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第53話 魔導書

 不気味な音をそこで俺は聞いた。

 同時に先程俺が魔法で切り裂いた場所から、肉が盛り上がる。

 どうやら再生をしているらしい。


「自己再生機能付き。この魔物はそういった物があるのか?」

「いえ、ここまですごいものではなかったはずよ。自己再生も普通に私達が怪我をしても血がすぐ止まるような程度だったし」


 シーナがそう俺に説明してくれた。

 それを聞きながら俺は、


「となるとそうなるように改造されたのがあの魔物か」


 そう俺達が話している間も、再生は進んでいく。

 再生している間に特に“核”のようなものは見えなかった。


「……こういった自己再生する場合、そういった指令を出すような核の部分を倒すとどうにかなったりしないかと俺は思うんだけれどな」

「“核”ね。どんな大きさでどんな場所にあるかしら」

「取りあえず切り刻むしかないな。それとも、俺は後ろの箱のような怪物の方に注目した方がいいか?」


 そう問いかけた所で黒い箱の集団が目視できるところまで現れる。

 挟み撃ちにする気なのもまた、嫌な作戦だと俺は思う。

 と、そこでロゼッタが不敵に笑った。


「ではそうしてください。私の方もとっておきの“魔導書”を使わさせていただきますわ」


 その言葉に焦ったのはセレンだったようだ。


「ロゼッタ様、それはまだ安全性が保障できていない……」

「ええ、ですがこれから“彼ら”と戦うのであれば、これはぜっとくの機会だわ。テストをするという意味でね」

「……いざとなったらお守りします」

「よろしく。さて、まずはこの“魔導書”……神に幾つもの術式を描いて多重構造にした三次元魔法陣の威力、早速見せてもらいますわ」


 ロゼッタが紫色の本を取り出した。

 俺もその魔法に興味があったが、ちょうど黒い箱が目の前に来ていたので、


「“炎の矢”」


 それをできるだけ強力にして打ち込む。

 吹き飛んでいくも、これだけでは全部倒せなかったようだ。

 剥がれ落ちるように吹き飛んでいき中のものがドロリと現れる様は、光の中ではあまり見たくはない類のものだった。


 早めに終わらせておこう、そう俺が思って数度魔法を打ち込むと、ようやくそこにいた黒い箱全部を倒せたようだった。

 とりあえずはこれで第一陣は倒せたようだった。

 そう思っているとそこでロゼッタが、


「“紡がれる鎖の監獄”」


 そう叫ぶと共に手にした紫色の本が白い光で包まれるのを俺は目撃したのだった。

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