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第5話 いったい何者なの?

 “氷の雨”と叫んだと同時に、浮かんだ一粒の白い光。

 それが小さく揺れたかと思うと、笛のような甲高い大きな音がして、杖の周りに螺旋を描くように光の線が走る。

 だがその杖の半分くらいまで回ったかと思うと、それらは杖を中心にし手光のひもを巻き付けたかのようになる。

 けれど過ぎにそのまま、光の紐と紐の間に10センチ程度の空間ができるように円状に広がり、その光の最初と最後の部分はその光の紐を貫くように繋がる。


 ぴしっとガラスにひびが入るような音がして、その光の紐から線のようなものが生まれて文字が描かれ始める。

 一つの変わった魔法陣のようになってからすぐに、この杖の宝石の光がさらに鮮やかに輝きだす。

 ここまで、俺が言われたとおりの言葉を叫んでから約2秒。


 宝石から光の玉が出て、それが目の前に五つに分裂したかと思うと先ほどの羽の生えたクマのようなものに対して飛んでいく。

 

カンッ


 といったような缶を蹴り飛ばした金属のような音がして、俺の目の前で一瞬にしてその怪物が氷漬けになる。

 しかもそれにはすぐにひびが入り、その魔物ごとくだけ落ちた。

 そこからふわりと黒い靄のようなものが上がり消えていく。


 と、コロンと何かが地面に落ちていくのが見えた。

 あれは何なのだろうか?

 ゲームや漫画、ラノベといったものから推定するに、魔力を固めた魔石のような気もするが……と俺が思っているとそこで、俺に杖を投げた少女が俺の腕をつかんだ。


「? なんだ?」

「何だじゃないわよ。何? あの威力。普通の一般人は、あんな魔法は打てないわ」

「俺にもよく分からない。でもその前に言うことがあるんじゃないのか? 俺は助けたわけだし」


 突然そう言われて、俺はムッとして言い返すと彼女が、


「ごめんなさい。あまりにも強力な力だからてっきり……」

「てっきり?」

「いえ、なんでもないわ。その様子だと関係がなさそうだもの。助けてくれてありがとう」

「どういたしまして」

「それで申し訳ないけれど、本来ならあんな威力の魔法ではないはずなの。貴方はいったい何者なの?」


 そう問いかけられた俺は、この見知らぬ少女にいきなり“俺は異世界人です”というべきなのか迷った。

 だがどんな人物か分からない以上、それを話して何かあっても困る。

 だからそれも含めて俺は、


「そんなことを言われても俺もよく分からないんだ」


 そう返したのだった。



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