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第85話 治療

 背後で何かが崩れ落ちる音がした。

 振り返ると、そこには倒れこんだ村人たちの姿がある。

 そこでシーナが大きく息を吐いて振り返り、


「上手くいったみたいね。はあ、殺したり怪我させたりしないように戦うのは大変だったわ。……もう少し遅かったら、そちらの決断をせざるおえなかったわ。アキラのおかげで助かったわ……」

 

 そう言って背伸びをする彼女。

 それを見ながら俺も、


「そうだな、上手くいってよかった。シーナだけではなくロゼッタ達も、そして村の人達も……大丈夫だよな?」


 俺はそこでロゼッタ達が立っているのを確認してから村人たちの様子を見る。

 全員が地面にひれ伏している。

 確かに何人かが呻いていたが、それ以外は……。


 恐ろしい想像が今更ながら湧いてきて俺は凍り付く。

 それに気づいたらしいシーナが、


「どうしたの? アキラ」

「俺、しびれるだけにしようと思って攻撃したけれど、本当にそれだけで済んだのだろうかと思って」

「……怪我をして動けないレベルの状態になっている、という事?」

「それもそうだが、もしかしたら……」


 俺がそう不安を口にするとシーナが、


「この状況だもの、仕方がないわ。自分の身を守るのが最優先よ。それに、アキラ、貴方の特殊能力チートは貴方の意思の通りにしか発動しない。だからあなたが望んだのだから、大丈夫でしょう」

「そうか……でも大怪我をしているのなら……」

「気になるのなら治療の魔法を使ってみればいいわ。私も簡単な物なら知っているけれど、そういった補助系統はロゼッタの従者なセレンが一番得意なはずよ」

「そうなのか? セレン、魔法を教え……」


 そこでセレンの方を振り返ると、ちょうど治療のようなことをしているようだった。

 それを見ていて、俺も見様見真似でその魔法を使ってみる。

 特殊能力チートによる治療だ。


 もともと異常な怪力などを示していて、身体に異常をきたしている……それも十分に考えられ、それが理由で起きられないかもしれない。

 最悪の想像を打ち払うように俺は特殊能力チートを使った。

 どうだろうか?


 相変わらず倒れた人たちは動かない。

 そう思っているとそこでセレンが俺の方を向いた。

 そしてじっと俺の方を見て、


「今の魔法、実は高度な回復魔法なのです」

「そ、そうなのですか」

「……アキラの特殊能力チートだとこんな風に再現されてしまうのですか」

「今のでうまくいっていたのか?」


 そう俺が聞くと、セレンが頷いたのだった。

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