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第77話 潜入中

 音の発生源を確認する関係で、セレンの兎の耳を出すことになったが、一応は人間の村なので俺達が取り囲むようにして移動することに。

 兎の耳はこれで俺達の陰になって分からないようになった。

 だが、実のところもう一つ問題があったりする。


「う、うう、ううううううう」

「セレン、つらいのは分かるけれど頑張って。私達には全然聞こえないから」

「はい、それは分かっています、ロゼッタ様」


 セレンはそう答えながらも、今にも耳を折りたたんで縛ってしまいそうなくらい、青い顔をしている。

 あまりにも気色の悪い音であるらしく、げっそりしている。

 そんなに奇妙な音なのだろうかと俺は思ったが、聞きたくはなかったし、聞けなくて良かったと思ったのでそれ以上考えるのを止めた。

 

 そして村の中に入っていく。

 木で作られた家々が立ち並ぶその場所。

 土のむき出しの道路が広がっている。


 ただ所々に用水路のようなものや、井戸が見受けられて、そこで選択などを行っていたのだろうとは思うが……人の姿は全然見えない。

 この村の家々にはおそらく人はいるだろうけれど、それがまるで存在しなかったかのように静寂に満ちている。

 無人の廃村。


 つい最近この村を村人が捨てたのだと説明されても違和感がないような静けさだった。

 歩いていくとやがて、商店のような物にも遭遇する。

 宿らしき看板もある。


 だが明かりもついておらず、木の扉が閉じていて店としてはやっていないようだった。

 こんな昼間なのだから、商店であれば稼ぎ時だからやっていそうなものだが……そう思ってその商店の前にやってくると、きぃい、と甲高い音がなって扉が開き、中から人が現れる。

 だが村の入口付近の家にいた人物のように、現れた男の目の焦点もあっておらず、無表情で俺たちを見てから、無言でその扉を閉める。


 ちらりと見た商店の中では、缶詰のようなものがそこそこ置かれていた。


「もしかしたなら村人には食料を売っていたりするのか? でないと家にある備蓄の食糧なんてたかがしれているだろうし」

「……畑はそういえば水がまかれている風ではあったから、最低限の事は出来るのかしら」


 シーナが思い出したかのように言う。

 俺はそのあたりは見ていなかったので、そうだったのかとそこで知ることになる。

 だが、


「外部との交流無しでどの程度自給自足をこの村は出来るんだ?」

「備蓄したものを、加工したり出来るかが重要な気がする」


 シーナが俺の疑問にそう答えたのだった。


 

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