第48話 先に進みましょう
俺の能力が敵に通用しやすい。
そして俺の特殊能力は概念にもいくらか影響する。
更に威力は同じくらいという保証をシーナやロゼッタ達からも得ている。
そうなってくると、
「俺の“効率チート”は、相手を“効果的”に攻撃しているから倒しやすい?」
そう思いながら先程倒したこの黒い怪物たちを見るが、外面が剥がれ落ちるようにして散らばっている。
この黒い箱の中身は肉のようなものと金属のようなものの混合物で、あまり直視していると気分が悪くなりそうな代物ではあるが……よく見ると、外面がどれも剥がれ落ちている。
「この怪物は誰かに作られていて、表面は確かに防御力が高いが……接合部分は別のものを使っているから“弱い”のか? 断面が四角く削り取られているようにはがれているし……“炎の矢”」
再び襲ってきた追加の怪物たちに向かって剣をふるうと炎が幾つも周囲に生み出される。
この使い方だと杖でもいいのではと思いはしたがそこは野暮な突込みだ。
目の前で吹き飛ばされる四角い物体だが、やはり側面が剥がれ落ちるようにしている。
その部分は防御が弱いのだろう。
だからその部分を攻撃すれば簡単に倒せる!
「側面の面と面を結合させている部分を攻撃するんだ! そうすれば敵は倒しやすい!」
「……そこまで精密な攻撃は、的が小さすぎて無理だわ」
シーナが再び攻撃しながらそう答える。
それを聞いて俺は、そうなのか? と思った。
どうやらこれは“効率チート”だからなせる業であるらしい。
折角弱点が分かっても攻撃が出来なければ意味がない。
何かいい方法がないか、と俺が思っているとそこでロゼッタが、
「一時的、それも一回や二回程度だけれど、特殊能力の効果をとどめやすい魔道具があったはず。攻撃の命中率にも影響しそうだから、そのあたりの設定もしてもらって、後でアキラに魔道具を作るのを手伝ってもらえないかしら。……こいつらへの対抗手段は、私達もぜひ欲しいわ。もっとも……接合部が弱いと分かったのは収穫だけれど。“氷の矢”」
そこでロゼッタが氷を生み出して攻撃する。
会話をしなアらも魔法での攻撃の手は休めないらしいロゼッタ。
セレンもあわてたように更に魔法攻撃をする。
うさ耳は特に見えない。
そしてそれから数分後。
遭遇してこの黒い箱の怪物を全て倒しつくす。
「先に進みましょう。この調子なら、出口までは余裕だわ」
シーナが俺の方を見てそう言ったのだった。
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