者さんとティラちゃんは、スッカリ仲良しさんになったのね。嬉しいわ」
「ハイ。僕とティラくんは、友達になりました。そうだね? ティラくん」
『ジュルルルル……』
ティラが項垂れる。
よしよし。従順になったようだな。やはりペットには、上下関係をキッチリ叩き込まないと。
空き地で決闘した際に、土魔法でティラの足もとを固めて移動を封じたり、ククリを何度も寸止めして散々に脅しつけたりしたからね。
ティラも、僕に逆らう気力を喪失したのだろう。散歩の後半は、本物のお利口さんになっていた。
「でも、ティラちゃん。ちょっと、元気がないみたい」と心配そうな、老婦人。
ギク!
「そ、そうですか? 散歩疲れかな……アハハ。だよな? ティラくん」
『グ……グルルル』
「きっと、お腹が空いたのね。ティラちゃん、ご飯にしましょうか?」
『シャアアアアア!』
お。ティラのヤツ、復活しやがった。まぁ、飯を食うぐらいは、大目に見てやるかな…………ティラのご飯って、何? 生肉の塊?
よもや、生きた動物なんてことは無いと思うが……。
婦人の指示を受け、お屋敷の使用人たちが盥みたいな大きな器を運んできた。
中に入っているのは…………キャベツみたいな野菜、大根みたいな野菜、トマトみたいな野菜、ジャガイモみたいな野菜、ホウレンソウみたいな野菜。あれ? 大量の野菜? 肉は無いの? 野菜だけ?
『ギャル! ギャル!』
ティラはドデカい器の中に頭をツッコンで、山盛りの野菜を夢中でむさぼり食っている。
「あの……ティラちゃんの食事は、毎回野菜のみなんですか?」
僕の質問に、婦人が返答する。
「ええ。ティラちゃんは、お野菜と果物しか食べないのよ」
それを早く言ってよ!
ティラの野郎は肉食恐竜モドキではなく、草食恐竜モドキだったのだ。
思い返せば、空き地で僕と戦った際のティラの攻撃方法は、主に体当たりばかりだった。ベジタリアンと知っていれば、僕ももうちょっと反撃を控えめにしたのに。
「それにしても冒険者さんはお若いのに、ペットの扱いがとても上手なのね」
婦人が称賛してくれる。
「お褒めの言葉、恐縮です」
「次回のティラちゃんのお散歩も……」
「申し訳ありません。僕は研修中の身ですので、ギルドが割り当てたクエストしか受けられないんですよ」
いや~。ティラくんとの、またのお散歩。僕も、是非やりたいんですけどね。どうしようもないんですよ。研修中ですからね。研・修・中――ですからね!
「そうなの。残念だわ。別宅にはティラちゃんのお父さんのジュラくんが居るから、そちらのほうのお散歩も頼もうかと考えていたんだけど……」
丁重に、心の底から、お断り申し上げます。
♢
あとでスケネービットさんより聞いた話によると、ティラの散歩を請け負った先輩冒険者たち……僕の前任者の方々は、全員ご存命とのことだった。
空き地において、皆さんことごとく、ティラの野郎の尻尾の一撃にぶっ飛ばされてしまったのだとか。
で、被害者が気絶しているうちに、犯人は単独帰宅。
草食恐竜モドキに倒され、挙げ句にお散歩クエストをやり遂げられなかった……先輩方の身体のケガは大したこと無かったものの、心に負ったダメージは深かったそうで、現在はギルドのサポートを受けつつリハビリに励んでいるらしい。
冒険者ギルドの医療チームに、メンタルヘルスの概念は無かったはず。大丈夫かな?
