第89話(目を覚ました)
俺達の目の前に伸びている四人の男が、どうやらその一番初めに“操られて”いた人物達と、宿の主人であるらしい。
宿の主人はそこそこ年齢がいっているだろうからと俺は見当をつけて、
「その宿の主人はこの人ですか?」
「そうですね」
村人に聞くとそこに倒れているそこそこ歳の行った人が、宿の主人であったらしい。
白髪交じりの頭の男。
彼がこの村の主人であるらしい。
そうなってくると、宿の酒場に三人集まるというと、同年代ぽい人たちが集まっているのだろうから……。
「この隣にいる三人が、その一番初めに村人を呼び出した三人です」
「じゃあこの人達に起きてもらって話を聞けばいいのか」
そう呟いてから周りを見回す。
駆け付けた村人はまだ少なく、倒れているこの人達を連れ帰ろうとする“家族”は少ないようだ。
それともまだ操られていた影響で家に倒れていたりするのだろうか?
この状況だと話を聞く、聞かない以前に、
「どの道ここにこの人達を転がしておくわけにはいかないか。……事情をききたいから、この三人と宿の主人は一緒に連れて行って、目が覚めるのを待った方がいいかもしれない」
「村の集会場の建物が近くにあるのでとりあえずそこに全員連れて行って様子を見ましょう」
そこで村人の一人がそう言い出し、倒れている内のそこそこ多い人数を村の近くの集会場に連れて行くことに。
こういった状況になった三人と宿の主人は、俺達が事情をききたいのと、何をしたのかと村人に問い詰められて話が聞けなくなったり出来なくなったりする危険性も兼ねて、この広場近くの宿屋に連れていくことになったのだった。
とりあえず近くの宿などに倒れた人たちを全員連れて行き、事情を知っているであろう人達が目を覚ますのを俺達は待つ。
シーナもロゼッタ達も近くで彼らを警戒している。
理由は、一度触れた後再度触れないと“洗脳”は解除されないのか、が分からないからだ。
一度の接触によって、永続的にその村人たちが操れるかだ。
操るのにも特殊能力を使うから、アレは魔力に関連するだろうから……永続的にとはならないような気もする。
魔力切れなりなんなりがありそうだが……未だに“未知”の部分が多い能力だから警戒するに越したことはないだろう。
それに、秘密をしっているから消せ? と何らかの形で行動されても困る。
そう考え待っているとそこで、
「……ここは?」
三人のうちの一人がようやく目を覚ましたのだった。
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