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第51話 待ち伏せ

 出口が見えてきた。

 外の明かりに再び安堵する俺達の前にそれは現れた。


ぐるるるるるっ


 現れたのは首が少し長い黒い馬のように見えたが、目は赤くらんらんと輝いていて口が大きく裂けており、そこには白い牙が見える。

 しかもこの馬のような体のそこかしこにも、無機質な銀色の塊が埋め込まれている。

 俺が知っている物と照らし合わせて、俺がそれをうまのようだと認識しているのに過ぎないのだろう。


 そう思っているとそこでロゼッタが、


「こんな所に“ガウマ”がいるとは思わなかったわ」

「この世界の魔物なのか?」

「……そうね、こんな風な魔物はいるわ」


 俺の問いかけにロゼッタは口ごもってからそう答える。

 こんな凶暴そうな怪物がそこら中に沢山いるのか、と俺が思っているとシーナが補足する。

 

「確かに魔物でこういうのはいるけれど、人間が飼う事が出来るよな大人しい種類のものが比較的多いわ。……でも、あんな銀色のものが埋め込まれたようなものは見たことがない。それに、目に見えて魔力が大きいみたいだし」

「魔力か。確かに何か変な感じはするな。……でもこんな出口にいるってことは、俺達が入った時に周辺に隠れていたのか?」

「……そうね。でもこれだけの魔力を放出しているのに感じなかったなんて……隠れていたのかしら。でもどうして隠す必要があったの?」


 シーナのその疑問に俺は少し考えてから、


「ダンジョン内に一度はいって消耗させてから攻撃をする予定だったとか? ……他の人達もこんな風に餌食になったのか?」

「そんな話は聞いていないな。魔物が増えてはいたが、こんな風ではなかったな」


 ミゲロがそう呟くのを聞く。

 どうやら昨日以降の出来事ではあるらしい。

 そこでシーナが嫌そうにつぶやく。


「私を追って来たのかしら。増援を求められると困るってことなのかしら。……そしてあまり知られる前に処分したい」

「そこまでして倒したいならすぐそばで、そのシーナを追っているであろう敵のような人間も様子を見ていそうだな」


 俺の言葉に、シーナが嗤う。


「確かにそうだわ。……見つけ出して今までの分のお礼をしてから、話を聞きだしてやるわ」


 などと怒ったように言うのを聞きながら、なんとなく怖かったので俺はそれ以上突っ込まないことにした。

 そこで、背後から先ほどまでは聞こえなかった、喧噪のような高い音が聞こえたのだった。



 

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