♢
その日の夜。
僕とミーアは、《虎の穴亭》で晩ご飯を食べた。
前日に引き続き、バンヤルくんとチャチャコちゃんも同席している。
「アタシは今日、角ウサギを弓矢で仕留めたのにゃ!」
食事終了後、ミーアが嬉しそうに報告する。
角ウサギはその名の通り、額のところに2本の角が生えているウサギで、モンスターと動物の中間のような生物だ。
体つきは、地球のウサギより一回り大きい。肉や毛皮が、お金になる。
弓矢の扱いが上手なミーアは、たくさんの角ウサギを狩ることが出来たみたい。
「獲物は、冒険者ギルドが買い取ってくれたニャン」
ミーアはそう言って、テーブルの上にじゃらじゃらと銅貨を出した。
そうか……ミーアは今日、生まれて初めて自分で稼いだ現金を手にしたんだね。
「これは、ミーアのお小遣いね」と僕が述べると、「アタシとサブロー、2人のお金にゃ」とミーアが言葉を返す。
ミーアは、本当に良い子だ。
加えてミーアは《虎の穴亭》の皆へのお土産として、お菓子を少しばかり購入してきていた。
チャチャコちゃんは「ミーアお姉さま、ありがとうございます!」と大喜び。
一方バンヤルくんは「感激だぜ! この菓子は、家宝として永久保存するよ」と熱涙を流し、ミーアから「傷むニャン。早く、食べるにゃ」と注意されていた。
「それで、サブローは今日、何をしたんニャ?」
「そうだ。サブローは何をやったんだ?」
「サブローお兄ちゃんは、何をなさったんですか?」
「僕は……」
「にゃん」
「うん」
「ハイ」
「ペットを散歩させた」
「……にゃん」
「……うん」
「……ハイ」
「終わり」
「…………にゃん」
「…………うん」
「…………ハイ」
「泣くな! サブロー」
「僕、泣いてないよ!」
「男が他人に涙を見せても良いのは、向こう脛をぶつけた時と、抽選に外れてミーアちゃんの等身大イラストをゲット出来なかった時のみだ」
「それは、兄ぃ限定……でも、無いか。ミーアお姉さまのイラストを入手しそびれたら、ワタシも泣いちゃうかも」
チャチャコちゃんは女の子なので、〝男の涙〟は関係ないよね? あと、ミーアの等身大イラストは、僕も欲しいです。
バンヤルくんが訊いてくる。
「サブローが散歩させたペットの飼い主の名を、もう一度、教えてくれないか?」
「ニコパラ様だよ」
それが、お屋敷の老婦人のお名前だ。
「そうか、やっぱりな。ニコパラ様は、ネポカゴ商会のトップであるツァイゼモ会長の母君なんだよ」
「え!」
ネポカゴ商会って、ナルドット有数の大店の?
これは、意外な繋がり。
「マコル様より伺った話なんだけどな。ツァイゼモ様は幼少期から少年期に掛けて、ペットのジュラと兄弟のように育ったんだそうだ」
ジュラ……ああ、ティラの父親ね。
当然ながら、姿はティラと瓜2つなんだろうなぁ……。そんなのと、兄弟同然とか……幼児虐待じゃね?
「フレンドリーな性格のジュラは、ツァイゼモ様に対してスキンシップ過剰で、しょっちゅう、じゃれついてきたり、乗っかかってきたり、甘噛みしてきたりしたらしい」
「…………」
「ツァイゼモ様は、もともとスリムでハンサムな美少年だった」
「ええ!」
驚愕する。
ツァイゼモさんは、現在50歳ほどの年齢だったはず……お目に掛かった折は、太ったヒキガエルみたいな容姿だったよね?
「ジュラとの日々の生活の中で、ツァイゼモ様のお姿は変化していった。ジュラの襲来を瞬時に察知できるよう、目は常時ギョロつくようになり……」
「納得」
「ジュラの噛みつきを跳ね返すべく、皮下脂肪は分厚くなったそうだ」
「合点」
「あと、心労で、ハゲた」
「得心」
ツァイゼモさんのこと、僕は油断のならない商人だと思っていた。けれど、それとは別に、彼がしてきた苦労には同情と敬意を抱かざるを得ない。
「しかし、ツァイゼモ様は器の大きい方だ。今でも、ジュラとは仲が良いと聞くぜ。ティラのことも、我が子のように可愛がっておられるとか。忙しくて、ジュラにもティラにもなかなか会いにいけないらしいがな。常々『私が商人として大成できたのは、ジュラとの暮らしのおかげだ。物事に動じない胆力、ピンチへの対応力、チャンスを待ち続ける忍耐力、更には生き延びるための知恵を養うことが出来た』と仰っている」
「そうなんニャ~」
「ツァイゼモ様。深いお言葉だわ」
ミーアとチャチャコちゃんが、しきりに感心している。2人はジュラやティラの正体を知らないからね。
けど、僕は何とも言えない気分になってしまった。美談と呼ぶには、あまりに微妙……。
ギィ。
《虎の穴亭》の入り口の扉が開く音がした。
「あら。こんな夜更けにお客様かしら……え?」
チャチャコちゃんが玄関のほうを見て、言葉に詰まる。戸惑っているらしい。
僕らも来客へ視線を向けた。
黒マントに、黒いおかっぱ頭。一目で魔法使いと窺い知れる雰囲気。ミーアと同じくらいの背丈の少女(?)。
「夜分にスマン。サブローに用事があってな」
来訪者はバイドグルド家の魔法使い――アズキだった。
アズキのイラストは、Ruming様(素材提供:きまぐれアフター様)よりいただきました。ありがとうございます!
♢
老婦人「ティラちゃんと、危なさいっぱいのバイキングに行ってきてね」
サブロー「楽しさいっぱいのハイキングですよね!?」
老婦人「帰ってきたら、惨事のお通夜だから」
サブロー「三時のおやつですよね!?」




